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痔瘻手術の入院期間はどれくらい?手術方法や費用、術後の注意点も解説!

痔瘻手術の入院期間はどれくらい?手術方法や費用、術後の注意点も解説!

痔瘻は、手術が必要となる病気です。入院する必要が出てくるため、不安を抱える方も多いのではないでしょうか。そのような不安や心配を減らすためには、まずはどのような手術でどれくらいの入院が必要になるかといった、全体像を把握することが大切です。この記事では、痔瘻の入院期間や手術方法、費用や術後の注意点まで詳しくお伝えしますので、ぜひ参考になさってください。

痔瘻とは

痔瘻とは まずは、痔瘻という病気がどのようなものなのかを詳しく知っていきましょう。痔瘻の症状や原因、種類、治療方法について解説します。

痔瘻とはどのような疾患ですか?
痔瘻は、肛門や直腸のまわりが炎症して膿を持ち、その膿を排出するために皮膚の外側につながる管を作ってしまった状態のことです。膿が通るトンネルのような管を「瘻管」と呼び、この瘻管ができてしまうと手術でしか治療ができない状態になります。
痔瘻の症状と原因について教えてください。
痔瘻の症状は、痛みや腫れ、患部の赤みなどです。38℃~39℃の高熱が出たり、膿で下着が汚れてしまったりすることもあります。主な原因としては、肛門周囲膿瘍の悪化が挙げられます。肛門周囲膿瘍は、肛門腺と呼ばれる小さな穴から細菌感染することで起こる病気であり、肛門周辺の炎症や膿が主な症状です。この肛門周囲膿瘍が悪化すると、身体の外に膿を出そうとして瘻管が形成されます。また、切れ痔や腸の病気などで瘻管が形成されることもあります。
痔瘻の種類について教えてください。
痔瘻には複数の種類があり、その一つが皮下痔瘻です。I型とも呼ばれ、瘻管が肛門括約筋を貫いていない、上皮や皮下組織といった浅い場所にできたものを指します。二つ目は、筋間痔瘻と呼ばれる、痔瘻の中で発生頻度が特に多いタイプです。Ⅱ型と呼ばれることもあり、肛門括約筋を貫通するものを指します。Ⅲ型は坐骨直腸窩痔瘻と呼ばれ、肛門挙筋まで痔瘻が広がっているもののことをいいます。このタイプになると、手術がより複雑なものとなり、数週間の入院期間が必要となります。最後のⅣ型は、肛門挙筋を超えて広がっている痔瘻のことであり、骨盤直腸窩痔瘻と呼ばれます。
痔瘻の治療方法について教えてください。
痔瘻は基本的に保存的療法や自然治癒では改善が見込めないため、手術を行うこととなります。また、手術の前段階として抗菌薬の内服で経過を見ることもあります。

痔瘻の手術方法

痔瘻の治療方法は手術であると前述しました。ここからは、その手術方法に関して詳しく解説していきます。

痔瘻の手術方法にはどのような種類がありますか。
痔瘻の手術方法には、切開開放術、括約筋温存手術(くりぬき法)、シートン法といった種類があります。手術によって肛門の機能が損なわれることのないよう、瘻管ができた場所や走行に応じた術式が選択されます。
切開開放術のメリットとデメリットを教えてください。
切開開放術は、瘻管を切除し開放する術式です。肛門のまわりにある括約筋を切開する必要があるため、切開しても肛門の機能に影響がない、後方の瘻管に対して行われます。括約筋の切開範囲が大きいというデメリットがありますが、再発リスクが低いというメリットがあります。
括約筋温存手術(くりぬき法)のメリットとデメリットを教えてください。
括約筋温存手術は、瘻管くりぬき術とも呼ばれる術式です。その名の通り、括約筋をできる限り温存して行う方法です。瘻管が、肛門の後方以外にできている場合に適しており、括約筋の切開による術後のひきつれや肛門の変形といったリスクを抑えることができます。切開開放術と比較すると、再発リスクが高いというデメリットがあります。
シートン法のメリットとデメリットを教えてください。
シートン法は、瘻管にゴムを通して少しずつ切開し開放していく術式です。切開開放術に比べて括約筋の損傷が少なく、肛門の変形などのリスクも低いというメリットがあります。ただし、開放までには数カ月かかり、ゴムの締め直しや交換などのために複数回の通院が必要となります。

