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粉瘤の切開法とは?手術のメリットや術後の注意点について解説

粉瘤の切開法とは?手術のメリットや術後の注意点について解説

皆さんは粉瘤の治療法についてどれくらい知っていますか?「できものができた」「粉瘤の治療をしてほしい」という方の中で治療について詳しく説明できる方、術後の過ごし方などについて理解している方は少ないでしょう。そこで本記事では、粉瘤の治療法の1つである「切開法」について、メリットや術後の注意点、リスクなどについてまとめました。粉瘤は決して珍しい疾患ではありませんが、「人にはなかなか相談しづらい」「誰に相談すれば良いかわからない」という方も多いでしょうから、ぜひこの記事を参考にしてください。

粉瘤の切開法とその他の治療法について

粉瘤の切開法とその他の治療法について 皮膚の下に袋状の組織ができ、そこに垢や皮脂などの老廃物がたまったものを粉瘤と言います。良性の皮下腫瘍で、アテロームや表皮嚢腫と呼ばれることもあります。見た目は炎症が起きていないニキビのような外見で、皮膚の盛り上がりの中心に黒い点が見えることもしばしば。体中のどこにでもできる可能性がありますが、顔・首・背中などにできやすいと言われています。基本的に痛みはありませんが、重症化すると赤く腫れたり違和感を伴ったりする可能性があります。ニキビは放っていても消失することが多いですが、粉瘤は自然に治癒することはありません。そこでこの項では、粉瘤に対する代表的な治療方法についてご紹介します。

粉瘤の治療にはどのような治療法がありますか?
「切開法」「くり抜き法」という2種類の方法があります。切開法は粉瘤に対する標準的な治療法で、腫瘍の真上の皮膚を切開して、粉瘤を袋ごと取り出すという術式です。一方でくり抜き法とは、ディスポーザブルパンチという特殊な器具で粉瘤に小さな穴を開けて、そこから内容物を取り出した後にしぼんだ袋を抜くという術式です。くり抜き法での手術に要する時間は5分から20分ほどで、比較的短い時間で終えることができます。
切開法が適用されるのはどのようなケースですか?
前述したように、粉瘤に対する従来の治療方法が切開法です。炎症や赤み・腫れを伴っている、ぶよぶよしている、手のひらや足の裏に粉瘤ができた、炎症を繰り返して周囲組織との癒着が強いといったさまざまなケースで適用可能となっています。ただ最近では、軽度で小さい粉瘤であれば、手術時間が短くて傷跡が小さく済むくり抜き法を採用するのが主流になってきています。
切開法のメリットとデメリットを教えてください。
切開法のメリットは、さまざまな症例に対応できることです。また、標準的な術式のため対応している医療機関が多く、困っているときにすぐに対応してもらえるでしょう。さらに、粉瘤を袋ごと取りのぞくため再発しにくく、完治が早いのも特徴です。デメリットとしては、くり抜き法に比べて傷跡が目立ちやすいこと、腫れている・膿がたまっている場合は膿を出してからの手術となるため二段階の流れになる可能性があることなどです。
粉瘤の切開法にかかる費用はどれくらいですか?また、保険は適用されますか?
切開法にかかる費用は、粉瘤の大きさによって異なります。保険が適用されるため3割負担の方であれば、粉瘤の直径が2cm未満で約5000円、2cm~4cm未満で1万円~1万2000円、4cm以上で1万3000円~1万5000円くらいが相場です。また、診察料や処方料、検査費用、病理検査費用などが別途発生する場合もあります。ただ、治療を受ける医療機関や粉瘤のサイズ、部位によってこの費用は変動しますので、事前に確認しておくことをおすすめします。

粉瘤の切開手術後の注意点と回復期間

「手術を終えたらどんなことに気を付ければ良いのだろう」と不安な方もいらっしゃるでしょう。ここからは切開手術後の注意点などについて解説します。

粉瘤の切開手術は、日帰りで帰宅することはできますか?
炎症の有無や粉瘤の大きさなどを確認し、入院が必要ないと判断されれば日帰りでの治療が可能です。全身麻酔を必要とする場合や悪性腫瘍の可能性がある場合は入院が必要になります。入院を要する場合はお仕事などの調整をしなければならないでしょうから、事前の診察の際に確認しておきましょう。
粉瘤の切開手術後の過ごし方として、注意すべきことはなんですか?
術後は出血のリスクがあるため、当日・翌日の運動は控えてください。それ以降は通常通りで構いませんが、関節部分の粉瘤を除去したときや傷口が大きいときは追加で数日ほど安静にしましょう。傷の治りが悪くなるため、3日から1週間程度は飲酒も控えることをおすすめします。入浴に関しては、手術当日から1週間は控える必要があります。こちらも出血のリスクがあるためです。シャワーのみであれば当日からでも可能です。傷口から菌が入り込み感染症にかかる可能性もあるため、多くの人が集まる温泉やプールに行くのも1週間程度は控えるようにしましょう。
粉瘤の切開手術後の回復にかかる期間はどのくらいですか?
個人差はありますが、4週間程度で完全に回復ができるでしょう。具体的な経過としては、術後3~5日は血が出たり滲んだりすることがあります。この場合、ガーゼや絆創膏などで傷を保護するようにしてください。5日ほど経過すれば血は滲まないようになりますが、抜糸まではなるべく絆創膏などを貼っておくようにしましょう。術後2~4週間ほどで穴は完全に塞がります。人によっては傷跡がしこりのように硬くなることもありますが、これは傷が治癒する過程として通常の反応ですので心配ありません。なお、この流れは一般的な例ですので、ご自身の詳しい状態については担当した医師に確認してみてください。

粉瘤切開手術のリスクと再発可能性について

粉瘤切開手術のリスクと再発可能性について 切開法の特徴やメリット・デメリット、術後の過ごし方などについて理解を深められたかと思います。最後に、粉瘤切開手術におけるリスクや再発の可能性、再発を予防するための方法についてご紹介します。

粉瘤の切開手術に伴うリスクはありますか?
切開手術を行う際は麻酔薬を使用します。この麻酔薬に対するアレルギー反応が起きてしまう可能性があります。また、傷跡がケロイドとして残ってしまったり、傷口から感染したりするリスクがあることを理解しておきましょう。内出血や疼痛が起きるケースもあります。
粉瘤の切開手術後、再発する可能性はありますか?
切開法のメリットとして再発が少ないことを挙げましたが、必ずしも再発しないという訳ではありません。手術時に粉瘤の袋が残っていると同じ場所に粉瘤が発生してしまいます。このような事態を防ぐには、できるだけ粉瘤の手術に慣れていて信頼できる医師を見つけることが大切です。また、粉瘤が炎症を起こしていると、袋に膿がたまって奥の方で破れ、きれいに取り出すことができないかもしれません。まずは一度切開して膿や角質・皮脂などをかき出し、炎症が治まってから袋を取りのぞくという方法を選択することをおすすめします。

編集部まとめ

切開法の特徴やメリット・デメリット、リスク、注意点などについて理解を深めることはできたでしょうか。繰り返しにはなりますが粉瘤は自然に治ることはなく、放置すれば炎症を起こしたり大きくなったりします。また、間違った処置をすると再発の可能性が高くなりますので、粉瘤に気付いた際はできるだけ早めに専門の医療機関へ相談することをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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