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胃の調子が悪い場合に症状をチェックする方法は?健康を脅かす急性胃炎についても解説

胃の調子が悪い 症状 チェック

よく調子の悪くなることがある「お腹」ですが、例えば胃と腸の場所は全く違うことをご存知ですか。胃の位置する場所は、おへそと胸の間にある「みぞおち」と呼ばれるところで、腸はおへその下あたりです。

今回は「胃」について解説します。不調の原因が胃にある場合、ただ調子が悪いときと病気の場合があり、病気の場合は放置すると悪化してしまうので注意が必要です。

胃の調子が悪いと、どのような症状が出るのでしょうか?どのような場合に病気の可能性が疑われるのでしょうか。セルフチェックの方法や症状にはどのようなものがあるのかを解説していきます。

胃の調子が悪い場合のセルフチェック方法

考える女性

胃の調子が悪くなったとき、どのようにセルフチェックを行えばいいのでしょうか。胃の症状には、下記のようなものがあります。

  • 胃の不快感
  • 胸やけ
  • 吐き気
  • 食欲がない
  • 下痢をする

誰しも経験したことのある、身近な症状ばかりですが、場合によっては病気からくる不調の場合もあるので注意が必要です。症状別に詳しく見ていきましょう。

胃の調子が悪い場合の症状

お腹の前にハート

胃の調子が悪い場合の症状はさまざまあります。具体的には下記のようなものです。

  • 胃の不快感
  • 胸やけ
  • 吐き気
  • 食欲がない
  • 下痢をする

これらの症状について、詳しく解説していきます。

胃の不快感

胃の不快感がある女性

胃の不快感とは、胃の張った感じや食べたものがいつまでも消化できていないような感覚で、痛みを伴うものも含まれます。

「胃もたれ」とも呼ばれ、ストレス・食べすぎなどの生活習慣で起こる場合や、胃潰瘍などの病気から起こる胃の働きや伸縮性の障害である場合があります。

胸やけ

胸やけは、みぞおちの辺りから胸のあたりが気持ち悪い症状をいいます。

例えば甘い物というような、ストレスや特定の食品を多く食べすぎると起こる場合があり、逆流性食道炎などの病気から起こる場合もあります。

胃もたれと同じく胸やけはよくある症状です。長くても2、3日経つと自然と治るものが多いですが、長引くようなら病気の可能性があるので注意しましょう。

吐き気

吐き気も身近な症状で、車酔い・飲みすぎ・食べ合わせが悪かった・食べた後に激しい運動をしたなどのさまざまな状況で日常に起こり得る症状です。

吐くとは、胃の内容物が逆流して口から出ることをいいます。ほかには食中毒が原因の場合や、胃腸炎などの病気からくる場合です。その場合、吐き気と下痢が同時に現れる場合があります。

飲みすぎなどが原因で「吐いたらすっきりした・治った」という場合なら心配ありませんが、吐いても症状が改善しない・下痢などの複数の症状が継続するといった場合は医者にかかりましょう。

また吐き気は頭痛と一緒に起こることがあり、頭の病気から引き起こされている場合があります。

吐き気だけなのか、それとも吐き気と同時に他の症状もあるのかをよく観察し、複数の症状が同時に起こる場合は我慢せずに医者にかかりましょう。

食欲がない

食欲がない女性

食欲がないという症状は、身近な症状ではないでしょうか。理由は、食欲は些細な理由でも影響を受けるからです。

例えば美味しそうな盛り付け・匂いで食欲は増し、逆に好みでない盛り付け・匂いで食欲は減ることがあります。

このように視覚・嗅覚だけでも食欲は増減します。ですが身近にある症状だからといって、常に治るものとは限りません。

食欲がない場合は、体の不調のサインである場合もあります。風邪などの発熱で食欲がない・飲みすぎで食欲がないなど原因がはっきりとしていて、しばらくすると治るものなら心配ありませんが、食欲が戻らない場合は病気の可能性を考えましょう。

食欲がなくなる場合は、胃炎・下痢などの消化器系の体に関するものや、ストレス・うつ病などの心に関するものがあります。

下痢をする

下痢とは、水分が吸収されずに外に出てしまう便をいいます。お腹を冷やす・食べすぎ・ストレスなどの身近な原因のほかに、胃炎・胃潰瘍・胃がんで起こる場合もあります。

下痢が起きているときは、体の水分が失われるため、脱水症状にならないように気を付けることが大切です。

下痢のときは気持ちが悪くなることもあるため、飲物を受け付けない場合もあるでしょう。そういった場合は医者にかかり、点滴治療を行うといいでしょう。

胃の調子が悪い原因は?

お腹をさする男性

胃の不調はよくあることだと思います。大変身近なゆえに、多少不調を感じても放置してしまいがちです。

しかし胃の不調には、自然に治るものと治療が必要なものがあることを忘れてはいけません。代表的な胃の不調には、下記のものがあります。

  • ストレス
  • 過剰に胃酸が分泌している
  • 生活習慣の乱れ
  • 逆流性食道炎
  • 薬剤の摂取
  • 胃潰瘍
  • 胃がん
  • 感染性胃腸炎

胃の不調となるこれらの原因を、詳しく解説していきます。

ストレス

落ち込む男性

忙しい・情報過多・人間関係・勉強や仕事のプレッシャーがある・孤独・疲労などにより、タスクの多い現代では多くの人が日々大きなストレスに晒されています。

情報化社会により、大量の情報が目まぐるしく変わりながら飛び交っています。過度なタスクによるプレッシャー・取捨選択しきれないほどの情報過多な日常は、自覚があるなしに関わらず、大きなストレスとなっているのではないでしょうか。

ストレスによる胃への影響は、具体的には胃の動きが悪くなる・消化液と食べ物がよく混ざらずに消化に長い時間がかかるようになる・胃酸が出すぎる・胃液の逆流をとめる働きが悪くなるなどがあります。

そのため胃の痛み・胃もたれ・むかつき・胃の膨張感が続くことになります。この場合は検査をしても炎症などは見当たることはありません。

胃の調子の悪さにストレスが思い当たる場合は、休息をとる・睡眠時間を確保する・趣味の時間をとるなど、リラックスできる時間を意識的にとることが大切です。

食事を美味しくとることも、大きな癒しとなります。その食事を美味しく食べるために、日々頑張っている自分自身を休ませて大切にすることを行ってみるといいでしょう。

過剰に胃酸が分泌している

タンパク質・脂肪・糖分の取りすぎで胃酸が過剰に分泌されることがあります。理由は胃が消化を行おうとし、胃酸を多く分泌するからです。

胃酸過多の場合は、下記で詳しく述べますが胃酸が逆流して起こる逆流性食道炎の原因となります。症状は、胸やけ・気持ち悪さ・食欲の減退などがあります。

胃酸の分泌を抑えるためには、タンパク質・脂肪・糖分の多く含まれる揚げ物やファストフード・アイスクリームなどを控えるなどの食生活の見直しをするといいでしょう。

生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れは、暴飲暴食・ハードワーク・ストレスからの慢性的な疲労や寝不足から起こります。

例えば頻繁な飲み会などで揚げ物やアルコールにより胃に負担をかけ続けたり、仕事のストレスで睡眠不足が重なったりすると、食欲の低下などの胃の不調を招きます。

生活習慣の乱れは自律神経のバランスを崩すことがあるので注意が必要です。

自律神経は交感神経と副交感神経がバランスをとって体のさまざまな機能を調整しているものです。胃でいうと、胃の動きを活発にしたりゆるめたりする機能になります。

自律神経の乱れで胃の機能が低下すると、消化が遅くなる・ビタミン・栄養素の吸収が悪くなることがあります。

適切に栄養が吸収されず元気が出ないために仕事が終わらず残業が続く、などの悪循環に陥ってしまうことのないように、胃の不調を放置せずに生活習慣を見直しましょう。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することにより食道を痛めてしまう病気です。

胃酸が逆流する原因は、胃酸過多によるもの・胃液の逆流を防ぐ役割を果たしている下部食道括約筋の働きが低下したため・服や姿勢で胃を締め付け圧迫しているなどが挙げられます。

胃は酸性に耐えられる粘膜で保護されていますが、食道にはその粘膜が無いため、胃酸が逆流することによって痛めてしまうのです。

悪化すると食道に炎症が起こり、潰瘍ができてしまうこともあります。胃の内容物が喉元にせりあがってくるような不快感・口の中に苦みや酸っぱさを感じる・みぞおちのあたりがひりひりするような胸やけを感じる場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。

薬剤の摂取

薬

薬剤の摂取で胃腸の不調が起こる原因は、薬剤によりますが胃に刺激を与える種類のものがあるためです。

例えばウイルス性の病気を治すための薬とともに、胃腸薬が処方されることがあります。

胃潰瘍

胃潰瘍は、胃壁にある粘膜下層よりも深く症状が進行したものをいいます。粘膜下層とは胃壁の5層構造(粘膜層・粘膜下層・固有筋層・漿膜下層・漿膜)のうちの2つ目です。

自律神経の乱れなどにより胃酸と粘膜のバランスが崩れ、胃酸で胃を傷つけてしまうことから発症することがあります。

胃酸によって胃壁がただれて傷ついた状態になり、食後に鈍い痛みを感じたり、胃の内容物がせりあがってくるような不快感を覚えるでしょう。

悪化すると吐血や血便という症状が出ることがあります。症状のない胃潰瘍もあり、悪化した状態で初めて判明することもあるので、胃カメラ検査など定期的に検査をおすすめします。

胃がん

胃がんは、胃がんは胃の粘膜層にある細胞が、何らかの原因によって、がん化することで発生します。胃粘膜の損傷の原因として、ピロリ菌・塩分・飲酒・辛い物などの刺激物があります。

胃がんは、食欲不振・胸やけなどの症状がありますがはっきりとした初期症状がないため、自覚症状による早期発見が難しいといわれています。

そのため、胃の不調が長引く場合は胃がんである可能性も考え、早期に胃カメラなどの検査を行うといいでしょう。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌に感染することで起こる病気です。病原体にはノロウイルス・ロタウイルス・感染性大腸菌・サルモネラなどで、感染経路は食品・人との接触・水などがあります。

ノロウイルスなどの集団感染がおこるものは、人から人への感染力が強いので、石鹸でこまめに手を洗うなどの予防が大切です。症状は下痢・嘔吐・腹痛・発熱などがあります。

下痢や嘔吐が主な症状になるため、脱水症状に注意が必要です。治療は症状に応じて行われるため、感染性胃腸炎が疑われる場合は速やかに医師の診察を受けることをおすすめします。

健康を脅かす急性胃炎とは?

お腹を押さえる女性

急性胃炎とは、胃の粘膜の炎症によって起こります。原因はストレス・暴飲暴食・香辛料・コーヒー・アルコール・不眠・喫煙・インフルエンザなどのウイルス性のもの・風邪薬や鎮静剤などの薬でなるもの・ピロリ菌など、多岐にわたります。

症状は、胃のあたりの痛み・もたれ・むかつき・吐き気などがあり、下痢によくある下腹部の痛みと違ってみぞおちのあたりが刺すように痛むため、ふだんの腹痛と区別がつくのではないでしょうか。

急性胃炎の症状は急に起こり、トイレに行ったり安静にしたりお腹を温めても改善しないので、医師の診察を受けるようにしましょう。

急性胃炎の治療は、薬を飲むことと安静です。粘膜の炎症を刺激しないために、症状が落ち着くまではお粥・うどん・スープなど、消化の良いものを食べるようにしましょう。

痛みや下痢がひどく食事をとれない場合は、1、2食を絶食することも検討します。その場合はスポーツドリンクや経口補水液を定期的に飲むようにし、脱水症状を起こさないように気を付けます。

急性胃炎は2、3日もすれば治る病気ですが、ピロリ菌が原因の場合は注意が必要です。ピロリ菌は急性胃炎だけでなく、慢性胃炎・胃潰瘍・胃がんなどを引き起こします。

ピロリ菌は全ての人の胃に存在するものではなく、胃カメラ検査・血液検査・尿検査などでその有無を確認できます。

ピロリ菌があった場合は、除菌が推奨されます。ピロリ菌を除菌すると、急性胃炎や慢性胃炎はもとより、胃潰瘍や胃がんのリスクを減らすことができます。

急性胃炎になった場合は、ピロリ菌が原因であることも考え、ピロリ菌の検査を受けておくと安心です。

胃が不調な場合の対処方法

胃と人形

胃が不調な場合、まずは胃を休めましょう。休息をとり、消化のいいものを食べるようにします。

それでも治らない場合は病気の可能性もあるので、医師の診察を受けるといいでしょう。

まとめ

医療従事者

胃の不調の原因は、お腹を冷やして痛くなったなどの日常的なものからピロリ菌が原因で起こることのある急性胃炎など、すぐに治るものから治療が必要なものまでさまざまです。

胃の不調があった場合はその原因を考え、重大な病気が隠れていないか確認を行うことが大切です。

特に胃潰瘍や胃がんなど、重い病気を引き起こすピロリ菌の有無は重要といえます。ピロリ菌は除菌を行えるので、胃カメラなどの検査で定期的にチェックすることをおすすめします。

日常的によくある胃の不調ですが決して軽視することなく、病気を見逃さないようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
中路 幸之助医師(医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター)

中路 幸之助医師(医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター)

1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。 2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事している。 専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。

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中路 幸之助医師(医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター)

1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。 2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事している。 専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。

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