新着記事

注目のトピック

内視鏡(胃カメラ、消化器外科)

背中右側の痛みの原因は?関連する病気や対処法を解説

背中右側の痛み

日々の暮らしの中で、背中に痛みを感じるのはよくあることです。

悪い姿勢でスマホやパソコンを見続けた後に、気付いたら背中が痛い……という経験がある人は多いでしょう。

しばらくすると治る程度の筋肉痛なら、特に心配はいりません。しかし、背中の片側だけが痛いときや時間がたっても治らないときは注意が必要です。

痛みの原因は、筋肉痛以外にも様々なものが考えられます。

内臓が原因で背中が痛む場合があり、中には重大な病気が隠れていることもあるのです。

この記事では、背中の右側の痛みの原因や関連する病気、対処方法などについて解説します。

背中右側の痛みの原因

背中を痛がる男性

背中右側の痛みの原因は何ですか?
背中の痛みはよくある症状ですが、様々な原因が考えられます。
  • 筋肉:長時間悪い姿勢を続けたり激しい運動をしたりした後に背中が痛むのは、筋肉の疲労が原因です。
  • 骨:骨粗鬆症で骨が変形すると、背中や腰が痛むことがあります。骨粗鬆症が進行して背骨の圧迫骨折が起こると、背中に強い痛みが生じます。
  • 神経痛:帯状疱疹や椎間板ヘルニアなどの肋間神経痛は、背中の片側にだけ痛みを感じることが多いです。はっきりとした原因があるものと、検査しても原因が分からないものがあります。ストレスが神経痛の原因になることも珍しくありません。
  • 内臓:内臓の病気が原因で、背中が痛むことがあります。腹膜の背中側にある臓器(後腹膜臓器)に異常があると、背中や腰に痛みが出るのです。右側だけが痛む場合は、肝臓・胆嚢・腎臓などに異常が生じている可能性があります。
背中の痛む場所によって原因は異なりますか?
内臓の病気が原因で背中が痛いときは、臓器の場所によって痛む場所が違います。背中の右側の痛みは肝臓や胆嚢が、腰の上や脇腹の痛みは腎臓の問題が考えられるでしょう。左側の痛みは心臓・胃・膵臓の病気が疑われます。
背中の痛みに関連する病気を教えてください。
背中に痛みの出る代表的な疾患は以下になります。
  • 胆石症・胆嚢炎:胆石症とは肝臓で作られた胆汁を一時的に溜めておく胆嚢と、それを十二指腸に送り出す胆管にできる結石によって起こる病気です。胆石があっても症状のない人もいますが、右側の肩や背中に痛みを感じることがあります。胆嚢炎になると痛みと共に発熱や吐き気が起こります。胆嚢摘出の手術を行うこともあり、注意が必要です。
  • 十二指腸潰瘍・胃潰瘍:十二指腸とは、胃と小腸をつなぐ30センチほどの器官です。胃と十二指腸にできる潰瘍(粘膜の炎症・ただれ)を消化性潰瘍と呼びます。この病気は胃の中のピロリ菌や、アスピリンに代表される非ステロイド系消炎鎮痛剤が主な原因です。食欲不振・胸やけ・腹痛の他に背中の痛みが見られます。
  • 尿路結石症:尿路とは、腎臓・腎盂・尿管・膀胱・尿道といった尿が通る道のことです。尿路のどこかの部位に結石ができる病気ですが、特に尿管に結石ができると背中の片側が激しく痛みます
  • 急性腎盂腎炎:尿道から入った細菌が、腎盂から腎臓で炎症を起こす病気です。原因となる細菌は大腸菌が多く、男性よりも尿道と肛門が近い女性がかかりやすいです。発熱や吐き気と共に、背中の痛みが現れます。
  • 急性膵炎:膵臓はインスリンなどのホルモンを分泌する機能と、食べ物を消化する消化酵素を含んだ膵液を分泌する働きがあります。膵炎は消化酵素が膵臓の中で活性化して、膵臓自身を消化してしまう病気です。背中やお腹の痛み・発熱・吐き気などの症状が出ます。
  • 狭心症・心筋梗塞:狭心症は、心臓の冠動脈が狭くなって血流が悪くなる病気です。冠動脈の流れが更に悪くなったり完全に塞がったりして、心筋が壊死してしまうのが心筋梗塞です。ほとんどが動脈硬化が原因で発症します。狭心症では胸の痛み・胸の圧迫感・息苦しさといった症状が出ますが、心筋梗塞になると同じ症状でもより激しいものとなります。放散痛として左肩・背中・顎・首なども痛むことが多いです。
  • 大動脈瘤・大動脈解離:大動脈は全身に血液を送る役割があります。大動脈の壁が動脈硬化などで弱くなり、こぶのようにふくらむのが大動脈瘤です。初期では無症状ですが、こぶが大きくなるにつれ胸や背中の痛み・血痰・息苦しさといった症状が出ます。大動脈は内膜・中膜・外膜の3層でできており、中膜が裂けて血管の壁に血液が流れ込み、もう1つの通り道ができるのが大動脈解離です。大動脈瘤の破裂や大動脈解離が起こると、胸や背中の激痛に襲われ命の危険があります。
背中右側の痛みはがんの可能性がありますか?
体の右側にある臓器として、以下のがんの可能性が考えられます。
  • 肝臓がん:肝臓はお腹の右上にある、一番大きな臓器です。肝炎ウイルスの感染・飲酒・肥満などの生活習慣が原因で発生します。右側のお腹の痛み以外にも背中や右肩が痛むことがあります。しかし、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほどで、がんになっても症状の出ないことが少なくありません。
  • 胆嚢がん:胆嚢は肝臓が作る胆汁を溜める袋状の臓器です。胆嚢がん患者さんの40〜70%に胆石症があると言われています。右側のお腹や背中の痛みの他に、黄疸・発熱などの症状が出ます。しかし胆嚢がんも、初期は無症状のことが多く早期に発見するのが重要です。

