粉瘤が潰れた場合どう対処すればいいのでしょうか?
本記事では、粉瘤が潰れた場合について以下の点を中心にご紹介します!
- 粉瘤について
- 粉瘤が潰れた場合の対処法
- 粉瘤の治療法
粉瘤について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
粉瘤について
- 粉瘤とは何でしょうか?
- 粉瘤は、皮膚の下に形成される良性の腫瘍で、体のどこにでも発生しますが、発生の傾向としては、顔、首、背中、耳の後ろなどが挙げられます。粉瘤は、皮膚の上皮成分が皮内や皮下に落ち込み、袋状の構造を形成することにより発生します。この袋の中には、皮膚から剥がれ落ちるはずの垢や皮脂が蓄積され、時間とともに腫瘍は徐々に大きくなります。その形状は半球状で、中央には黒点状の開口部がしばしば見られます。この開口部からは、強く圧迫すると臭い粥状の物質が排出されることがあります。粉瘤の発生原因は完全には解明されていませんが、打撲や外傷の後、またはニキビの痕に発生することがあります。また、粉瘤は時には野球ボールほどの大きさになることもあるとされています。
- 粉瘤には種類があるのでしょうか?
- 一般的な粉瘤は、医学的な分類で表皮嚢腫と呼ばれ、毛穴の上部が内側に折り返し、皮膚の下に袋状の構造を形成するものとなります。この袋の部分は表面の皮膚(表皮)と同じ構造をしています。また、外毛根鞘性嚢腫や多発性毛包嚢腫というものも、粉瘤の一種とされています。外毛根鞘性嚢腫は頭部に生じやすく、表皮嚢腫よりも硬く感じることがあります。一方、多発性毛包嚢腫は腕や首、脇などに多数発生し、その内容物はマヨネーズのような黄色いドロッとした物質で、特に臭いはないとされます。
- 粉瘤とにきびやおできなどの皮膚疾患の見分け方を教えてください。
- 粉瘤は皮膚の下に袋状の組織ができ、その中に皮脂や角質などの老廃物が溜まった良性腫瘍です。一方、にきびは皮脂腺が過剰に分泌され、毛穴が詰まることが主な原因です。さらに粉瘤は自然に改善することはなく、手術が必要です。また、特有の臭いを発することがあります。これに対して、にきびは薬で改善することがあり、臭いはありません。おできは細菌に感染して腫れがでている炎症性粉瘤に似ているとされますが、おできと違って粉瘤のしこりは突然できるものではありません。
粉瘤が潰れた場合の対処や自力で治せるのかについて
- 粉瘤が潰れた場合はどうすればいいでしょうか?
- 粉瘤が潰れてしまった場合、まずは慌てずに冷静に対処することが大切です。特に、自分で膿を出そうとしたり、患部を無理に触ったりするのは避けましょう。このような行為は感染のリスクを高める可能性があります。患部は清潔なガーゼで覆い、できるだけ早く皮膚科を受診することをおすすめします。
- 粉瘤は自分で治せるのでしょうか?
- 粉瘤は皮膚の内側に形成される腫瘍で、角質や皮脂などの老廃物が溜まっています。自然になくなることはありません。自分で潰したり、切って絞りだしたりしても内容物が出て一時的に小さくなるだけで、袋を取り除かない限り再発してしまいます。逆に自分で潰したことにより、粉瘤が破裂して炎症を起こすこともあり、不要なリスクを高める可能性があります。したがって粉瘤は自分では治せません。粉瘤をなくすためには、手術で取り除く必要があります。
- 粉瘤を潰し、細菌に感染してしまうとどうなるのでしょうか?
- 粉瘤を潰して細菌に感染すると、炎症性粉瘤や感染性粉瘤という状態になります。細菌感染により粉瘤は急激に大きくなり、痛み、赤み、腫れを伴うようになります。また、無理に膿を押し出そうとすると、袋が破れて脂肪組織内に広がり、皮膚が化膿する膿皮症という状態になることがあります。放置すると、粉瘤はどんどん大きくなり、治療が難しくなります。大きくなった粉瘤の治療は、表皮を切開し袋ごと取り除くため、傷跡が大きくなる可能性があります。また、炎症が進行すると、内容物がドロドロになり、膿となり、最終的には破裂して、非常に臭い膿性内容物が排出されることがあります。このような状態になった場合は、抗生物質の影響力も限定的で、早急に表面を切開して膿を出さないといけません。したがって、粉瘤は医療機関で適切な治療を受けることが重要です。
粉瘤の治療法や似ている皮膚腫瘍について
- 粉瘤は薬で治療できるのでしょうか?
- 市販の塗り薬や抗生物質の内服薬が影響を及ぼすのは、粉瘤が炎症を起こし、腫れや痛みがある場合です。塗り薬や抗生物質は炎症を抑え、痛みを和らげるためのもので、粉瘤そのものを治療する薬ではありません。前述した通り、炎症がひどく、膿が溜まっている場合、通常は皮膚を切開し、膿を排出する処置が行われます。その後、抗生物質や外用薬で炎症や腫れを抑え、状態を落ち着かせます。その上で、手術により粉瘤を治療することになります。粉瘤の原因となる袋が体内に残っている限り、粉瘤は再発します。したがって、薬で一時的に症状が改善されたとしても、根本的な治療にはなりません。
- 粉瘤はどうやって治療するのでしょうか?
- 粉瘤の治療法は、感染の有無や部位、症状により異なります。感染がない場合、手術で摘出することが一般的です。皮膚を紡錘形に切開し、袋ごと内容物を摘出します。この方法では、傷跡を目立たなくするために、傷をシワに沿わせたり、くさび形に切除したりする場合もあります。感染がある場合、軽度であれば抗生剤や抗炎症剤の投与で鎮静化させ、その後摘出します。感染が重度であれば、一度切開・排膿して開放治療(軟膏治療)を行い、傷が落ち着いた後に摘出します。しかし、重度の場合は治療期間が長くなり、傷跡も目立つ可能性があります。
また、へそ抜き法という手術法もあります。これは、表面の皮膚開口部に特殊なメスを刺し込み、皮膚と一緒に袋状構造物の一部をくり抜く方法です。この方法では、傷跡が小さく、抜糸の必要もないため、患者さんの負担を軽減できるとされています。しかし、粉瘤がなくなるまでの日数は長くなる可能性があります。
- 粉瘤と似ている皮膚腫瘍はありますか?
- 粉瘤と似ている皮膚腫瘍には、皮様嚢腫、側頸嚢腫、正中頸嚢腫、耳前瘻孔、外歯瘻、毛巣洞、石灰化上皮腫(毛母腫)、癤・せつ(おでき)などがあります。これらの腫瘍は、生まれつき存在するものや、特定の部位に発生するもの、特定の病気によって引き起こされるものなど、様々な特徴を持っています。また、鑑別診断を要するものとして、石灰化上皮腫、脂肪腫、ガングリオン、脂腺嚢腫症、類皮嚢腫(デルモイドシスト)などがあります。これらは粉瘤と似ていますが、色、硬さ、発生部位、化膿の有無などの特徴により区別されます。皮膚腫瘍がある場合は、自己診断や自己治療を試みる前に、必ず専門的な医療機関で診断を受けることが重要です。
編集部まとめ
ここまで粉瘤が潰れた場合についてお伝えしてきました。
粉瘤が潰れた場合の要点をまとめると以下の通りです。
- 粉瘤は、皮膚の上皮成分が皮内や皮下に落ち込み、袋状の構造を形成することにより発生する
- 粉瘤が潰れた場合、患部は清潔なガーゼで覆い、できるだけ早く皮膚科を受診することが推奨される
- 粉瘤をなくすためには、手術で完全に取り除く必要がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただけると幸いです。