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大人の胃痛で病院に行く目安とは?腹痛の原因や胃が痛い場合の対処法も解説

大人の胃痛

ある日突然、胃痛・腹痛に見舞われることがあるかもしれません。体内の痛みのため、何が原因かわからないこともあるでしょう。

胃痛・腹痛のなかにはすぐに痛みが治まるものもあれば、痛みが継続するものもあります。

痛みが継続する場合は何らかの病気の前兆とも考えられるため、注意したほうが良いかもしれません。

本記事では、大人の胃痛・腹痛について紹介します。考えられる原因・対処法などについても解説するので、参考にしてみてください。

胃痛・腹痛がある場合に考えられる原因

説明する医師

大人の胃痛・腹痛で考えられる原因について教えてください。
大人の胃痛・腹痛の原因としてあげられるのは、主に以下の3つです。
  • 内臓痛:場所は特定できないが臓器に何らかの力が加わって起こる鈍痛であり、しばらくすると治る。
  • 体性痛:場所が特定できる鋭い痛みであり、腹膜への刺激で起こる。
  • 関連痛:原因の部分と神経でつながっている部分に起こる痛みで、離れた場所で発症することが多い。

内臓痛の代表的なものとして、ストレスがあげられます。極度の緊張で胃痛・腹痛が起こる場合はその多くが内臓痛であり、緊張状態から解放されれば治るのが一般的です。体性痛の代表的なものとしてあげられるのが、暴飲暴食でしょう。
胃酸過多によって腹膜に強い刺激が与えられて起こります。過剰に分泌された胃酸を抑えるための治療が必要な場合もあり、注意が必要です。また、関連痛の代表的なものとしては、心筋梗塞があげられます。
一見、胃痛・腹痛とは関係がないように思うかもしれません。しかし、急に冷や汗を伴う腹痛の原因が心筋梗塞であったとの症例が報告されています。腹痛・胃痛の原因は必ずしも胃・腸などではないということです。

大人の胃痛で病院に行く目安について教えてください。
腹痛・胃痛で病院へ行こうと思う大人は少ないかもしれません。しかし重大な病気の前兆である可能性も捨てきれないため、おろそかにするのは危険です。病院に行く目安として以下のような症状を参考にすると良いでしょう。
  • 我慢できないほどの強い痛み
  • 今まで経験したことがないような鋭い痛み
  • 突発的な腹痛・胃痛
  • 徐々に強くなる痛み
  • 継続して続く痛み(約6時間以上)
  • 胸痛、冷や汗、下痢、嘔吐などを伴う腹痛・胃痛

このような症状がある場合は一時的な痛みとは考えにくいため、速やかに内科・消化器科を受診してください。また、上記のような症状がみられなくても、高齢者・妊婦・既往症ありの人は病院で診察を受けたほうが良いでしょう。

重大な病気が原因の可能性もありますか?
胃痛・腹痛の原因として考えられる重大な病気としてあげられるのは、主に以下の10種類です。
  • 盲腸(急性虫垂炎)
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 感染性胃腸炎
  • 機能性ディスペプシア
  • 急性膵炎
  • 腸閉塞(イレウス)
  • 過敏性腸症候群
  • 尿路結石
  • 心筋梗塞
  • 肺炎
  • 急性胃腸炎

機能性ディスペプシアは、以前は胃下垂・胃痙攣などと呼ばれていました。明確な原因がわからない病気で、体質・ストレスなどの外的要因が想定されています。
過敏性腸症候群とは、原因のわからない下痢・便秘・腹痛などの症状を繰り返す病気です。診察・検査をしても炎症などの異常が発見できません。ストレスなどの精神的な負担が大きな状況で悪化することが多く、日本では10〜15%の人が罹患しているとされています。
また心筋梗塞・肺炎は関連痛にあたる病気で、横隔膜付近の血管閉塞・炎症が原因です。胃・腸などとは異なる内臓疾患のため、病院で診察を受けなければ気づきにくいでしょう。
なお、10種類の病気を胃痛・腹痛の原因としてあげましたが、これだけではありません。ほかにもさまざまな病気が考えられます。医師の診察を受けなければわからない原因も多いので、内科・消化器科などを受診してください。

急性胃炎の場合の初期症状や治療方法

急性胃炎 薬

急性胃炎の初期症状について教えてください。
急性胃腸炎の初期症状としてあげられるのは、主に以下の6つです。
  • みぞおちあたりの痛み
  • 膨満感
  • むかつき
  • 胃もたれ
  • 吐き気
  • 嘔吐

これらの症状は突然あらわれ、何度も繰り返します。軽症の場合は2~3日程度で治まることもありますが、症状が強かったり長引いたりする場合には医師の診察を受けてください。
なお、上記の初期症状が長引いているにもかかわらず放置していると、吐血・下血などの症状を引き起こすことがあります。これらは重症化しているサインのため、危険です。このような症状がみられる前に、速やかに病院を受診してください。

診察後にすぐ入院となる場合はありますか?
吐き気・嘔吐などの症状が重篤化している場合は、診察後にすぐ入院となるケースもあります。その理由として、絶食・点滴の治療が必要だからです。早急に重篤化している症状を緩和するために、集中的に絶食・点滴の治療が行われます。また、診察の結果で以下のような病気と診断された場合にも、即入院となるでしょう。
  • 胃潰瘍(急性を含む)
  • 胃がん

上記のこれらの病気の初期症状は、急性胃炎と似ています。そのため、病院で診察を受けた結果により判明することも少なくありません。初期症状から急性胃炎だろうと思っていても、実際には重篤な病気が隠れていることもあります。甘く考えないで、必ず病院を受診してください。

急性胃炎は悪化するとどうなりますか?
急性胃炎が悪化すると、以下のような症状がみられます。
  • 吐血
  • 下血
  • 血便

これらは胃のなかで大出血を起こしているサインと考えられるので危険です。その原因として、寄生虫・胃潰瘍などが考えられます。出血している部分を特定して早急に止血処置などの対応をする必要があるので、入院することになるでしょう。
悪化の前には、初期症状として軽い痛み・嘔吐などがみられます。これらの症状があらわれた時点で速やかに病院を受診しましょう。早期発見で、急性胃炎の悪化は予防できます。

急性胃炎の治療方法について教えてください。
急性胃炎の主な治療方法は、以下の3つです。
  • 食事制限
  • 投薬
  • 止血法

多くの急性胃炎の場合、胃に負担をかけないことが治療の基本であり、食事制限は欠かせません。刺激の強い食べ物を避け、重湯やおかゆのような消化に良いものを食べることがすすめられるでしょう。また、症状が重篤な場合は絶食を行うことも少なくありません。
その場合は、速やかに胃の状態を元に戻すために並行して投薬も行われます。処方された薬は自主的にやめたりせず、医師の指示に従ってください。これらの治療方法は初期症状がみられた場合です。
吐血・下血・血便などの症状が確認できる場合は、胃の中で出血している可能性が高いといえます。そのまま放置するとさらに重篤化する恐れがあるため、内視鏡などを使用して止血法が行われるのが一般的です。医師の指示に従わず、自主的に投薬をやめたり暴飲暴食を続けたりすると、重篤化して止血法の必要性が高まります。
このようなリスクを軽減するためにも、医師の指示に従ってください。

胃が痛い場合の対処方法について

水を飲む人

胃痛を和らげる対処法を教えてください。
胃痛を和らげる対処法として、以下の4つをおすすめします。
  • 楽な姿勢を取る:座る・横になる
  • 水分補給:常温の水・お茶
  • 胃腸に優しい食事:おかゆ・すりおろしリンゴなど
  • 体の保温:ぬるま湯につかる

水分補給については冷たいものはもちろん、熱いものも避けてください。極端な冷たさ・熱さはどちらも胃にとって刺激になります。また、コップ1杯の常温の水・お茶を一気に飲むのではなく、少しずつ時間をかけて飲むようにしましょう。
なお胃痛が上腹部に集中している場合は、胃酸過多が原因と考えられます。あたためた牛乳や制酸剤入り胃腸薬の服用を試してみると良いでしょう。反対に下腹部に痛みが集中している場合は、それに伴うほかの症状にも注目する必要があります。例えば下痢を伴っている場合は胃痙攣などが考えられるので、鎮痙剤・鎮痛剤の服用で効果があるかもしれません。
また、1週間程度便通がみられない場合は便秘の可能性があります。整腸剤などを服用してみるのも1つの方法です。ただし、どのような病気が隠れているかはわかりません。自己判断で薬を服用せずに、病院で診察を受けてください。

受診すべき診療科について教えてください。
胃痛・腹痛の症状で病院の診察を受ける場合には、内科を受診しましょう。
胃・腸の痛みから、消化器科の受診を考える人もいるかもしれません。胃痛・腹痛の原因として急性胃炎や腸炎なども考えられます。しかし、関連痛の場合は胃・腸に限定できません。心臓・肺などの疾患が原因の場合もあるからです。
内科を受診すればあらゆる病気の可能性を考慮して、さまざまな診察・検査を行ってくれるでしょう。その後、必要であれば消化器科などの専門科の受診をすすめられることもあります。胃痛・腹痛だから消化器科と判断せず、まずは内科を受診してください。
予防のために日常生活で注意するべきことはありますか?
予防のために日常生活で注意すべき点として、主に以下の5つがあげられるでしょう。
  • 暴飲暴食をしない
  • 刺激物を避ける(アルコール・コーヒーなど)
  • しっかり咀嚼する
  • ストレスを避ける
  • 腹部を冷やさない

胃痛・腹痛を引き起こさないようにするには、胃に負担をかけないことです。暴飲暴食・刺激物の摂取などを避けることはもちろん、しっかり咀嚼して胃がスムーズに消化できる状態にしてあげましょう。
また、過度なストレスが続くと胃酸過多・過敏性腸症候群などを引き起こします。初期症状としては胃痛・腹痛があげられるため、ストレスも避けたほうが良いでしょう。

編集部まとめ

お腹が痛い女性

大人の場合の胃痛・腹痛について解説しました。

歳を重ねると、胃痛・腹痛で病院を受診しようと思う人は少ないかもしれません。「すぐに治る」などと考えてしまうからです。

しかし、その陰には深刻な病気が隠れている可能性があります。決して甘く考えて良い体のサインではありません。

長期的・継続的に痛みが続いたり急に症状がひどくなったりした場合は、病院を受診しましょう。早期発見が早期治療につながります。

体の痛みは、何らかの支障が生じているサインです。くれぐれも見落とさず、甘く考えずに医師に相談してください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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