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胆石の原因|胆石症の症状・検査・治療法についても解説します

胆石 原因

胆石とは、肝臓から送り出された胆汁を蓄えて濃縮する胆嚢や、肝臓から胆嚢への通り道である胆管で胆汁成分が固まってしまいできたものです。

胆石症と聞くとどのようなイメージがあるでしょうか。

中年以降で、太っている人やお酒をよく飲む人などから「石ができてしまった」と聞くこともしばしばあります。

この記事では、胆石症の原因・症状・検査・治療方法について解説します。

記事の後半では、胆石症の人が気を付けるべきことについても解説しているので、自分や身近な人が胆石症もしくはその疑いがある場合には参考にしてみてください。

胆石の原因は?

胆石の原因は?

胆石のできる原因は、現在のところ明確には分かっていません。胆汁の成分は、胆汁酸・コレステロール・ビリルビンといわれる胆汁色素などから成るのですが、これらのバランスが乱れると結石ができてしまうと考えられています。

食生活において、脂質が多くなると胆汁の中でコレステロールの量が増加します。胆汁中に溶けきれなかったコレステロールが析出し、結石の原因になる可能性があるのです。

また、溶血性貧血・肝硬変・胆道感染などの疾患によってビリルビンが上昇すると、ビリルビン由来の結石ができる原因になります。

さらに、胆汁のうっ滞が結石の原因となる場合もあります。胆嚢は食事をとると収縮し、十二指腸に胆汁を送り出す働きがありますが、胆汁そのものの動きが悪い場合はそのことが結石の原因となってしまうのです。

近年日本では、胆石症の患者さんの割合が増加していて、有病率は成人のおよそ8%といわれています。

割合が増加している理由は以下の2つが考えられます。

  • 食生活の欧米化による脂肪の摂取量の増加
  • 医療技術の進歩による無症状・小さな胆石の発見

現代の食生活は、古くからの日本食と比べて脂肪の摂取量が増えているため、以前はあまり見られなかった新たな疾患が増えてきているのです。

また結石の発生には、肥満・過食・不規則な食生活・ストレスなどの生活習慣が影響するといわれています。心当たりのあるところから注意していくとよいでしょう。

胆石症の症状

胆石症の症状

胆石症は半数以上は無症状です。自覚する症状には、心窩部痛・右季肋間痛などが起こります。

結石があり無症状の人のうち、症状が出る人は5〜10年で20〜40%程度です。

症状が出る原因は、胆石が動く物理的な刺激・胆石の詰まりで胆汁の流れが悪くなるなどの理由が挙げられます。また、胆石が詰まることにより細菌感染が起こることも症状が現れる原因です。

胆石症で現れる可能性のある症状は以下のものがあります。

  • 胸やけ
  • 上腹部痛
  • 黄疸
  • 吐き気
  • 発熱

ここでは、上記の5つの症状について解説します。

胸やけ

胆石が胆嚢の出口を塞ぐことで、胆汁が滞るため腹痛とともに胸やけの症状が現れる場合があります。

上腹部痛

上腹部痛

心窩部から右季肋部にかけた差し込むような激しい痛みである疝痛発作が起こります。腹部痛が典型的ですが、みぞおち・右肩・背中などの痛みをともなう場合もあるのです。

また、疝痛ではなく鈍痛や圧迫されるような痛みが出る場合もあります。発作は食べ過ぎた日の夜・脂肪の多い物を食べた後などに起きやすいです。

黄疸

胆石が胆道に詰まったり、胆嚢が炎症を起こして化膿したりすると、胆汁の流れが悪くなり黄疸・肝機能異常の症状を来す場合があります。

黄疸はビリルビン濃度が上昇することによって起こり、進行すると眼球結膜・皮膚が黄色になります。

吐き気

胆石が胆嚢を塞ぐことで、胆汁が滞るため、腹痛とともに吐き気・嘔吐・食欲不振などの消化器症状が出る場合があるのです。

腹痛と同じタイミングで症状が出ることもあります。食後に腹痛とともに吐き気・胃部不快感もあり、治療を開始する必要があります。

発熱

発熱

発熱は、腹痛が出た後にしばしば認められる症状です。胆石があることで胆嚢内に胆汁が滞り、細菌感染が起こるため現れる症状です。

悪化すると急性胆嚢炎を起こして、腹痛とともに38℃以上の高熱が出ますが、風邪と勘違いをしてしまい症状が悪化する場合があります。

胆石症の検査

胆石症の検査

気になる症状があり、医療機関を受診して胆石症が疑われた場合、どのような検査をするのでしょうか。

胆石症で行う主な検査は以下のものです。

  • 超音波検査
  • 血液検査
  • CT検査

ここでは、これらがどのような検査なのか、何を調べるのかについて解説します。

超音波検査

超音波検査

超音波検査では、腹部に超音波を当てることで胆石があるかどうかを確認します。結石の数・大きさ・胆嚢の壁の肥厚などがわかるのです。

患者さんの体に負担がなく、簡単に確認することができるのでまずはこの検査が行われることが多いです。

食後・お腹にガスがたまっているとき・肥満体型の人の場合には診断が難しくなります。

血液検査

胆嚢炎・胆管炎を起こした場合、血液検査で異常を認めます。疝痛発作にともない、CRP・白血球などの炎症に関与する数値が上昇します。

また、肝酵素(ALT・AST)・胆道系酵素(ALP・LAP・γ-GPT)の上昇が併せて見られれば、胆石症の可能性が疑われるでしょう。

さらに、胆管炎では胆汁の流れが滞るため、ビリルビン値・アミラーゼが上昇することがあります。

CT検査

CT検査は体の周囲からX線を当て、体内の吸収率の違いから体の断面を画像化する検査です。検査の目的によっては造影剤を使用することもあります。

CT検査は、超音波検査ほど胆石の検出率は高くありません。しかし、石灰化した胆石の検出、胆嚢・胆管の炎症の有無を知るために有用です。

CT検査では、純コレステロール結石は検出できませんが、胆管結石に多いビリルビンカルシウム結石を確認することができます。

また、胆嚢の炎症・血管の走行についてを確認できるため、手術方法を決める際には必要な検査です。

なお、CT検査以外に以下の検査を実施する場合もあります。

  • MRI検査
  • 胆道造影検査

MRI検査は、磁気を使って体内の情報を得る検査です。超音波検査で胆嚢の壁の肥厚や変形が確認された場合、MRI検査で詳細に胆嚢の状態を確認する必要があります。

造影剤を使用しなくても、画像を撮影することができる検査です。20分程度狭いところで静止している必要がありますが、明瞭な画像の撮影ができます。

胆石症におけるMRI検査では、胆嚢・胆管・膵管の形や状態を確認でき、結石の有無もわかります。

また、超音波検査では同定することが困難である場合が多い胆管結石の有無についても確認できます。

さらに、胆道造影検査には経静脈的排泄性胆道造影検査(DIC)・内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)があります。

経静脈的排泄性胆道造影検査(DIC)は、まず造影剤を静脈から点滴で投与し、肝臓に取り込ませます。その後、造影剤が胆管・胆嚢に出てくる時間を計算して、レントゲン撮影を行うことで胆管・胆嚢の画像を撮影します。

胆汁の排泄能・肝臓から胆嚢への胆汁の流れなどを確認することで、胆嚢の働きに問題がないか・詰まりがある部分はどこなのかを確認します。

総胆管結石の検出に有用な検査で、胆嚢結石で手術を行う前に、総胆管の状態を確認するために必要な検査です。

内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)は、内視鏡を用いて胆管・膵管を造影する検査です。口から十二指腸まで、胃カメラを入れて胆管・膵管の出口から細い管を通して造影剤を注入します。

造影剤を注入して、胆管・胆嚢・膵管の画像を撮影し、その画像から胆道や膵管の状態を確認できます。

検査と同時に膵液・胆汁の採取や生検のための組織採取も可能です。総胆管結石が強く疑われる場合には、結石の診断と摘出を同時に行う場合もあります。

胆石症の治療方法

胆石症の治療方法

胆石症の治療法は、大きく内科的治療と外科的治療に分けられ、一般的に行われることがある治療には以下のものがあります。

  • 経口胆石溶解療法(内科的治療)
  • 体外衝撃波(内科的治療)
  • 胆嚢摘出術(外科的治療)

ここでは、これら3種類の治療方法についてそれぞれ解説します。

経口胆石溶解療法

胆汁酸を含む薬剤(ウルソデオキシコール酸・ケノデオキシコール酸)を内服して、コレステロール結石を溶解します。

薬を内服することで、胆汁成分のバランスが変化してコレステロールを溶かすことで効果を示すのです。

この治療方法は、小さいコレステロール結石に有効ですが、治療に時間がかかります。またコレステロール結石以外の結石の場合には効果がありません。

条件が良ければ、完全溶解率は2年で45%という報告もありますが、一般には完全溶解率は20〜40%程度です。

さらに、再発の可能性がある治療で、再発率は20〜50%程度です。中止すると再発する場合があります。

体外衝撃波

体外衝撃波とは、体の外から衝撃波を与えて結石に当てることで結石を粉砕し、除去します。

再発しやすいことや砕けた結石が排出される際に膵炎・胆管炎・胆道閉塞などの重篤な合併症を起こすことがあるため、胆石治療には近年はあまり用いられていない治療方法です。

体外衝撃波の治療効果として、完全消失率は55%程度です。また、再発率は1年で20%、5年で40%程度といわれています。

胆嚢摘出術

外科手術である胆嚢摘出術が胆石症の根治療法です。そのため、症状がある場合には、手術が推奨されます。

手術方法には開腹手術と腹腔鏡下手術があり、症状や患者さんの状態によりどちらの方法が選択されるか決まります。

開腹手術は、従来の手術方法で臍の上か右肋骨の下を10〜15センチ切り開き、胆嚢・胆石を取り出す方法です。

腹腔鏡下手術では、臍と3ヵ所に穴を開けて内視鏡を用いて胆嚢を切除する方法です。傷跡が目立たず、痛み・癒着が少ないため術後の回復が早い手術方法であるため、現在こちらが主流になっています。

腹腔鏡下手術を行っていても、開腹手術に変更となる場合は以下の通りです。

  • 胆嚢の炎症や癒着が強い場合
  • 胆管の走行に異常がある場合
  • 大出血があるなど、安全に腹腔鏡下手術を継続できない場合

安全性を考慮し、手術が行われるためそのままでは危険がある場合、開腹手術に切り替えるのです。

手術では、胆嚢を摘出して全て取り除くことになります。結石だけ取り除けば良いと思われがちですが、一度できてしまうと、胆嚢の中が結石ができやすい状態になってしまいます。

このため、胆嚢ごと取り除いて結石ができる場所をなくしてしまうことが確実な治療方法です。

胆嚢の働きは、肝臓でできた胆汁を一時的に保管することのみなので、取り除いても特に問題はありません。食後の下痢が起こりやすくなる人もいますが、投薬や時間経過により改善します。

胆嚢結石以外の結石の種類とは?

胆嚢結石以外の結石の種類とは?

胆石は胆嚢以外にも肝内胆管・総胆管にもできる場合があります。一般的に胆石症というと胆嚢結石症のことをいいます。結石が肝内胆管にできると肝内結石・総胆管にできると胆管結石(総胆管結石)と呼ばれるのです。

ここから、胆嚢以外で作られる結石である肝内結石・総胆管結石について解説します。

肝内結石

肝臓と胆嚢は胆管でつながっていて、胆汁の通り道となっています。肝臓の中ある胆管に結石ができると肝内結石と呼ばれます。

肝内結石の多くは、ビリルビンが主成分の茶褐色の結石で、細菌感染をともなった胆汁うっ滞が原因で作られると考えられています。

肝内結石症は良性疾患ではあるのですが、ほかの結石と異なり、完治が難しく再発を繰り返してしまうことが多いです。

再発を繰り返すと、炎症がひどくなったり、肝機能が低下したりする場合があります。また、肝内結石は肝内胆管癌を合併することがあるので、経過観察の場合でも定期的に医療機関で検査をしていく必要があります。

総胆管結石

総胆管は肝臓から十二指腸までつながる胆汁の通り道です。この部分に結石ができると総胆管結石と呼ばれます。

胆嚢結石は無症状が多いですが、総胆管結石は急性胆管炎や胆石性膵炎を発症し症状が出てくることが多いです。どちらも命の危険のある疾患であるため、総胆管結石は無症状でも治療を開始する必要があります。

特に高齢者は、症状が軽いうちに体調がよい時を見計らって手術をしたほうがよいでしょう。

早期に治療を行い、結石を取り除けば完治することも可能な疾患であるため、早期発見・早期治療を行うことが重要です。

胆石症の方が気を付けるべきこととは?

胆石症の方が気を付けるべきこととは?

胆石があった場合でも無症状であれば、特に禁止事項もなく日常生活を送れます。ただし、無症状であっても定期的に医療機関を受診し、超音波検査で胆石の状態を確認してもらう必要があります。

腹痛・胸やけなどの症状が出ている場合には治療が必要で、さらに発熱・黄疸が出てくる場合にはすぐに受診することが必要です。

以下の2つが、胆石症の腹痛の原因と考えられています。

  • 脂肪分の多い食事
  • 精神的なストレス

このため規則正しい生活を送り、脂肪の多いものは避けるように心がけましょう。卵は胆嚢を収縮させて、腹痛発作を引き起こすことがあるので、取り過ぎないようにしてください。

腹痛発作が起こっているときは食べ過ぎないように腹6分目程度に留め、少な目に食べるようにします。おかゆや温めたスポーツドリンクなどを摂取するようにして胃腸を休めるようにしましょう。

肥満にならないように注意することは大切ですが、急激なダイエットは胆石の形成や疝痛発作につながるため無理のない範囲で計画しましょう。

まとめ

まとめ

胆石症は無症状であることが多いですが、腹痛・胸やけ・黄疸などの症状が出ると治療が必要です。確実に治すための方法としては手術療法が必要となります。

胆石症は食生活の欧米化により、脂肪食が増えたことにより増加してきたと考えられている病気です。胆石症で腹痛発作が起こる場合には、脂肪の摂り過ぎに注意して安静に過ごしましょう。

また、精神的なストレスも腹痛発作の誘因になります。なるべくストレスをためないようにして、規則正しい生活を送るように心がけてください。

胆嚢の中に胆石があるかどうかは、腹部超音波検査で痛みなく簡単に検査できるので、気になる症状がある人は医師に相談してみましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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