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肛門痛の原因は?激しい痛みを引き起こす病気・治療法を解説

肛門痛 原因

肛門やおしりの痛みで悩んでいませんか。

肛門やおしりはデリケートな部分でもあるため、痛みがあっても病院を受診することに抵抗を感じやすい部位です。

痛みに耐えながら生活をおくることで、日常生活に支障をきたす恐れもあります。

また、放置したことで受診した時には症状がかなり進行していたケースもあります。

そうならないためにも、肛門やおしりに違和感を覚えた時点で受診するのが理想的です。

この記事では、肛門痛の原因や激しい痛みを引き起こす病気・治療法を紹介します。肛門痛で悩んでいる方は参考にしてください。

肛門痛の原因として考えられる病気

お尻を手で押さえる若い女性

腫れをともなう肛門痛の原因は何ですか?
腫れをともなう肛門痛には、痔核・肛門周囲膿瘍・痔瘻(じろう・あな痔ともいう)があります。これらの原因は、以下のとおりです。

  • 肛門周囲の支持組織の減弱
  • 内肛門括約筋の過緊張
  • 細菌やウイルスの侵入
  • 便の性状
  • 遺伝
  • 加齢

痔核は、肛門周囲の血行が悪くなることで血管が膨らみ、排便時に肛門から出た痔核が肛門に圧迫されて腫れます。重い荷物を持つことが多い方・座位姿勢が長時間続く方・食物繊維が不足している方などがなりやすい疾患です。45~65歳の年齢層でかかる方が多く、無症状で気付きにくいのも特徴です。
肛門周囲膿瘍は、便中に含まれる細菌が粘液を分泌する腺に侵入することで、肛門周囲が化膿して腫れます。そのため、下痢が原因の1つと考えられます。
肛門周囲膿瘍後になりやすいのが痔瘻です。痔瘻はあな痔とも呼ばれ、皮膚に穴が空いた状態となり、肛門周囲の腫れや痛みが持続しやすくなります。

腫れをともなわない肛門痛の原因は何ですか?
腫れをともなわない肛門痛の原因として以下が考えられます。

  • 裂肛のように肛門が切れたことによる器質的な原因
  • 過去に肛門の手術を行い、傷は治っているが痛みは続く神経的な原因
  • 肛門自体に問題は認められないが、ストレスなどの精神的な原因

裂肛は、20~50代の女性に多い疾患です。原因として、便秘や肛門を締める圧が強いために起こるともいわれています。
排便中や排便後に痛みが出やすいのが特徴です。また、ストレス性と思われる肛門痛が増えています。こちらは、数秒から数分と一過性に鋭い痛みがあるものや20分以上痛みが続くものがあります。
原因は、まだ定かではありません。しかし、神経自体の損傷や心的な要因があると考えられています。

肛門以外が原因で肛門痛が起こる場合がありますか?
あります。直腸が肛門から飛び出てしまう直腸脱です。直腸脱は特に高齢の女性の方で起こりやすく、若い方でも発症する可能性があります。
直腸脱が起きる原因は、直腸と仙骨の固定が緩みやすくなっていたり、加齢や出産により骨盤底部の筋力が低下していたりするためです。この状態で排便時に強くいきむと直腸脱につながります。なかなか排便ができず、数十分かかる方は注意してください。
どのような種類の痛みが起こりますか?
痔核は、できて数日間は強い痛みが続きます。次第に痛みもひいていきますが、不快感が残る場合があるかもしれません。
肛門周囲膿瘍では、初期に肛門周囲の突発的な痛みが出やすいです。膿瘍が溜まり範囲が深くなると、痛みも重くなります。排便に関係なく痛みを感じるのが特徴です。
裂肛は、排便時や排便後に痛みを感じやすく、その痛みが数時間持続することもあります。また、ストレスなどによる肛門痛ではちくちく・ひりひりするような痛みの方もいれば、急にうずくまる程の激痛を感じる方もいます。

肛門痛の原因ごとに行う治療法

笑顔の女医

肛門痛を感じたら何科を受診すればよいですか?
肛門痛を感じたら、肛門科・外科の病院を受診するとよいでしょう。
肛門を専門的に診察しているクリニックもあります。インターネットで検索してみて、心配であれば病院に直接聞いてみるのもいいかもしれません。
腫れをともなう肛門痛に対する治療法について教えてください。
治療には、保存的治療と外科的治療があります。いぼ痔などの痔核の保存的治療は、生活指導や薬物療法です。
まず、水分や食物繊維の摂取をすすめ、長時間のいきみや身体の冷えなどの生活指導を行います。薬物療法では、坐薬や軟膏の外用薬と腫れや痛みを和らげるお薬を出しています。排便時に痔核が肛門から出てしまい、指で押しこまないと戻らないような状態にまでなると、手術が必要です。
肛門周囲膿瘍では、診察をして肛門周囲膿瘍とわかれば、すぐに切開して排膿を行います。糖尿病などほかの疾患もある方や排膿しても改善しない方には、抗菌薬の投与も必要です。痔瘻も、自然治癒が稀なため、手術が必要になります。
特発性直腸肛門痛の場合にも有効な治療法がありますか?
はっきりとした治療法はまだありませんが、神経痛を和らげる薬・ブロック注射・漢方で特発性直腸肛門痛の症状が改善したとの論文が出ています。
ただこの論文では、うつ病の方には効果が乏しいことが報告されています。また、特発性直腸肛門痛は身体の痛みはありますが、突発的に起こるため医師や周囲の人に理解されにくい病気です。
患者さんには、ご自身の症状が理解されないことで不安になる方もいます。そのため、珍しい症状ではないことや同じ病気の患者さんがいることをお伝えし、患者さんの孤独感を解消させるのも医師の大切な役割です。

家庭でできる肛門痛のケア方法

お尻にハートをあてるサラリーマン

肛門痛を和らげる方法はありますか?
痔核や裂肛では、入浴や使い捨てカイロなどで肛門・おしりの周辺を温めると痛みが和らぎやすいです。
肛門周囲の筋肉・神経の過緊張が関係している可能性もあり、患部周辺を温めることで筋肉が緩んで痛みも緩和されやすくなります。また、長時間同じ姿勢で座っていると痛みが出やすいため、細めに休憩をとる・休憩時に立つなどおしりへの負担を少なくするのも1つの手です。
痛みが強い場合には、鎮痛剤を服用しても効果があります。
肛門痛を引き起こさないための予防法はありますか?
肛門痛を引き起こさないための予防法は、生活習慣・排便習慣の改善です。
肛門痛は、肛門や肛門周囲の組織に負荷がかかることで起きます。そのためにも、なるべく肛門に負荷がかからないスムーズな排便を目指しましょう。スムーズな排便には、十分な水分や食物繊維の摂取が必要になります。お肉中心の方は野菜も食べるように心がけてください。
便が出づらいと過度ないきみや長時間の座位につながり、肛門にもおしりにも負荷がかかりやすいです。便意を我慢しない・肛門周辺の清潔さを保つなども肛門痛を引き起こさないための方法です。加えて、身体の冷えにも注意が必要です。身体の冷えは下痢を起こす原因にもなります。
下痢を起こしやすい方は、体を冷やしやすい冷たい飲み物やアルコール・香辛料の過剰摂取に気をつけましょう。また、排便に影響を及ぼすのが、ストレスです。日頃からストレスを溜め込みやすい方は、ストレス対策を行うことも、肛門痛を引き起こさないための予防法になります。
痛みが治まったら放置しても問題ないですか?
痛みが一時的に治まることはあっても、その他の症状は治まっていない可能性が高いと思われます。
肛門は自身で状態を見るのが難しい箇所でもあり、痛みは感じていても状態の変化に気付きにくい部位です。肛門周囲膿瘍では、排膿で痛みは減ります。
しかし、排膿で組織に空間ができると膿の通り道が作られ痔瘻になりやすいです。痔瘻ができる場所によっては、治療が難しいこともあります。肛門周囲膿瘍・痔瘻は再発するケースもあるため、おしりに違和感を覚えた際にはすぐに近くの肛門科の病院へ受診することをおすすめします。

編集部まとめ

水・白湯を飲んで温活する日本人女性

肛門痛は、肛門周囲の支持組織の低下・神経や筋肉の過緊張・生活習慣・排便習慣・ストレスなどによって起こります。

肛門は診察をためらう部位でもあり、痛みに耐えながら生活している方もいるのではないでしょうか。

痛みはさまざまで、激しい痛みを感じる時もあれば、一時的に痛みがひいてしまうこともあります。

痛みを放置してほかの症状が進行してしまうと、手術が必要になります。おしりに違和感を覚えたら、できる限り早く病院を受診しましょう。

食事や排便など日常生活で取り入れられる対策法があります。できることから取り入れて肛門痛に悩まない生活を目指してください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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