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粉瘤の手術で麻酔はする?粉瘤の手術後に痛みはあるのかについて徹底解説!

粉瘤 麻酔

粉瘤はアテロームとも呼ばれる、皮膚内部に形成される袋状の構造で、角質や皮脂が内部に蓄積されることで生じる腫瘍の一種です。時間と共に大きくなり、特に顔や首、背中、耳の後ろなどに出現しやすい傾向があります。そんな粉瘤を治療するには外科的な手術が必要になるのですが、手術と聞くと麻酔がちゃんと使用されるのか、全身麻酔を使う場合はあるのか、気になりますよね。 そこで本記事では、粉瘤の手術や全身麻酔の粉瘤の手術について以下の点を中心にご紹介します。

  • 粉瘤とは
  • 粉瘤の手術の流れ
  • 全身麻酔の粉瘤の手術について

粉瘤の手術や全身麻酔の粉瘤の手術について理解するためにもご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

そもそも粉瘤とは?

そもそも粉瘤とは?

粉瘤は、皮膚の下に形成される袋状の構造物で、通常は良性の皮膚腫瘍の一種です。
以下で、粉瘤について詳しく解説します。

形成の仕組み:
粉瘤は、皮膚内部に袋が形成され、通常は皮膚から剥がれ落ちる角質や皮脂が内部に溜まることで発生します。この袋は外に開口部を持たず、内容物が外に排出されないため、時間と共に大きくなる傾向があります。

発生箇所:
粉瘤は体のどの部位にも形成される可能性がありますが、顔、首、背中、耳の後ろなどに特に多く見られます。

特徴:
粉瘤は半球状のしこりで、大きさは数ミリメートルから数センチメートルに及ぶことがあります。中央部に黒点状の開口部が見られることがあり、圧迫すると特有の臭いを持つドロドロした内容物が出ることがあります。

症状:
初期段階では目立つ症状はあまりありませんが、大きくなると色の変化や感染による炎症が起こり得ます。感染が起こると、痛み、発赤、腫れなどが生じ、場合によっては化膿することもあります。

治療:
粉瘤が感染していない場合、多くは手術による切除が治療法として選択されます。感染が起こっている場合は、抗生物質や炎症を抑える薬物治療が併用されることがあります。

粉瘤は、ストレスや喫煙が直接的な原因とされることはありませんが、不潔にすると細菌感染のリスクが高まり、症状の悪化につながる可能性があります。そのため、粉瘤がある場合は清潔を保ち、異常を感じたら医療機関を受診することが重要です。

粉瘤の原因

粉瘤の原因

粉瘤の原因は現在も解明されていないものの、一般的には皮膚内部の異常によって生じると考えられています。以下に、粉瘤の考えられる原因について詳しく説明します。

皮膚の折り返し:
皮膚の表面部分が内側に折り返されることで嚢腫が形成されるというものです。この過程における詳細なメカニズムはまだ明確ではありません。

外傷性表皮嚢腫:
小さな傷や外傷が原因で皮膚が内側に折り返され、嚢腫が形成されると考えられています。特定のウイルスが関与することも示唆されています。

毛穴の関連性:
粉瘤は毛穴が存在する部位でよく見られますが、毛穴のない部位でも発生することがあるとされています。このことから、虫刺されやピアス穴、ニキビ跡などが原因となる場合もあると考えられています。

体質的要因:
一部の人は体質的に粉瘤が形成されやすいとされ、遺伝的な要因が関係している可能性があるといわれています。

誤解される原因:
ストレスや喫煙が直接的な原因とされることはありません。また、皮膚の不潔さが原因となることもありませんが、既存の粉瘤の感染を促す可能性もあります。

粉瘤の原因はまだ完全には解明されておらず、予防は難しいとされています。粉瘤が形成されやすい体質の人は、皮膚の異変に注意し、症状が現れた場合は医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

粉瘤の治療方法

粉瘤の治療方法

粉瘤の治療方法は、主に外科的手術があります。小さなものであれば局所麻酔下での切開・除去ができますが、大きい場合や繰り返し発生する粉瘤には、より広範囲の切除が必要になることがあります。
粉瘤の治療法は主に二つありますので、それぞれ解説します。

