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粉瘤の痛みはなぜ起こる?炎症性粉瘤の治療法についても徹底解説!

粉瘤の痛みはなぜ起こる?

粉瘤は皮膚下にできる良性腫瘍の1つですが、時に赤く腫れあがり、痛みを伴うことがあります。この痛みは、炎症や感染によって引き起こされることが多いとされています。 本記事では粉瘤の痛みについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 粉瘤に痛みがある状態について
  • 炎症性粉瘤の治療法
  • 粉瘤に痛みがある時の対処法

粉瘤の痛みについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

そもそも粉瘤に痛みがあるのはどういう状態?

そもそも粉瘤に痛みがあるのはどういう状態?

粉瘤は皮膚の下に袋状の嚢腫ができ、角質や皮脂が皮脂腺が詰まることで発生します。初期の粉瘤は痛みを伴わないとされていますが、「炎症性粉瘤」と呼ばれる状態になると、痛みが生じることがあります。これは、粉瘤内の細菌感染や外部からの圧力などによって炎症が起こり、腫れや赤みを伴うためです。特に、粉瘤が破裂し膿が広がると、強い痛みや悪臭を放つことがあります。
炎症性粉瘤は、早期の適切な治療が必要です。放置すると症状が悪化する可能性があるため、痛みを感じたら医師の診察を受けることをお勧めします。

炎症性粉瘤について

炎症性粉瘤について

炎症性粉瘤は皮膚下に発生する袋状の腫瘍で、角質や皮脂が溜まることで形成されます。炎症や化膿を伴うことから、この名前がつけられています。 炎症性粉瘤は治療を要する疾患であり、適切な対処が必要です。放置しても自然治癒することはないとされ、炎症が広がると組織の破壊が進み、皮膚が壊死し、皮膚に穴が開きます。

炎症性粉瘤の原因

炎症性粉瘤は、皮膚にできる袋状の腫瘍で、その中には皮脂や角質などの老廃物が溜まっています。これらの老廃物は細菌が増殖し易い環境を生み出し、粉瘤の小さな開口部から細菌が侵入する「細菌感染」が起こり、炎症の一因となります。特に、摩擦や圧迫が多い部位で発生しやすいと考えられています。
また、患部に触れたり押さえたりすることで粉瘤の袋状組織が損傷し、老廃物が皮膚内部に漏れ出すことで「異物反応」が引き起こされます。これも炎症の原因となります。 炎症性粉瘤の原因は、細菌感染よりも異物反応による炎症の方が多いと考えられています。このため、粉瘤の圧迫や損傷を避けることが重要です。

通常、皮膚には常在菌が存在し、健康な状態では問題を起こすことはありませんが、粉瘤の中で細菌が増殖すると、体の防御反応が活性化し、炎症が発生します。炎症が進行すると、粉瘤は赤く腫れ上がり、痛みを伴うようになります。重症化すると、全身に細菌が広がり、発熱を引き起こすこともあります。

炎症性粉瘤の治療は、炎症を抑えるために早期の対応が重要です。炎症性粉瘤は自然治癒することはなく、放置すると膿瘍になり、破裂する恐れがあります。また、炎症が長引くと、色素沈着や瘢痕を残す可能性があります。そのため、炎症を早期に抑え、適切な治療を受けることが推奨されます。

炎症性粉瘤の症状

粉瘤は炎症を起こすことで、何倍にも腫れあがり、痛みや化膿を伴います。 炎症の程度は個人差がありますが、脇や鼠径部といった、動きの多い関節部分やデリケートな部分に出来た場合、腕や足等を挙げられないほどの痛みを伴うことがあります。

炎症性粉瘤の初期段階では、小さなしこりとして感じられることもありますが、炎症が進行すると、患部が硬く、赤く腫れ上がり、触れるだけで痛むようになります。 炎症が重症化すると、皮膚の下に膿が溜まり、破裂して膿が外に出ることもあります。 炎症性粉瘤を放置していると、増殖した細菌が全身に回り、発熱を伴うこともあります。

これらの症状は日常生活にも影響を及ぼすため、疑われる場合は速やかに皮膚科を受診することが重要です。また、炎症性粉瘤は再発する可能性があるため、治療後の適切なケアも必要です。

炎症性粉瘤の治療法

炎症性粉瘤の治療法

炎症性粉瘤の痛みを和らげるためには、早期の治療が重要です。炎症を抑えるためには、抗生物質の使用や、場合によっては粉瘤の切開と排膿が必要になることがあります。痛みが強い場合や炎症が長引く場合は、医師の診断と治療を受けることが推奨されます。 適切な治療を行わないと症状が悪化する恐れがあるため、早期の対応が重要です。

以下で、炎症性粉瘤の主な治療法について解説します。

保存的治療:内服薬(抗生物質)

保存的治療とは、抗生剤の内服や塗り薬で、炎症を少しずつ小さくしていく方法です。粉瘤が小さく炎症が軽いケースや、様子を見る際に選択されます。
炎症性粉瘤に対する保存的治療として、痛みがある場合の鎮痛剤や、抗生物質の内服があります。しかし、粉瘤内部には血管がないため、抗生物質は炎症部位に十分に届かず、大きな粉瘤には効果が限定的だとされています。
軽度の疼痛を伴うだけであれば、ステロイドの局注や抗菌薬の内服で改善を図ることもあるようですが、根本的な解決には至りません。

切開排膿(くりぬき法)

切開排膿は、炎症性粉瘤の治療法の一つで、くりぬき法とも呼ばれます。患部周辺に局所麻酔を施した後、特殊なパンチやメスを使用して患部に小さな穴を開け、老廃物を絞り出します。排膿とは、このように老廃物を排出する処置のことを指します。
排膿後は、皮膚の下にある被膜と呼ばれる袋状の組織も摘出され、止血が行われた後、開けた穴を丁寧に縫い合わせます。この処置により、老廃物が排出され、粉瘤の炎症を一時的に抑制することが可能とされています。
手術時間が約5〜20分と短いことや、傷跡が小さく済むことから、患者さんへの負担は少ないとされています。また、縫合が不要なケースが多い傾向にあるため、痕が残りにくいとされています。
しかし、痛みや再発のリスクがあり、洗浄や経過観察のために通院が必要になるケースもあります。
また、くりぬき法は、炎症を繰り返していて周囲の組織との癒着が強い場合は適応になりません。

摘出手術

摘出手術は、切開排膿とは異なり、患部の老廃物を取り除いた後、粉瘤をまるごと摘出する治療法です。粉瘤のサイズが大きい場合に行われます。
摘出手術は、局所麻酔を施した後、直径約4mmの円筒状のメスで切開し、粉瘤を含む老廃物を取り除きます。その後、しっかりと止血し、切開部分を縫い合わせることで治療は終了します。
傷跡は、約2〜3週間後に1度硬くなりますが、その後徐々に柔らかくなっていくとされています。粉瘤の状態にもよりますが、手術痕は残る可能性があります。

摘出手術は、抗生物質の内服や切開排膿では効果を期待できない場合、または根治を目指す際に適した方法とされています。日帰り手術に対応しているクリニックもあるようです。
ただし、患部に炎症がある場合は、皮膚と袋が癒着してしまっているため、すぐに手術を行うことはできません。炎症が落ち着いた後、約三カ月程度の時間を要することがあります。
また、炎症の期間が長く症状が悪化している場合、1度に粉瘤を摘出できない場合があります。全て摘出できなかった場合は、再発のリスクがあります。そのため、できるだけ早い段階での手術が推奨されています。

炎症性粉瘤の治療費は健康保険が適用されます。治療費の目安は、粉瘤の大きさにもよりますが、手術自体は3,000円~1万5,000円程度、それ以外に抗生物質の薬代が3,000円程度かかるとされています。
ただし、美容外科や美容皮膚科では、粉瘤の手術が保険診療ではなく、自由診療で行われている可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

炎症性粉瘤の根本的な治療を希望する場合は、早めに皮膚科の受診が推奨されます。

炎症性粉瘤手術の痛み

手術は局所麻酔の下で行われるため、手術中の痛みは感じにくいとされています。しかし、炎症が強い場合は麻酔を打つ際には痛みを感じることがあります。
病院によっては痛みを軽減するための工夫がなされている場合もあり、細い針の使用やクーリング、塗るタイプの麻酔などが用いられることもあります。
痛みが心配な方は、事前に医師に相談するか、痛みを抑える工夫をしている医療機関を選ぶと良いでしょう。

粉瘤の痛みがある時は

粉瘤の痛みがある時は

粉瘤が痛む場合は、患部に触れず、症状を悪化させないよう注意が必要です。
以下に、痛みを感じた際の対応について紹介します。

粉瘤が痛い時の服装

粉瘤が痛む場合は、圧迫や摩擦を避けるために、タイトな衣服の着用は避けましょう。特にお尻や陰部、足など下半身に粉瘤がある場合は、ふんわりとした服装を選ぶことが推奨されます。
炎症性粉瘤は、触れずに刺激が少なかった場合、手術の際に皮膚との癒着が少ないため、皮膚の下にある袋状の組織を摘出しやすいといわれています。ですが、患部に触れるなどして刺激が多かった場合は、被膜と皮膚との癒着が大きくなるため、被膜の一部が体内に残りやすくなり、再発の可能性も高まります。
粉瘤に触れにくく快適な服装を選び、症状の悪化を防ぎましょう。

粉瘤が痛い時の入浴

入浴時は、粉瘤を刺激しないように優しく洗うことが大切です。バスタブに長時間浸かることや、患部を強くこすり洗いすることは避けてください。シャワー浴に留めておきましょう。清潔さを保つことは重要ですが、過度な洗浄は逆効果になることがあります。

痛み止めは使っても良い?

痛みが強い場合は、痛み止めを使用することも一時的な対処法として考えられますが、これは対症療法に過ぎません。痛みの原因に対処するためには、医師の診断と治療が必要です。
炎症性粉瘤は自然に治るものではないため、痛み止めのみに頼ることは推奨されません。

粉瘤が痛い時にやってはいけないこと

赤みやジクジクとした痛み、膿が出てきた場合は、何も塗らずにガーゼを厚めに当てて対処しましょう。患部を潰したり、中身を出すことはしないでください。症状を悪化させる可能性があります。
また、激しい運動やアルコールの摂取も炎症を促進するため、控えるべきでしょう。痛みが酷くなり、発熱したりする可能性があります。
また、日帰り手術の場合も同様に、術後の飲酒や運動は避けましょう。

まとめ

まとめ

ここまで粉瘤の痛みについてお伝えしてきました。粉瘤の痛みについて、要点をまとめると以下の通りです。

  • 初期の粉瘤は痛みを伴わないとされているが、症状が悪化して「炎症性粉瘤」と呼ばれる状態になると、痛みが生じるようになる
  • 炎症性粉瘤の治療法として、内服薬等で様子をみる保存的治療と、粉瘤の袋を摘出する手術や、皮膚を切開して膿を摘出する手術的療法がある
  • 粉瘤に痛みがある時は患部に触れること、潰すことはせず、症状を悪化させないよう注意が必要。摩擦が起こらないようタイトな服装は避け、入浴もシャワー浴に留めておく

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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