皆さんは腹腔鏡下手術(内視鏡手術)がどんな切開で行う手術で、腹部の手術において広く利用されます。腹腔鏡下手術(内視鏡手術)は、胆石症、虫垂炎、ヘルニア、腹部の腫瘍除去、婦人科手術、大腸手術など、多岐にわたる疾患の治療に使用されます。
小さな切開点を介して手術を行うため、回復が速く、術後の痛みが少ないのが特徴です。本記事では腹腔鏡下手術のメリットやデメリットについて以下の点を中心にご紹介します。
- 腹腔鏡下手術(内視鏡手術)について
- 腹腔鏡下手術(内視鏡手術)のデメリット
- 腹腔鏡下手術(内視鏡手術)特有の二酸化炭素による合併症
腹腔鏡下手術(内視鏡手術)について正しく理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
腹腔鏡下手術(内視鏡手術)について
- 腹腔鏡下手術とはどのような手術ですか?
- 腹腔鏡下手術は、腹部に数か所小さな穴を開けて、カメラと手術器具を挿入し、モニターを見ながら行う手術です。この方法は、創が小さく、術後の痛みが少ない、回復が早い、腸の癒着による腸閉塞(腸の一部が何らかの原因で詰まり、食物や液体が通過できなくなる状態)のリスクが低いとされています。
一方で、手術時間が長くなる可能性があります。腹腔鏡で治療できる病気には、胆石症やヘルニア、さまざまながんなどがありますが、病状によっては開腹手術が適切な場合もあります。胆石症は胆のうに固形物が形成される病態で、腹痛や黄疸などの症状を引き起こすことがあります。
ヘルニアは臓器や組織が本来の位置から飛び出る状態で、腹壁の弱い部分を通って腸などが腹膜外に protrude(突出)することが特徴です。
腹腔鏡手術が適用されるかどうかは、患者さんの年齢、全身状態、現在の病状、過去の病歴、アレルギー、検査結果などに基づいて総合的に判断されます。病変の大きさや位置、病変部位の癒着の程度、出血のリスクなどの情報を元に、技術的な難易度も考慮されます。
- 腹腔鏡下手術のメリットを教えてください
- 腹腔鏡下手術のメリットには、創が小さいことによる術後の痛みの軽減、回復が速く日常生活への復帰が早い点、癒着のリスクが低いこと、視野が良好であるため精密な手術が可能である点が含まれます。癒着は、手術後などに体内の組織が異常にくっつくことで、腸が正常に動かなくなったり、痛みが生じたりする状態を指します。
癒着は、腸閉塞などの深刻な合併症を引き起こす可能性があり、場合によっては追加の治療や手術が必要になることがあります。ですので、腹腔鏡下手術は患者さんの負担を抑え、治療後の生活質(QOL)の向上に寄与するといわれています。
腹腔鏡下手術(内視鏡手術)のデメリット
- 内視鏡下手術は手術時間が長くなりやすいですか?
- 腹腔鏡下手術のデメリットには、技術的な要求が高いこと、手術時間が長くなる可能性があること、特定の合併症のリスクがあります。
また、腹腔鏡下手術が適さない場合、手術中に開腹手術に切り替える必要が出ることもあります。腹腔鏡下手術が適さないケースというのは、腹部に広範囲にわたる手術が必要な状況や、重度の癒着がある場合、または患者さんの体調が腹腔鏡手術を行うには不適切な場合などがあります。これらの条件は手術の複雑さを増加させ、腹腔鏡を用いたアプローチが困難または危険を伴う可能性があるためです。
- 内視鏡下手術は大出血が起きたときに止血に時間がかかる危険性がありますか?
- 内視鏡下手術においては、出血の管理に細心の注意を払う必要があります。大きな出血が発生した際、直接視野が限られることから、迅速な止血が難しい可能性があります。しかし、術前の慎重な患者さんの評価、正確な血管同定、適切な止血処置の実施などにより、大部分の出血は適切にコントロールできると考えられます。
- 内視鏡下手術は外科手術に移行することがありますか?
- 内視鏡下手術中に予期せぬ問題が発生した場合、例えば出血がコントロールできない、予想以上に病変が広がっている、または技術的な問題が発生した場合など、外科手術への移行が必要になることがあります。
「病変」とは、病気や損傷によって生じた組織や器官の異常変化を指し、腫瘍、炎症、組織の壊死など、さまざまな形態が含まれます。手術前の診断では見落とされがちな部分や、予想よりも広範囲にわたる病変が発見されることがあります。
腹腔鏡下手術(内視鏡手術)特有の二酸化炭素による合併症
- 腹腔鏡下手術の合併症で皮下気腫が生じることはありますか?
- 腹腔鏡下手術では、特有の合併症として皮下気腫が生じることがあります。皮下気腫は、手術中に体内に導入された二酸化炭素ガスが皮膚の下や筋肉と皮膚の間に入り込むことで起こり、通常は数日で自然に吸収されるといわれています。
また、合併症は皮下気腫の他にも出血、感染、内臓器官の損傷、術後のヘルニア、血栓形成(血栓形成は、血管内で血液が固まり、血の塊が形成されること)などがあります。適切な予防措置と早期発見により、多くの合併症は管理ができるといわれています。
- 腹腔鏡下手術の合併症で術後に肩の痛みが出ることがありますか?
- 内視鏡下手術後には、炭酸ガスを使用して腹腔を膨らませることにより、横隔膜への圧迫や刺激が肩に痛みとして感じられることがあります。痛みは一時的で、数日で自然に解消されるといわれています。
術後の肩の痛みを軽減するためには、手術中に使用されるガスの量を管理し、可能な限り体内からガスを効率良く排出する技術が重要です。また、手術後は早期の活動を促し、ガスが自然に体外に排出されやすくすることも効果が見込めるとされています。具体的な方法としては、手術後の体位変換や早期歩行などがあります。
- 腹腔鏡下手術の合併症でガス閉塞が起こることがありますか?
- 腹腔鏡下手術で使用される炭酸ガスによって、まれにガス閉塞が起こることがあります。ガス閉塞は、腹腔内に充填されたガスが体外に完全に排出されず、体内に残留することで起こる状態です。
ガス閉塞は一時的で時間と共に体外に排出されます。ガス閉塞を防ぐためには、手術後に患者さんが体位を変えたり、歩行を促したりすることで、ガスが自然に体外に排出されるといわれています。
編集部まとめ
ここまで腹腔鏡下手術(内視鏡手術)のデメリットについてお伝えしてきました。
腹腔鏡下手術(内視鏡手術)のデメリットの要点をまとめると以下の通りです。
- 腹腔鏡下手術は、腹部に数か所小さな穴を開けて、カメラと手術器具を挿入し、モニターを見ながら行う手術である。腹腔鏡で治療できる病気には、胆石症やヘルニア、などがある
- 腹腔鏡下手術のメリットには、創が小さいことによる術後の痛みの軽減、回復が速く日常生活への復帰が早い点、癒着のリスクが低いことなどがある。デメリットには、技術的な要求が高いこと、手術時間が長くなる可能性があること、特定の合併症のリスクなどがある
- 腹腔鏡下手術では、特有の合併症として皮下気腫や術後の肩の痛み、ガス閉塞が生じる場合がある
腹腔鏡下手術(内視鏡手術)は創が小さく済むなどのメリットがある一方で、デメリットもあります。腹腔鏡手術を受ける前に、メリット・デメリットを理解しておくことは重要です。手術前に医師からの説明をよく聞き、不明点がある場合は質問して疑問を解消しておきましょう。