切開法

粉瘤の治療において、切開法は一般的な方法の一つです。この手法では、以下の手順に従って治療が行われます。

局所麻酔の実施:
治療開始前に、粉瘤がある部位に局所麻酔を施します。これにより患者さんは手術中の痛みを感じません。

皮膚の切開:
メスを使って粉瘤がある皮膚を切開します。この切開は、粉瘤と同じサイズかそれより大きくなります。これにより、粉瘤の袋とその内容物を完全に取り除けるようになります。

内容物の除去:
切開によって露わになった粉瘤の袋と、袋の中に溜まった垢や皮脂を取り出します。

傷口の処置:
粉瘤の除去後、傷口は清潔に保たれ、必要に応じて縫合されます。

切開法のメリットは、粉瘤を根本的に取り除けることですが、手術による傷跡が残ることはデメリットとして考えられます。そのため、治療を受ける際には、医師との十分な相談が重要です。また、粉瘤が大きい場合、切開する部位も大きくなり、手術時間も長くなる傾向があります。そのため、粉瘤が見つかった場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

くりぬき法

粉瘤の治療におけるくりぬき法は、特定の粉瘤に適用される手術法です。この手術では、以下のような手順で行われます。

局所麻酔:
まず、粉瘤の部位に局所麻酔を施し、患者さんの痛みを軽減します。

穴あけ:
粉瘤の中心部にある小さな穴に対して、特殊な円筒形のメスを使用し、皮膚と粉瘤の袋を同時に切り取ります。これにより、粉瘤の内容物にアクセスしやすくします。

内容物の排出:
切開した穴から粉瘤の内容物(角質や皮脂など)を絞り出し、袋の中の残りの物質を手動で取り除きます。

袋の除去:
できる限り粉瘤の袋を取り除くことで、再発のリスクを低減します。

くりぬき法の大きなメリットは、傷口が小さいため手術後の回復期間が短く、縫合が不要な場合が少なくないことです。これにより、患者さんの不便を軽減し、日帰り手術ができる場合があります。 ただし、この手法はすべての粉瘤に適用できるわけではなく、腫瘍の位置や内容物の硬さによっては、内容物を押し出すのが難しくなる場合があります。最終的な治療法の選択は、患者さんの状態や医師の判断によります。

粉瘤の治療の流れ

粉瘤の治療の流れ

次に、上記で説明した手術の全体的な流れを説明します。病院やクリニック、患者さんの病状によって異なる可能性がありますので、あくまで参考程度にしてください。

診察・診断

まず、初診などの場合には問診表を記入します。問診表の項目は、粉瘤が発見された時期や場所、既存の疾患やアレルギー、現在服用中の薬などとなります。 次に、医師が患者さんを診察します。この段階で、粉瘤の大きさや位置、炎症の有無などを評価し、適切な治療法を決定します。大きな粉瘤の場合や皮膚と袋が癒着している場合は、切開法が必要になることがあります。 また、粉瘤が化膿して炎症を起こしている場合は、まず抗生物質を内服して炎症を抑えます。しかし、触れてぶよぶよとした状態になっている場合などは、切開して膿を出す必要があるので、診察の当日に処置する場合もあります。

局所麻酔

局所麻酔は粉瘤の手術において重要な役割を果たします。粉瘤の手術の際には治療対象となる部位とその周囲に麻酔が施された後行われます。ただし、麻酔は注射により行われるため、その際には一時的な痛みが発生する場合があります。この痛みの程度は個々の患者さんにより異なります。 特に炎症を起こしている粉瘤の手術では、炎症部位に麻酔を注入する必要があり、その際には痛みに耐える必要があります。しかし、手術により炎症と粉瘤が除去されると、痛みは軽減されます。 最近では、注射針の細さやクーリング(注射部位を冷却して痛みを緩和する)など、痛みを抑えるための工夫がなされている場合もあります。また、塗布型の麻酔も使用されることもあります。上記のような工夫をしている病院を選ぶことで、痛みを避けられるでしょう。

手術

局所麻酔された後、前述したとおり、くりぬき法の場合は粉瘤部分に小さな穴を開けて内容物を絞り出し、袋を取り除きます。 切開法の場合は、メスを使用し、粉瘤が存在する皮膚部分を葉の形状に切り取り、取り除きます。その後、出血を止めてから傷口を閉じます。 粉瘤の治療は、2㎝以下の粉瘤の場合、くりぬき法の適用が良いとされています。くりぬき法の方が、瘢痕の長さと手術時間を短縮でき、再発率には影響を及ぼさないといわれているためです。一方、2㎝以上の粉瘤の場合は、通常の切開法による摘出が推奨されています。くりぬき法は、大きな粉瘤に対しては手術時間が長くなるためです。

経過観察

粉瘤の手術後の経過観察は、手術の成功や患者さんの快適さを確保するために重要です。手術が終わった直後には、やや出血や腫れが発生する可能性がありますが、軽度の出血や腫れは通常の反応なので、ある程度は問題ありません。手術後、患者さんは自宅で処方された軟膏を塗布し、ガーゼで保護します。 約1週間後には、患者さんは再び医師の診察を受け、傷の状態を確認します。縫合している場合は、この時点で抜糸が行われます。しかし、頭や手のひら・足の裏などの部位については、抜糸は約2週間後になるとされています。 約2週間後には、再度診察が行われ、傷の治癒状態を確認し、組織検査の結果を患者さんに説明します。
また、粉瘤が腫れてしまって切開した場合、手術の翌日に創部の確認をし、手術から約1週間後に再度創部の処置が行われます。通常、2〜3週間程度で傷はふさがるとされています。 傷が閉じた後、その約3ヶ月後を目途に改めて手術が行われ、袋ごと粉瘤を除去します。粉瘤の進行は個々に異なるため、定期的な診察が重要です。

全身麻酔の粉瘤の手術について

全身麻酔の粉瘤の手術について

粉瘤の大きさや発生した場所により、切開する大きさが変わることがあります。特に大きな粉瘤の場合は、局所麻酔の使用量には限界があるので、全身麻酔が必要となることがあります。
全身麻酔を使用する場合は、手術後に1日から数日の入院が必要となることがあります。 全身麻酔を使用する場合、手術前に血液検査、心電図、胸部や腹部のレントゲン、呼吸機能検査などの検査が必要となります。これらの検査結果を確認し、問題がないことが確認された後に手術が行われます。また、内服薬がある場合は、内服薬によっては麻酔方法の検討が必要となることがあります。
粉瘤は痛みがないため放置されがちですが、大きくなると手術の傷口も大きくなり、上記のように全身麻酔が必要となる可能性がありますので、早期の対応が重要です。

粉瘤の手術後に痛みはある?

粉瘤の手術後に痛みはある?

繰り返しになりますが、手術は局所麻酔を使用して行われるため、手術中の痛みはほとんどありません。手術後の痛みについては、傷口が適切に縫合されていれば、痛みは少ないといわれています。ただし、手術後に治療箇所に触れた場合や、突っ張った感じがあるときには少し痛みを感じるかもしれません。また、手術後には痛み止めが処方されることが少なくないようですが、多くの患者さんは痛み止めを必要としないとされています。
したがって、粉瘤の手術後の痛みは個々によりますが、基本的には少ないと考えられます。それでも不安な方は、手術する医師に相談することをおすすめします。

まとめ

まとめ

ここまで粉瘤の手術や全身麻酔の粉瘤の手術についてお伝えしてきました。 粉瘤の手術や全身麻酔の粉瘤の手術についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 粉瘤は、皮膚の内部に皮膚から剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が溜まって形成される袋状の構造物のことで、角質や皮脂は袋の外に排出されないため、時間と共に袋は少しずつ大きくなるとされている
  • 粉瘤の治療は、まず医師の診察を受け、その中で粉瘤の治療法が選択される。その後麻酔を使用して手術が行われ、手術後に経過を観察して抜糸などを行う、という流れである
  • 粉瘤の大きさや発生した場所により、切開する大きさが変わることがあり、特に大きな粉瘤の場合は、局所麻酔の使用量には限界があるので、全身麻酔が必要となることがある。全身麻酔を使用する場合は、数日の入院が必要となることがあり、手術前には複数の検査が必要である

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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