他にも、別の臓器にできたがんが進行して骨に転移することがあります。背骨へ転移すると背中や腰の痛み・骨折が起こりやすくなります。

背中が痛いときの検査や治療

治療、診断を行う医者

背中が痛いときはどのような検査が行われますか?
まずは問診や触診でどの部位に問題があるのかを判断し、検査を行います。
  • 血液検査:炎症反応やその他の異常がないかの検査です。例えば胆石症であれば肝酵素・胆道系酵素が、膵炎であればアミラーゼなどの消化酵素の数値が上昇します。
  • 尿検査:腎臓の病気の疑いがある場合は、尿検査が非常に重要です。白血球数・血尿の有無・細菌の検査などを行います。
  • レントゲン検査:骨粗鬆症・骨折の有無についての検査です。内臓の病気の場合は、結石や臓器に異常がないか調べます。
  • 超音波検査:臓器の病変についての検査です。

その他にも、必要に応じてCT検査やMRI検査などを行います。

背中が痛いときの治療方法を教えてください。
痛みの原因や症状によって治療方法は大きく異なります。痛みの原因で最も多い筋肉痛では、できるだけ安静にしていれば痛みは治まるでしょう。
しかし中には緊急に治療が必要な病気が隠れている場合もあります。痛みの原因に心当たりがないときは、自己判断は避けて病院を受診しましょう。
背中が痛いときは何科を受診すればよいですか?
どこかでぶつけたり体を動かすと痛いといった、筋肉や骨の異常が考えられる場合は整形外科を受診しましょう。
それ以外の症状の場合は内科の受診がおすすめです。特に、胸や背中が激しく痛む・息苦しい・汗をかく・発熱などの症状があるときは、すぐに病院で検査してください。

背中が痛いときの対処法や予防

背中を伸ばす人

背中の痛みを放置するとどうなりますか?
内臓の病気に気付かず放置すると、症状が進んで治療が難しく手遅れになる可能性もあります。また骨粗鬆症の圧迫骨折を放置すると、背骨が曲がったり変形して痛みが長引くことがあります。歩くのが難しくなって日常生活を送るのが困難になったり、寝たきり状態にもつながりかねません。
痛みは放置せずに病院で相談しましょう。
背中が痛くなったときの対処方法を教えてください。
まずは安静にしましょう。筋肉の疲労による痛みは、痛む場所を動かさず安静にすることで和らぐはずです。冷湿布を貼るのも効果的です。痛みが強い間は触らないようにして、マッサージは逆効果なので控えます。
痛みが軽くなったらできるだけ体を動かした方が、痛みの再発を予防できます。神経痛の場合も、動かすと痛みが強くなるので安静にしてください。ストレスをためないようにリラックスして過ごしましょう。
背中痛を予防する方法はありますか?
背中の筋肉の痛みは筋トレや運動のしすぎの他に、運動不足や姿勢の悪さによって起こります。無理をしない程度で、体を動かすようにしましょう。散歩や軽い体操など、楽しく続けられそうなものを試してみてください。
デスクワークの人は、姿勢が悪くなりがちです。休憩時間に体を動かしたり、ストレッチをしたりして筋肉を伸ばしましょう。血行を良くするために、ゆっくり入浴するのも効果的です。
ストレスで痛みが出る人は、ストレスの原因から離れるか上手く付き合っていく方法を考えてみてください。

編集部まとめ

ストレッチする人

背中の痛みは、様々な原因で発生します。

よくあるのは、筋トレのしすぎや悪い姿勢で起こる筋肉痛です。骨粗鬆症になると、いつのまにか背骨を骨折して背中が痛むことがあります。

右側だけが痛む場合、考えられるのが帯状疱疹や椎間板ヘルニアなどの神経痛です。

注意が必要なのは内臓の病気による痛みで、心筋梗塞や大動脈解離などすぐに治療が必要な病気もあります。周りの人が激しい胸や背中の痛みを訴えたら、一刻も早く救急車を呼んでください。

何らかの病気が原因で痛みがあるときは、放置すると病気が進行して治療が難しくなる可能性が高いです。痛みは我慢せずに、病院で検査を受けましょう。

背中の痛みを予防するためには、ウォーキングなど軽い運動がおすすめです。姿勢の悪さは肩こりや背中の痛みだけでなく、自律神経やメンタルにも影響を与えます。

これからの健康のために、正しい姿勢を心掛けましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP