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お腹が締め付けられるような痛みの原因は?考えられる病気や対処法を徹底解説

お腹 締め付けられる 痛み

お腹が締め付けられるような痛みがある場合に、どのように対処すればよいのか分からない方も多いでしょう。

腹痛にはさまざまな原因が考えられるため、原因を突き止め、その原因にあった対処法を行う必要があります。

まずはどのようなことが原因となって腹痛が起きているのか、ある程度頭に入れておき、不安な場合は消化器内科を受診してください。

そこで本記事では、お腹が締め付けられるような痛みの原因や、考えられる病気・対処法を解説します。

腹痛に関する知識を深めて、急な腹痛の際でも冷静に対処できるように備えておきましょう。

お腹が締め付けられるような痛みの原因

腹痛女性

お腹が締め付けられるような痛みの原因は、以下の3つが挙げられます。

  • ストレス
  • 過剰に胃酸が分泌している
  • 病気の可能性

腹痛は、ストレスや胃酸の過剰分泌など体の不調による痛みだけではなく、大きな病気が原因となる場合もあるため注意が必要です。

「お腹が痛いから、とりあえずトイレに行こう」といった安易な考えでは済まされない事態もあるため、腹痛の原因を理解することが大切になります。

ストレス

痛み女性

ストレスによって、お腹が締め付けられるような痛みが発生する場合があります。お腹と脳は連携しており、互いに影響しあっているためです。

実際にお腹は「第2の脳」と呼ばれており、脳に匹敵する神経細胞が存在しています。

また、お腹と脳の連携において「自律神経」が重要な役割をしているため、自律神経の乱れはお腹と脳の連携に影響を及ぼすでしょう。

そのため、精神的なストレスによって自律神経が乱れてしまうと、お腹の機能が低下して痛みが発生したり胃もたれを起こしたりします。

過剰に胃酸が分泌している

お腹が締め付けられるような痛みを発生している場合は、胃酸が過剰に分泌されている可能性があります。

胃酸は食べ物を消化する上で重要な分泌物ですが、過剰分泌は悪影響を及ぼすためです。

例えば、食べ過ぎや飲み過ぎ・消化に悪いものを摂取したときは、食べ物の消化を促すために胃酸を過剰に分泌させます。

胃酸の分泌は、交感神経系よりも副交感神経系が優位のときに促進されます。

具体的には副交感神経の一部である迷走神経が活性化すると胃酸の分泌が促されます。そのため交感神経が優位になると胃酸の分泌は抑制されます。

このように食生活の乱れやストレスにより胃酸が過剰に分泌されると、お腹が痛くなる可能性があるため注意が必要です。

病気の可能性

お腹が締め付けられるような痛みがあるときには、大きな病気が隠れている可能性があります。例えば、虫垂炎・胆嚢炎・胆石症・尿管結石などです。

「お腹が痛い」だけでは大きな病気が隠れていると気づきにくいですが「今までに感じたこのない痛み」「いつもの腹痛とは異なる痛み」などの場合は注意しましょう。

例えば、吐血や下血・発熱を伴う腹痛・激しい下痢や嘔吐を伴う腹痛の場合は、直ちに消化器内科を受診してください。

また、大量の吐血や下血・意識を失う・痛くて歩けないなどの明らかに異常な症状がある場合は、救急車の検討をおすすめします。

急な腹痛が危険な理由とは?

医師待った

急な腹痛が危険な理由は、大きな病気が隠れている可能性がある点です。腹痛の原因と考えられる病気は、急性虫垂炎・腸閉塞・胃腸炎・急性膵炎など頻度が高いものが複数あります。

また、心筋梗塞・腹部大動脈瘤破裂・上腸間膜動脈閉塞症・肝細胞癌破裂などの緊急度が高い病気も考えられるため注意が必要です。

急にお腹が痛くなった際は、経験のある痛みなのか、お腹の痛み以外の症状はあるのかなど、自身の状態によって適切な処置をする必要があります。

痛みがひどかったり痛む時間が長かったりなど、症状が強い場合は消化器内科を受診するようにしましょう。

締め付けられるような腹痛で考えられる病気

医師注意

締め付けられるような腹痛で考えられる病気は、以下のものが挙げられます。

  • 急性胃炎
  • 機能性ディスペプシア
  • 大腸憩室炎
  • 急性虫垂炎
  • 過敏性腸症候群
  • 感染性胃腸炎
  • 便秘
  • 月経痛

急な腹痛の場合に考えられる病気は先ほど紹介しましたが、ここで紹介する病気は締め付けられるような腹痛で考えられる病気の中でも頻度の高いものです。

それぞれ症状や原因に違いがあるため、腹痛の症状が現れたときの参考にしてください。

急性胃炎

胃がキリキリ

急性胃炎とは、胃の粘膜に炎症が起きている状態です。急に、胃やみぞおちが痛くなったり吐き気の症状が現れたりします

考えられる原因は以下の通りです。

  • 暴飲暴食
  • ストレス
  • 食中毒
  • 鎮痛剤の副作用
  • 香辛料のような刺激物の摂取

上述した原因以外にも、腎不全・肝硬変などの疾患が原因で起こる場合もあります。

基本の治療方法は、絶食して消化管を休め、点滴で水分・栄養補給を行います。また、胃薬を服用し、荒れた胃粘膜を治療することが多いです。

急性胃炎の症状は2〜3日で治ることもありますが、嘔吐を伴い、痛みや不快感が継続する場合もあります。急性胃炎の症状が現れたら、消化器内科に受診するとよいでしょう。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアとは、胃の痛み・胃もたれなどの症状が慢性的に続く病気です。具体的な症状は以下の4つが挙げられます。

  • つらいと感じるくらいの食後の胃もたれ
  • 食事開始後すぐにお腹がいっぱいになるような感覚
  • みぞおちの痛み
  • みぞおち部分が焼けるような感覚

以上の症状が慢性的に続くため、普段の生活に大きく影響するでしょう。

また、機能性ディスペプシアの原因は以下の通りです。

  • 胃の運動機能障害
  • 胃の知覚過敏
  • 胃酸分泌
  • ストレス
  • ヘリコバクター・ピロリ菌

機能性ディスペプシアは心理的ストレスと関係があるといわれており、ストレスによる胃の機能低下が主な原因です。胃が正常に働かず、敏感に反応したり胃酸を多く分泌したりします。

また、主な治療方法は薬物療法になりますが、生活習慣を改善してストレスを軽減させる必要があるでしょう。

なお、機能性ディスペプシアは胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどと同様の症状が見られますが、内視鏡検査を行っても器質的な異常は見つかりません。

そのため、上述した症状がある場合は内視鏡検査を受けるようにしましょう。

大腸憩室炎

大腸憩室炎とは、大腸の一部が外側に突出してくぼみができる「憩室」が炎症を起こした状態です。

腹痛・発熱・下血・下痢の症状があり、炎症が強くなり出血を起こす場合には「大腸憩室出血」という状態になります。

さらに炎症が強くなると、腸管穿孔(ちょうかんせんこう:腸に穴が開くこと)を起こしたり、感染して膿瘍(膿が溜まること)ができることもあるでしょう。

大腸憩室炎の原因は、憩室に糞便が溜まったままの状態で長時間が経過し、内部で細菌が増殖することで炎症が生じます。

また検査方法は、血液検査により白血球の炎症反応に関連する数値を確認する方法と、腹部CT検査で大腸憩室の確認が可能です。

治療方法は、抗菌薬の投薬によって細菌の増殖を抑え、穿孔や膿瘍ができている場合は外科的手術が必要になります。

急性虫垂炎

急性虫垂炎とは、盲腸の末端に存在する虫垂に炎症が起きている状態です。一般的に「もうちょう」の名で知られています。

急性虫垂炎の主な症状は、右下腹部の痛み・右下腹部が突っ張った感じ・発熱などです。

急な腹痛により外科的な治療を必要とするケースにおいて、最も多い病気が急性虫垂炎です。15人に1人が一生涯に一度は発症するといわれています。

また、糞石によって虫垂内腔の閉鎖が起こり、さらに細菌感染を起こすことで発症することが原因です。

治療方法は、虫垂を切除する外科治療が一般的です。

しかし、腹膜刺激症状が見られない場合や白血球がそれほど高くない場合には、抗菌剤による保存的治療が行われる場合もあります。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは、腸が外部の刺激に対して過敏な状態となり、便通異常を起こす病気です。慢性的な腹部の膨張感や、腹痛・下痢・便秘などを引き起こします。

原因は、精神的なストレス・自律神経失調症などといわれており、暴飲暴食・過度の飲酒のような食生活・生活習慣の改善が必要となるでしょう。

過敏性腸症候群は、腸に炎症・潰瘍・内分泌異常などの症状は認められないため、原因となるストレスを緩和することが最優先です。

また、自律神経失調症が原因の可能性があるため、消化器内科ではなく心療内科の受診を検討する必要があります。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎とは、細菌やウイルスの感染により、発熱・下痢・悪心・嘔吐・腹痛などの症状が現れる病気です。

感染する細菌やウイルスによって症状はさまざまで、軽度の下痢で治る場合もあれば入院が必要になるような重い症状が現れる可能性もあるでしょう。

治療は、原因となる細菌やウイルスを特定し、病原体にあわせた方法を選択する必要があります。

原因を特定することで適切な治療を受けられるため、症状が現れた場合は消化器内科を受診しましょう。

便秘

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便秘とは、排便が3日以上ない・排便が少量で残便感がある状態を指します。便秘の症状は、腹痛・お腹が張っているような感覚・食欲不振などです。

便秘の原因は、弛緩性・けいれん性・直腸性・器質性の4つに分けられ、腸管や直腸の働きが悪い・副交感神経の過度の興奮・大腸そのものに異常があるなどが挙げられます。

すぐに改善するためには下剤を服用し、排便を促します。日々の食生活・生活習慣に問題があると考えられる場合は改善する必要があるでしょう。

また、大腸に異常がある場合は適切な治療を受ける必要があります。

月経痛

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月経痛とは、生理期間中に起こるお腹や腰の痛みといった不快な症状を指し、生理痛とも呼ばれています。

月経痛の症状が現れた場合はお腹や腰を温めたり、十分な栄養補給と睡眠を心がけリラックスしたりすることがおすすめです。

また、月経痛によって日常生活に支障があるような状態を「月経困難症」といいます。月経困難症の場合は治療の対象となるため、症状がひどい場合は産婦人科に受診してください。

腹痛が起きた際の対処法

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腹痛が起きた際の対処法は、次の2つが挙げられます。

  • 腹部を温める
  • 体勢を変える

以上のように急な腹痛でも慌てずに対応することが大切です。ただし、腹痛の原因によっては、お腹を温めることが逆効果になる場合もあるため注意しましょう。

対処法を試しても改善されない場合は、すぐに消化器内科を受診してください。

腹部を温める

お腹が締め付けられるような痛みが発生した際は、腹部を温める「温罨法(おんあんぽう)」を試してみましょう。

腹部を温めることで、筋肉の緊張を和らげたり新陳代謝を亢進させたりする効果が期待できます

また、リラクゼーションや精神的興奮の安静などの効果も期待でき、心身ともにリラックスできるでしょう。

例えば、便秘・月経痛は温めると効果があるといわれています。また、ストレスが原因と考えられる場合も腹部を温めることで一時的な症状の緩和が期待できるかもしれません。

ただし、ストレスが原因で腹痛が起きている場合は、根本的なストレスの原因を解消しなければ治療は難しいです。

また、腸閉塞や胃・十二指腸・大腸の穿孔が疑われる場合は温罨法は適切な処置とはいえません。お腹を温めることで消化管の動きが活発になり、穿孔のリスクを高めてしまうためです。

急激な痛み・初めて体験するような痛み・なかなか痛みが治らないなどの場合は、消化器内科を受診しましょう。

体勢を変える

お腹が締め付けられるような痛みが発生した場合は、体制を変えてみるとよいでしょう。周期的な痛みの場合は、体勢を変えることで改善される可能性があるためです。

例えば、妊娠中の方でも体を休ませられる「シムス位」は、お腹の圧迫を解除してくれます。体の緊張を和らげ、腹痛の抑制に効果が期待できるでしょう。

また、足を安定する場所に置くことで、リラックス効果を高められる可能性があります。

姿勢が安定しない場合は座布団やクッション・抱き枕を足の間に入れると、さらに体制が楽になるでしょう。

ただし、体を横にすると痛みが強くなる場合もあります。体制を変えても症状が改善されない場合は消化器内科を受診してください。

腹痛の原因が分かる検査とは?

内視鏡
腹痛の原因が分かる検査は、以下のものが挙げられます。

  • 血液検査
  • 超音波検査(腹部エコー検査)
  • 腹部レントゲン検査

この記事で述べたように、腹痛の原因となる病気は複数あります。上述した検査により、病気の可能性を消していく方法が取られることが多いでしょう。

例えば、血液検査で細菌やウイルスの感染が見つからなければ、それらの感染が原因となる病気の可能性は消されます。

また、超音波検査・レントゲン検査・内視鏡検査を行うことで器質性の病気の有無が分かるでしょう。

このようにお腹が締め付けられるような痛みが発生した場合は、いくつかの検査を行い、原因を突き止めることが基本となります。

まとめ

女性医師
お腹が締め付けられるような痛みの原因は、ストレス・細菌やウイルス性の感染症・消化管に関係する病気の可能性があります

痛みが発生したら、慌てず自身や家族の症状を確認し、適切な処置を施しましょう。体を温める・姿勢を変えるなどの処置法により痛みが軽減する場合もあります。

しかし、不安な場合は消化器内科・産婦人科(女性の場合)を受診することがおすすめです。

対処法が分からない場合は、かかりつけ医院に電話をして確認するか、救急安心センター事業(#7119)に電話して、適切な方法を確認してください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
小幡 史明医師(医療法人在宅会 みんなのクリニック 医療法人静可会 三加茂田中病院)

小幡 史明医師(医療法人在宅会 みんなのクリニック 医療法人静可会 三加茂田中病院)

自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会 みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科

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