新着記事

注目のトピック

内視鏡(胃カメラ、消化器外科)

カプセル内視鏡とは?適用疾患・検査の流れについて解説

カプセル 内視鏡

医師からカプセル内視鏡を勧められたけれど「カプセル内視鏡とは実際どのような検査で保険は適用されるのだろうか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、カプセル内視鏡の適応疾患や検査の流れ・検査費用について解説していきます。

ぜひ、この記事をカプセル内視鏡の理解に役立ててみてください。

カプセル内視鏡が使用される診療科や選択するケース

大腸カメラ

カプセル内視鏡とはどのようなものですか?
カプセル内視鏡とは、薬のカプセルのような形状の小型の内視鏡です。カプセルの内部に小型カメラが2台と照明が内蔵されており、薬を内服するように水で飲むと大腸や小腸の観察が可能になります。
消化管の動きが速いときには、1秒間に35枚・遅いときには1秒間に4枚の撮影が可能です。撮影した画像データは無線で、外付けの記録装置に送信・記録がされます。通常、カプセル内視鏡は「小腸用」と「大腸用」があり、撮影時間は小腸が約8時間・大腸は約10時間を要します。
カプセル内視鏡は飲むだけで検査が行えるため、通常の内視鏡検査よりも身体的・精神的苦痛が少なく済みますが、費用が高額になるデメリットが存在することも事実です。
どの診療科で使用されるのですか?
カプセル内視鏡は、消化器疾患に特化した消化器内科や肛門・大腸科で使用されます。まれにカプセル内視鏡を導入していない医療機関もあるため、事前に医療機関に導入の有無を確認してみてください。
カプセル内視鏡が選択されるのはどのようなケースですか?
カプセル内視鏡が選択されるケースは以下の5つです。

  • 原因不明の貧血や出血便、消化管出血があり小腸の異常を疑われた場合
  • 腹痛や腹部膨満感がありCTや大腸カメラでも異常が見つからない場合
  • クローン病やベーチェット病で治療中の人
  • 腹部の癒着などで大腸カメラの挿入が困難な人

カプセル内視鏡は主に、従来の内視鏡検査で出血源が明らかにならない場合や大腸の狭窄や腹部の癒着で、内視鏡が奥まで挿入できず消化管の観察が行えない場合に使用されます。カプセル内視鏡が選択されるケースは事前に胃カメラや大腸カメラを実施して胃や腸からの出血がないと判明していることが大前提です。
実際、小腸は全長6〜7メートルあるため内視鏡が奥まで届きにくい事実があります。小腸に腫瘍やクローン病があった場合には原因不明の消化管出血が起こるケースもあり、カプセル内視鏡検査を行うことで発見される例も少なくありません。
また、大腸に狭窄があったり腹部に癒着があったりした場合も、挿入が困難だったり内視鏡が奥まで届きにくかったりするためカプセル内視鏡検査が選択されます。

カプセル内視鏡で消化管をすべて観察できるのですか?
カプセル内視鏡ですべての消化管を観察することはできません。口から入った内視鏡は、食道から胃・胃から小腸・小腸から大腸へと撮影を行いながら進みます。
カプセル内視鏡は、「大腸」と「小腸」を観察するための内視鏡です。一番観察を要する小腸と大腸は最終地点になります。小腸・大腸に内視鏡が到達する前にバッテリーが 切れてしまわないようほかの消化管の撮影枚数は限られているため、カプセル内視鏡ですべての消化管を撮影することは不可能なのです。

カプセル内視鏡の流れや検査後の注意点

OKサインを出す看護師

カプセル内視鏡検査を受ける前日の食事について教えてください。
カプセル内視鏡を受ける前日は「消化のよい食事」を心がけることが大切です。検査当日は、消化管を空にした状態で検査に臨む必要が あります。
したがって、検査前日は3食、白粥や素うどん(具材をいれないもの)を食べることがおすすめです。白粥や素うどんは消化がよく、腸内にカスが残りにくいことが特徴です。消化管内に食べ物のカスが残っていると、消化管内の異常を見逃してしまうケースがあります。
そのため、消化されやすい白粥や素うどんの摂取がおすすめです。野菜類・きのこ類・海藻類は消化管に残りやすいので、前日の摂取は避けるようにしましょう。なお、通常検査8時間前からは絶食します。検査開始時間は気にしておきましょう。
カプセル内視鏡検査の流れについて教えてください
カプセル内視鏡検査は検査前日の夜から始まります。下記に前日と当日の流れについて紹介していきます。検査開始8時間前の食事摂取は禁止です。検査当日に消化管内に食べ物のカスが残っていると、消化管内の観察が行えず異常を見逃してしまう危険があります。
そのため、検査時には消化管内は空にしておくことが大切なのです。なお、水分摂取は適宜大丈夫です。当日は起床時に、消化管内の泡を消すガスコンやガスモチンを内服します。
泡で消化管が見えにくくなることを回避する「前処置」です。ガスコンやガスモチンは、検査が決まった段階で病院から処方されます。内服について医師から説明がされるので、医師の指示どおりに内服をすることが大切です。
大腸カプセル内視鏡検査の場合は、前処置後に下剤(1.5〜2リットル)を内服します。病院に到着したら、まずは腹部に8カ所程電極が貼られます。医師の指示でカプセルを内服したら、検査開始です。検査中の行動制限は特にありません。デスクワーク・外出も可能です。
ただし、検査開始2時間を経過するまで水分摂取はできません。カプセル内服から1時間経過したら、カプセルが小腸に達しているかを医師が確認します。小腸にカプセルが移行していることが確認されたら、医師の指示で下剤を内服します。
検査開始から8時間経ち、カプセルが大腸へ移行していることが確認できたら検査は終了です。検査から1〜2週間後に外来にて結果説明がされます。食事摂取は、検査開始4時間後から・水分摂取は2時間後から可能です。
カプセル内視鏡検査を受けた後の注意点は?
カプセル内視鏡を受けた後に、特に注意しなくてはならないのはカプセルの排出確認です。カプセルは通常、検査から3〜4日後に便とともに排出されます。
排出が見られたら、回収し医療機関の指示に従って廃棄をするのが一般的です。便意を感じたときに検査をした医療機関から渡された回収キットを使用して回収します。万が一、2週間経っても排出が確認されないときは、検査を行った施設で診察を受けることが重要です。
排出確認方法は、レントゲンやCT撮影です。レントゲンやCTの画像にカプセルが映らない場合には排出されたとみなされますが、映っていた場合には、まずは下剤内服でカプセルの排出を促します。下剤を服用しても排出がない場合は、内視鏡や開腹手術での摘出が行われるケースもあるのです。
もしも、排出に気付かずトイレに流してしまってもカプセルは小型のためトイレが詰まる心配はありません。排出されないからといって合併症を起こすこともありません。

カプセル内視鏡の保険適用や費用相場

財布が気になる女性

カプセル内視鏡の検査には保険は適用されますか?
カプセル内視鏡では保険適用になるケースと保険適用にならないケースがあります。保険適用となる場合は以下のとおりです。「小腸」と「大腸」に分けて紹介していきます。「小腸」の場合は、下記の4つです。

  • 胃カメラや大腸カメラで異常が見当たらない
  • 原因がわからない消化管出血を認める
  • 下痢や腹痛の症状を認める
  • 消化管の狭窄を認める
  • 小腸疾患が疑われる場合

「大腸」の場合は、下記の3つです。

  • 大腸の狭窄などの異常で従来の大腸カメラで大腸奥まで到達しない
  • 腹部の手術歴があり、癒着が起きているために大腸カメラの挿入ができない
  • 高血圧や慢性心不全などの手術歴があり、大腸カメラの挿入が困難な場合

以上が、カプセル内視鏡が保険適用になる症例です。大腸がん検診目的や羞恥心による大腸カメラへの抵抗でカプセル内視鏡を希望する場合には保険適用外となるケースもあります。一度、医療機関へ相談してからカプセル内視鏡を検討することが重要です。

カプセル内視鏡の費用相場を教えてください。
カプセル内視鏡の相場は、保険適用と判断された場合、3割負担で30,000〜50,000円・1割負担で9,000円〜10,000円です。
保険適用外と判断されたときは、自費で100,000〜130,000円(税込)程かかり、ほかの検査と比較すると高額となります。上記のカプセル内視鏡の相場に再診料・薬代などは含まれていません。
そのため再診料や薬代によって変動があることも事実です。費用に関して心配な場合は、医療機関へ事前に相談しておくことが重要です。

編集部まとめ

案内する女性

この記事では、カプセル内視鏡の適応疾患や検査の流れ・検査費用について紹介しました。

カプセル内視鏡の適応疾患や検査の流れ・費用についておわかりいただけたのではないでしょうか。

カプセル内視鏡は主に小腸疾患が疑われる方や、腹部の癒着や狭窄で従来の大腸内視鏡検査が困難と判断された場合に保険適用で実施されます。

カプセル内視鏡は飲むだけで、小腸や大腸を観察することが可能です。また、カプセル内視鏡は、検査時の行動制限も設けられていません。

そのため、患者さんにとっては苦痛の少ない検査といえるでしょう。

カプセル内視鏡の誕生にともない、従来の内視鏡では発見しにくかった小腸疾患や大腸疾患の発見が容易になったことも事実です。

しかし、カプセル内視鏡の対象は、原則として「腹部の手術が原因で癒着が起きていたり、大腸カメラを実施しても回盲部までの到達が困難だったりして、従来の大腸カメラの実施が困難な時や小腸疾患が疑われる場合」になります。

大腸がん検診目的や大腸カメラの代わりでのカプセル内視鏡の実施は保険適用外となる可能性もあるため注意が必要です。

ぜひこの記事をカプセル内視鏡の理解と知識の向上にお役立てください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP