新着記事

注目のトピック

内視鏡(胃カメラ、消化器外科)

胃カメラは鼻からがいいの?口からの場合と比較して解説!

胃カメラは鼻からがいいの?口からの場合と比較して解説!

胃の痛みや吐き気、胸やけといった症状がある場合、胃カメラ検査を勧められるケースが多いかと思います。その際、「鼻からの検査と口からの検査どちらにしようか迷う」「いかに苦しくなく受けられるのはどっちだろう」と悩む方もいらっしゃるでしょう。そこで今回はそれぞれの検査方法を比較し、メリットやデメリット・副作用、おすすめの検査方法などについてまとめています。これまで一度も胃カメラ検査を受けたことがない方、胃カメラ検査に対して不安を抱えている方はぜひ最後までご一読ください。

鼻からの胃カメラがおすすめされる理由

鼻からの胃カメラがおすすめされる理由 胃もたれや胃の不快感、吐き気、たちくらみ、原因不明の咳、胃痛、異常な回数のげっぷ、おなかの張り、胸やけ、胸痛、喉のつまり、体のだるさといった症状がある方や、胃から酸っぱいものが上がってくる、肥満傾向・糖尿病である、便が黒い、胃潰瘍・十二指腸潰瘍になったことがある、家族にピロリ菌陽性者がいる、血縁者に胃がん患者がいる、35歳以上で一度も検査を受けたことがないといった方に検討してほしいのが胃カメラ検査です。

胃カメラ検査では、急性・慢性胃炎や胃潰瘍、胃ポリープ、胃がん、逆流性食道炎、バレット食道、食道がん、十二指腸潰瘍、胃アニサキス症、機能性胃腸症、ヘリコバクター・ピロリ菌感染症といった疾患を見つけることができます。胃カメラ検査は、胃だけを見る検査と勘違いされがちですが、正確には「上部消化管内視鏡」といって口から喉・食道・胃・十二指腸までの全てを見ることができます

近年、主流の胃カメラ検査として行われているのが、スコープを鼻から入れて行う検査です。この検査は経鼻内視鏡検査といい、微小な病変の発見に有用なハイビジョンカメラや粘膜の表面構造や微細な血管構造を確認する画像強調システム(NBI)によって従来の検査では見つけにくかった喉の病変や早期の食道がんなども見つけることが可能となっています。一方で、口からスコープを入れることを経口内視鏡検査といいます。まずはそれぞれの検査のメリットや違いについてご紹介していきます。

鼻から入れるメリット

まずは鼻からスコープを入れる経鼻内視鏡検査のメリットについてです。この検査方法の最大のメリットは、スコープが舌の根元に触れないため嘔吐反射が置きにくいことです。嘔吐反射とは、喉の奥を指で押したり歯みがきをしたりする際に「オエッ」となってしまう現象のことで、この苦しさを理由に内視鏡検査を避けている方も一定数いらっしゃいます。 また、検査時間は約5分と短く、検査後に生活が制限されることもありません。

以前は「経鼻内視鏡検査は径が細いから画質が悪い」「解像度が経口内視鏡より劣る」とされていましたが、近年では性能の高いカメラが開発されたためこの問題は少なくなっています。さらに、鼻からスコープを入れることで検査中に医師とコミュニケーションを取ることができます。検査モニターを一緒に見ながら会話したり、検査中に気になることや不安なことがあったらすぐに質問できたりするのも大きな魅力となっています。

口から胃カメラを入れる場合との比較

口からスコープを入れる経口内視鏡検査の場合、舌の根元部分に内視鏡が当たり吐き気を催すことがありますが、経鼻内視鏡検査はその心配がありません。また、口からスコープを入れた場合鼻呼吸しかできず、呼吸が苦しくなったり鼻水が出てしまったりして呼吸を整えるのが精一杯になる可能性がありますが、経鼻内視鏡検査の場合は口で深呼吸ができます

さらに、経鼻内視鏡検査を行う際は、経口内視鏡検査を行う際に使う内視鏡よりも径が細いものを使用しています。これは、経口内視鏡検査に使用するスコープだと太すぎて鼻腔からは挿入できないためです。細いスコープを使用することで、検査中の圧迫感を軽減しています。なお、検査を受ける方の鼻腔が狭い場合、鼻の粘膜を傷つけてしまって痛みや出血につながったり、検査が行えなかったりする可能性があります。

あるクリニックで行われたアンケートでは、胃カメラ検査を受けた約2000人の93%が「次回も経鼻内視鏡検査を希望する」と答えたというデータが出ています。特に、経口内視鏡検査で苦しい思いをされた経験のある方は、鼻からの検査が楽と感じることが多いようです。一方で、胃カメラ検査として初めて経鼻内視鏡を用いるという方は、「楽な検査」と期待しすぎて「意外とつらかった」と感じるケースもあるようです。

鼻からの胃カメラは鎮静剤なしがおすすめ

鼻からの胃カメラは鎮静剤なしがおすすめ 胃カメラ検査を受ける場合、医療機関によっては鎮静剤を使うことができます。ただ、本記事では鎮静剤を使用しない経鼻内視鏡検査を推奨します。ここからは、鎮静剤を使用することのメリット・デメリットなどについて解説していきます。

胃カメラで鎮静剤を使う目的とメリット

胃カメラ検査で鎮静剤を使う場合、静脈注射によって鎮静剤を投与します。これは「意識下鎮静法」ともよばれ、眠ったような状態での検査が可能になります。胃カメラ検査に恐怖心を抱いている方の場合、緊張から体がこわばってしまったり痛みを感じやすくなってしまったりすることがあるため、鎮静剤を用いることでリラックスした状態で検査が受けられます。 意識下鎮静法と全身麻酔を同じものと考える方も少なくありませんがこれらは全く別もので、意識下鎮静法は「全く苦しくない」という状態になるのではなく「苦しかったことを覚えていない」といった表現が適しています。

鎮静剤のデメリットや副作用

前項のメリットを読み「楽に検査を受けられるなら鎮静剤を使いたい」と考える方も多いでしょう。しかし、鎮静剤を使用することにはメリットだけでなく、デメリットや副作用があるということも理解しておきましょう。 まずデメリットとしては、鎮静剤を投与した場合、検査後にリカバリー室で1~2時間ほど休憩してから帰宅することが必須となり、院内の滞在時間が増えることが挙げられます。これは鎮静剤の効果によりふらつきや覚醒不良などが起こる可能性があるからです。

また、検査当日は車や自転車の運転禁止、高所での作業禁止、精密な作業は控えるといった行動制限があります。副作用としては、鎮静剤の量によっては転倒・呼吸抑制といった重篤な合併症を引き起こしてしまう可能性があります。最悪の場合、呼吸が止まってしまうこともあるため、鎮静剤の使用経験が乏しい医師だと危険です。これらのデメリットや副作用があることを考えると、鎮静剤を使用しなくても苦痛が少なく検査を受けられる経鼻内視鏡検査がおすすめと言えます。

鼻から胃カメラを入れる検査の流れ

鼻から胃カメラを入れる検査の流れ 続いて、胃カメラを鼻から入れる検査の実際の流れについてご説明します。まずは鼻に麻酔をします。そうすることで、スコープを挿入する際の痛みや違和感を軽減できます。この麻酔にはスプレーを噴霧するもの、ゼリータイプのものなどさまざまあり、スコープをスムーズに出し入れするための潤滑剤としての役割も果たしています。麻酔が効いたらスコープを挿入していきます。スムーズに検査を終えるコツは全身の力をできるだけ抜き、医師に身を任せることです。前述したように、体に力が入っていると痛みが強くなったり圧迫感で苦しくなったりするためです。

経口内視鏡検査と違って検査中に話をすることができるため、もし違和感がある場合は遠慮なく医師や看護師に伝えるようにしましょう。 スコープを入れ進めていくと、まずは喉に到達します。上咽頭・中咽頭・下咽頭の三つに分かれているため、上から下に少しずつカメラを進めながら観察していきます。観察時はがんやポリープの有無、粘膜の色や形状などに着目します。喉の検査が終わったら、次は食道・胃・十二指腸と上部消化管にカメラを進めていきます。ここでは、腫瘍やポリープの有無を調べることができます。

具体的には、食道がんや胃がん・ポリープ・潰瘍などの病変があるか、その範囲がどれくらいかなどがわかります。もし腫瘍やポリープなどが見つかった場合、その場で内視鏡を用いて組織を採取することもあります。なお、消化管の粘膜には痛覚が存在しないため、痛みを感じることはありません。 上部消化管内の観察が一通り終わったらスコープをゆっくりと抜いて検査は終了となります。

検査後約1時間は鼻の麻酔が残っているため、飲食は控えてください。鼻血が出てしまった場合はガーゼで圧迫する必要がありますが、そのほかに日常生活上で気を付けることはほとんどありません。もし、鎮静剤を使用して経鼻内視鏡検査を行った場合は、リカバリー室で十分に休んでから帰宅しましょう。車の運転は危険なため、公共交通機関を利用するか誰かに運転してもらうようにしてください。

鼻から胃カメラを入れる検査の費用

鼻から胃カメラを入れる検査の費用 ここからは経鼻内視鏡検査を行う場合の検査費用についてご紹介します。なお、ここで紹介するのは相場の金額になり、医療機関によっては診察料や採血費用、初診料などが加算される場合があります。もし、費用の詳細が知りたいのであれば、検査を受けようと考えている医療機関に事前に問い合わせておくことをおすすめします。

経鼻内視鏡検査の費用

経鼻内視鏡検査には保険が適用されます。1割負担の方で約1500円、3割負担の方で約5000円となります。また、消化管内を観察しやすくするための薬剤を使用したり、組織生検を実施したりした場合は追加料金が発生します。

経鼻内視鏡と経口内視鏡で費用は変わるのか

一般的には、経鼻内視鏡検査のほうが少し安い傾向にあります。ただ、それほどの大差はないため、検査の質にこだわるのなら口からの胃カメラ、できるだけ少ない苦しさで検査をしたいのなら鼻からの胃カメラという風に選ぶことがポイントです。ただし、静脈麻酔の使用を希望する場合は経口内視鏡検査がおすすめです。

経鼻内視鏡検査の準備

経鼻内視鏡検査の準備 最後に、経鼻内視鏡検査を行う際の事前準備についてご紹介します。「検査前日や当日の食事はどうすればよいのか?」「より楽に受けられる方法を知りたい」という方はぜひ参考にしてください。

食事は前日の夜21時以降から食べない

胃カメラ検査を行う日の前日は、21時以降は何も食べないようにしましょう。21時以降に食事をしてしまうと、食べ物が消化しきれずに消化管内に残ってしまい、内視鏡がスムーズに挿入できなかったり十分に観察できなかったりします。飲み物は飲んでも構いませんが、コーヒーやジュース、牛乳といった色の付いたものは控え、水もしくはお茶を飲むようにしてください。もしこれらの制限を忘れて飲食をした場合、検査が延期になる可能性があるため注意しましょう。

検査での不安な箇所や不明点を解消する

検査を受けるうえでわからないことや不安なことがある場合、遠慮せずに医師や看護師に質問するようにしましょう。不安点があるだけでそれがストレスとなり、痛みや苦痛を感じやすくなってしまいます。検査の手順や注意点に関して具体的にイメージできていたほうが、よりリラックスして検査を受けることができるでしょう。

また、検査時は体の力を抜き、長めに深呼吸をするよう意識することが楽に検査を終わらせるためのポイントです。シンプルかつ誰にでもできる効果的な方法ですので、ぜひ意識してみてください。

まとめ

まとめ 鼻からの胃カメラについてまとめましたがいかがでしたでしょうか?「口からの検査が苦手な方には鼻からの検査がおすすめ」「経口内視鏡検査より経鼻内視鏡検査のほうが苦痛が少ない」「鼻腔が狭い人は経鼻内視鏡検査を行うと痛みが出ることがある」「経鼻内視鏡は検査精度が若干落ちる」「静脈麻酔を使用するのであれば経口内視鏡検査がおすすめ」ということがご理解いただけたかと思います。

胃や大腸といった臓器には、症状が強く現れない重篤な疾患が潜んでいる可能性があります。そのため「自分は元気だから大丈夫」と過信することなく、定期的に検査を受けることが大切です。ぜひ上記のポイントを理解して、ご自身に合った検査方法を選択していただければと思います。

参考文献

この記事の監修歯科医師
白水 寛理医師(しろうず脳神経外科 院長)

白水 寛理医師(しろうず脳神経外科 院長)

長崎大学医学部卒業 / 九州大学脳神経外科医局所属 / 専門は脳神経外科

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP