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粉瘤は膿のかたまり?粉瘤の膿は炎症を起こす?粉瘤の治療法についても解説

粉瘤 膿

自身の体に、原因不明なしこりを見つけたことはありませんか? もしかすると、それは粉瘤であるかもしれません。 粉瘤とはどのような病気なのか、放置するとどうなるのか、治療法はあるのかなど、不安や疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
本記事では、粉瘤と膿の関係性について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 粉瘤とは
  • 粉瘤に膿が溜まる原因
  • 粉瘤の治療法

粉瘤と膿の関係性について理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

粉瘤と膿について

粉瘤と膿について

粉瘤には膿が詰まっているのですか?
粉瘤は、皮膚の下に嚢胞と呼ばれる袋状のものができ、その中に古い角質や皮脂などの老廃物が溜まってしまった状態です。
通常、老廃物は皮膚から剥がれ落ちますが、粉瘤では袋状の構造物があるために、剥がれ落ちるべき老廃物が袋の中に蓄積してしまいます。
その結果、多くの粉瘤は放っておくと徐々に大きくなっていきます。
粉瘤は、半球状に盛り上がったしこりで、サイズは数mmから数cm、中には数十cmにまで巨大化することもあります。
中央に小さな皮膚表面につながる出口があり、その部分が黒い点のように見えることがあります。
これは皮膚に開いている小さな穴であり、この周囲を強く圧迫すると、臭くて白い脂様のものが出てくることがあります。
ただし、すべての粉瘤に穴が開いているわけではなく、毛根や脂腺・汗腺などにある表皮細胞が袋を作る元となった場合は、穴はありません。
また、内容物に全く臭いがない粉瘤もあります。
粉瘤は、皮膚が存在する場所であれば体中どこにでもできますが、特に背中や顔面、首や耳周りなどにできやすいという傾向があります。
粉瘤は、基本的には良性の腫瘍であり、危険性は少ないといわれていますが、放置すると内容物が増えて大きく膨らみ目立つ、老廃物が溜まって悪臭を放つ、細菌が入り込み腫れて痛む・膿が出る、などのリスクがあるとされています。
また、ごくまれに、粉瘤ががん化することもあります。
なぜ粉瘤は炎症を起こして膿が溜まるのですか?
粉瘤が炎症を起こして膿が溜まる主な原因は、粉瘤の中央にある開口部から細菌が侵入することです。
粉瘤は、皮膚の下に袋状の組織が形成され、その中に角質や皮脂が蓄積する皮膚疾患です。 通常、粉瘤は痛みを伴わず、しこりのようなものが触れる程度といわれていますが、細菌が侵入して炎症を起こすと、赤く腫れ上がり、痛みを伴うとされています。
これを炎症性粉瘤、または化膿性粉瘤と呼びます。
粉瘤の袋の中は、免疫を担当する細胞が入っていない構造であるため、細菌感染に弱い性質があります。
特に、粉瘤を触ったり潰したりすると、そこから細菌に感染し、炎症性粉瘤を引き起こすことがあります。
炎症性粉瘤になると、見た目が赤くなって大きく腫れ上がり、痛みを感じる可能性があります。
また、ひどく化膿した場合、皮膚の下にある袋状の構造物が破壊され、膿が溜まった状態になります。
粉瘤の膿を自分で出してもいいですか?
粉瘤の膿を自分で出すことは推奨されません。 自分で粉瘤を処置した場合、以下のリスクがあります。

  • 膿を出しきれない:自分で粉瘤を潰しても、袋の中の内容物をすべて取り除くことは難しく、再発のリスクが高まります。
  • 感染を引き起こす:粉瘤を無理に潰すと、細菌が侵入しやすくなり、感染を引き起こす可能性があります。これにより、状態が悪化することもあります。
  • 傷跡が残る:自己処置により傷跡が残るリスクがあります。特に、顔や目立つ部位に粉瘤がある場合、美容的な問題が生じることがあります。

粉瘤の炎症について

粉瘤の炎症について

粉瘤が炎症を起こした場合、痛みますか?
粉瘤が炎症を起こすと、痛みを伴うことが多いとされています。
粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造を持つ良性の皮膚腫瘍で、通常は痛みを伴わないことが多いものの、炎症を起こすと状況が変わります。
炎症性粉瘤の特徴は以下の通りです。

  • 赤みと腫れ:炎症を起こした粉瘤は、赤く腫れ上がります。これは、炎症による血流の増加と免疫反応によるものです。
  • 痛み:炎症によって、粉瘤の周囲の組織が圧迫されるため、痛みを感じることがあります。特に、粉瘤が大きくなると圧迫感は増し、痛みは強くなるとされています。
  • 発熱:重度の炎症性粉瘤では、全身に菌が回り、発熱を伴うこともあります。

炎症性粉瘤は、自然治癒することはなく、放置すると症状が悪化する可能性があるため、早期の治療が重要です。 また、炎症が長引くと、皮膚の組織が壊死するリスクもあります。 粉瘤が破裂してしまうと、周囲の組織に膿が広がり、さらに症状が悪化するため、早めに医療機関での診断と治療を受けることが推奨されます。

炎症を起こした粉瘤を放置するとどうなりますか?
炎症を起こした粉瘤を放置すると、以下のような深刻な問題が生じる可能性があります。

  • サイズの増大:粉瘤を放置すると、袋の中の老廃物が蓄積し続けるため、徐々に大きくなります。場合によっては野球ボール大にまで成長することもあります。
  • 炎症の悪化:炎症が生じると、粉瘤の表面が赤くなり、痛みを伴うとされています。袋の内容物が膿に変わり、ブヨブヨとした感触になることもあります。
  • 破裂のリスク:腫れが限界に達すると、粉瘤が破裂し、臭いドロドロの内容物が排出されることがあります。また、感染のリスクも高まります。
  • 細菌感染:炎症性粉瘤は細菌感染を引き起こすことがあり、感染が悪化すると強い痛みや腫れが生じ、緊急の医療処置が必要になることもあります。
  • 悪性化のリスク:粉瘤は基本的に良性ですが、長期間放置したり、炎症を繰り返したりすると、ごくまれに悪性化することがあります。
  • 瘢痕の形成:炎症を繰り返すと、色素沈着が残ったり、傷が硬くなったりすることがあります。治癒後も瘢痕が残る可能性があります。
  • 生活への影響:粉瘤の症状が悪化すると、痛みや腫れにより日常生活に支障をきたすことがあります。また、粉瘤から発する強い臭いは、自身だけでなく周囲にも影響を与える可能性があります。

粉瘤の治療について

粉瘤の治療について

粉瘤のへそ抜き法(くり抜き法)について教えてください。
へそ抜き法は、粉瘤の治療に用いられる低侵襲手術の1つです。
手術の手順は、以下の通りです。

  • 穴の部分をくり抜く:粉瘤の表面にある小さな穴(へそ)を、直径約4mmの丸いパンチ型の刃物でくり抜きます。
  • 袋を取り出す:くり抜いた穴から粉瘤の袋を取り出します。袋全体を取り除けるため、再発のリスクを減らせます。
  • 傷の処置:くり抜いた穴は軟膏処置で自然に治すか、巾着縫合という特殊な縫い方で塞ぎます。
  • 手術時間の短縮:へそ抜き法は手術時間が短く、約10分程度で終了します。
  • 適応の制限:以前に炎症を起こしている場合や、癒着が強い場合、また粉瘤のできた場所・大きさによってはへそ抜き法が実施できないことがあります。
粉瘤の切開手術について教えてください。
粉瘤の切開手術とは、皮膚の下に形成された袋状の良性腫瘍を取り除く手術です。
切開手術の手順は、以下の通りです。

  • 診察と診断:粉瘤の存在を確認し、手術の必要性を判断します。
  • 局所麻酔:手術部位に局所麻酔を施し、痛みを軽減します。
  • 切開:粉瘤のうえにある皮膚をメスで切開します。
  • 粉瘤の摘出:粉瘤の袋を破らないように慎重に取り除きます。
  • 縫合:切開した皮膚を丁寧に縫合します。
  • 抜糸:必要に応じて後日抜糸します。

また、手術は通常、局所麻酔下で実施され、手術時間は粉瘤の大きさや位置によって異なりますが、短時間で完了するといわれています。
手術後は、傷口のケアとして数日間は入浴を控えるなどの注意が必要ですが、生活に大きな支障はなく、通常は翌日から通常の生活ができます。

粉瘤は手術しても再発する可能性がありますか?
粉瘤は、再発の可能性があることが特徴です。
再発の主な原因は、手術で取り除けなかった粉瘤の袋が残ってしまうことです。
特に、炎症性粉瘤の場合、袋がもろくなり、すべてを取り除くことが困難になることがあります。
感染して化膿した粉瘤は、袋が破れやすく、散らばった袋の摘出が難しくなります。
へそ抜き法は、傷跡が小さく、手術時間も短いという利点がありますが、袋の摘出が難しい場合があり、それが再発の原因になることがあります。
一方、切開法は、再発のリスクを低減できますが、傷跡が大きくなる可能性があります。
再発を防ぐためには、手術時に粉瘤の袋をすべて取り除くことが重要です。
また、手術する医師の経験や技術も再発率に影響を与えるため、粉瘤の治療経験が豊富な医師やクリニックを選ぶことが推奨されます。
手術後のケアも、再発防止に重要です。
術後は適切なアフターケアをし、必要に応じて定期的なフォローアップを受けることが望ましいとされています。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで、粉瘤と膿の関係性についてお伝えしてきました。
粉瘤と膿の関係性についての要点をまとめると、以下の通りです。

  • 粉瘤は、良性の腫瘍で危険性は少ないといわれているが、放置すると膨らみ膿が出ることがある
  • 粉瘤に膿が溜まる主な原因は、粉瘤の中央にある開口部から細菌が侵入することである
  • 粉瘤の治療法には、へそ抜き法と切開法がある

これらの情報が、少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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