痔瘻の手術費用

痔瘻の手術費用 手術となると、高額な出費が必要になると不安に感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは、一般的な手術費用や費用を抑える方法についてご説明します。

痔瘻の手術費用の相場はいくらですか?
痔瘻の手術費用の相場は、3割負担の場合で10万円ほどです。患者さんの身体の状態や、瘻管の本数や走行によっては、入院期間が延び、その分費用も高くなります。また、個室を選んだ場合は個室代が別途かかりますし、入院時に必要となるパジャマやタオルといった生活用品をレンタルするかどうかなどでも費用は変わってきますので、入院が必要となった際には事前に費用をしっかりと確認しておきましょう。
痔瘻の手術は保険適用できますか?
痔瘻の手術は、切開開放術、括約筋温存手術(くりぬき法)、シートン法など、どの術式の場合でも保険が適用されます。ただし、前述したように個室を選んだ場合などの差額ベッド代や食事費用には保険が適用されません。これらは自己負担となることを覚えておきましょう。また、一部の医療機関では自由診療で痔の手術を行っている場合があり、その場合は医療機関によって費用は大きく異なります。
痔瘻の手術費用を抑える方法はありますか?
痔瘻の手術は保険適用となるため基本的に決まった額となりますが、「少しでも費用負担を抑えたい」と考える方もいるかと思います。そのような場合は、入院日数ができるだけ短くなるようにすることが大切です。同じ手術をする場合でも、7日間~10日間など提示される入院日数目安には医院ごとの違いがありますので、複数の医療機関で話を聞いてみることをおすすめします。また、食事代や差額ベッド代が低く設定されている医療機関を選ぶこともポイントです。

痔瘻の手術後の入院期間

痔瘻で入院した場合、手術後はどれくらいの期間で日常生活に戻れるのか、どのような注意点があるのかを解説します。

痔瘻の手術後の入院期間はどのくらいですか?
痔瘻の入院期間は、1週間ほどが目安となっています。医療機関の方針や術式、痔瘻の状態によって、5泊で済む場合もあれば2週間ほど入院する必要がある場合もあるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。症状が重い場合や複雑な手術が必要になる場合は、その分入院期間も長くなるため、早期治療を心がけることが入院を長期化させないためには大切です。
日常生活や仕事を再開できる時期はいつ頃になりますか?
日常生活に関しては、退院翌日から通常通り送ることが可能です。お仕事に関しても、激しい動きを必要としないデスクワークや軽作業であれば、翌日から問題なくできるでしょう。ただし、重労働や激しいスポーツなどは、術後1カ月ほどは控える必要があります。痛みに関しては、術後数週間は弱い痛みが続きますが、徐々に治まっていきます。
痔瘻の手術後に注意すべき点について教えてください。
手術後は、傷口がふさがるまでは激しい運動や重労働は避けましょう。遠方への出張や旅行も控え、傷口が開いてしまった際など何かあった場合にすぐに医療機関を受診できる環境に身を置いておくことをおすすめします。また、座りっぱなしの姿勢を続けるなど、お尻に負担がかかる行動も控えておきましょう。

編集部まとめ

痔瘻で入院が必要になった場合の期間や費用、注意点などについてまとめましたが参考になったでしょうか。ご覧いただいた内容からもわかるように、痔瘻は長期の入院が必要になることもある疾患です。できるだけ入院時の負担を少なくするために、お尻に腫れや痛みがある場合はちょっとした症状だとしても早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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