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粉瘤は放置しないほうがいい?粉瘤の原因や治療法について解説!

粉瘤 放置

「粉瘤」、この言葉を聞いて、皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか? 一部の方々にとっては、粉瘤はただの皮膚のトラブルであり、放置しても大丈夫だと思われているかもしれません。 しかし、実際にはそうではありません。 粉瘤は放置すると、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。 本記事では粉瘤は放置しないほうがいいのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 粉瘤の原因
  • 粉瘤を放置するとどうなるか
  • 粉瘤を放置しない治療法について

粉瘤は放置しないほうがいいのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

そもそも粉瘤とは?

そもそも粉瘤とは?

粉瘤とは、皮膚の下に袋状の構造物が形成され、その袋の中に角質や皮脂がたまって徐々に大きくなる現象を指します。
これは良性の皮膚腫瘍の一種であり、アテロームや表皮嚢腫とも呼ばれます。

粉瘤の原因は完全には解明されていませんが、皮膚の傷や特定のウイルス感染が関与することが考えられています。

粉瘤は通常、皮膚が盛り上がったやわらかいしこりとして現れ、自然になくなることもありますが、基本的には自然治癒はあまりないといわれています。
粉瘤を放っておくと徐々に大きくなることもあり、中央の開口部が黒い点として見えることがあります。

粉瘤は、一般的には痛みやかゆみといった症状を引き起こさないことが多いです。
しかし、粉瘤が化膿すると、皮膚が腫れて赤くなることがあり、これが痛みを伴うこともあります。
粉瘤から生じる痛みは、一般的には細菌の増殖や、粉瘤内部に蓄積された角質に対する炎症が引き起こすとされています。

粉瘤の原因

粉瘤の原因

本\粉瘤は、皮膚の下に形成される袋状の構造物に角質や皮脂がたまることで発生します。
しかし、なぜ一部の方々が粉瘤を発症するのか、粉瘤の具体的な原因はまだ完全には解明されていません。
以下では、粉瘤が発生する可能性のある原因について詳しく解説します。

細菌感染

粉瘤ができる原因の一つとして、細菌感染が考えられます。
粉瘤は皮膚の下に形成される袋状の構造物で、その中には角質や皮脂などの老廃物が溜まります。
この袋状の構造物は、皮膚の表面に存在する細菌から侵入を許す小さな穴、いわゆる「へそ」または「開口部」を持っています。

この開口部から皮膚表面に存在する細菌が侵入すると、細菌感染が起こります。
粉瘤の袋の中は、皮脂や角質などの老廃物が溜まっているため、細菌が繁殖しやすい環境となっています。
また、この袋状の構造物は、本来、免疫(体の中に入った菌などを排除する機能)を担当する細胞が入っていないため、細菌感染に弱いという性質があります。

細菌感染が起こると、粉瘤は炎症を起こし、腫れや痛みを伴うことがあります。
これを「炎症性粉瘤」と呼びます。
炎症性粉瘤は、腫瘍が割れ、内容物が皮内に漏れ出し、異物反応を起こすことがほとんどの原因であるとされています。

異物反応

粉瘤は皮膚の下に形成される袋状のもので、その中に皮脂や角質が溜まることで発生します。
粉瘤が炎症を起こす主な原因は「異物反応」であり、これは粉瘤の袋が外部からの刺激により破れ、その内容物が皮膚内に漏れ出すことで引き起こされます。

異物反応は、皮膚が粉瘤の内容物(垢や皮脂)を異物と認識し、それに対する反応として炎症を引き起こす現象です。
異物反応は、粉瘤が圧迫されたり、摩擦により刺激を受けたりした結果、粉瘤の袋が破れることで引き起こされます。

異物反応による炎症は、粉瘤が存在する部位によりますが、特にお尻や背中など、圧力や摩擦が頻繁に発生する部位でよく見られます。
このような部位では、粉瘤の袋が破れやすく、その結果、皮膚内に皮脂や角質が漏れ出し、異物反応が引き起こされやすいといわれています。

したがって、粉瘤の予防や管理には、皮膚に適度なケアを行い、摩擦や圧力を避けることが重要となります。
また、早期に粉瘤を発見し、適切な治療を受けることで、炎症の発生を防げます。
粉瘤が炎症を起こした場合は、皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。

粉瘤の特徴

粉瘤の特徴

以下では、粉瘤の特徴についてご紹介します。

  • 形状と位置:粉瘤は皮膚の浅い層にでき、ドーム状に盛り上がったできものです。全身どこにでも生じる可能性がありますが、特に背中、首、顔面などにできやすい傾向があります。
  • 毛穴の存在:中央にへそと呼ばれる黒色の毛穴が見られることがあります。
  • 自然治癒しない:粉瘤は自然には治りません。治療をせずに放置すると症状が悪化する場合もあります。
  • 症状の進行:はじめは小さいサイズですが、徐々に大きくなっていくことがあります。炎症により痛み、腫れ、赤みが出てくることもあります。
  • 他の疾患との鑑別:粉瘤は、その外観がニキビや脂肪腫、一般的に「おでき」と呼ばれる癤(せつ)などの皮膚疾患と似ているため、他の疾患との区別が難しいことがあります。
  • 悪性化の可能性:粉瘤は通常、良性の腫瘍として分類されます。しかし、長期間にわたり繰り返し炎症を起こしたり、急激に大きくなる粉瘤の中には、極めて稀に悪性化(がん化)する可能性が指摘されています。

粉瘤を放置するとどうなるのか

粉瘤を放置するとどうなるのか

粉瘤は、皮膚の浅い層にできるドーム状のできもので、自然には治らないといわれています。
では、粉瘤を放置した場合、どのような影響があるのでしょうか? 以下では、粉瘤の放置がもたらす可能性のある問題と、なぜ早期の治療が重要であるかについて詳しく解説します。

大きくなる

粉瘤(ふんりゅう)は皮膚にできる良性の腫瘍で、放置すると腫瘍が徐々に大きくなる可能性があります。
これは、粉瘤が皮膚の垢や脂が溜まる袋状の嚢腫(のうしゅ)で形成され、一度嚢腫に入り込んだ垢や脂は自然に排出されることがほとんどないためです。 時間の経過とともに垢や脂が徐々に溜まり、腫瘍は少しずつ大きくなり、目立つようになることがあります。

また、腫瘍を強く圧迫すると、中央部にある開口部から臭いを伴う物質が出てくることもあります。
そのため、粉瘤が大きくなると生活に支障をきたす可能性もあります。 特に、粉瘤が大きくなると、見た目に影響を及ぼすだけでなく、場合によっては痛みを伴うこともあります。

したがって、粉瘤が大きくなる前に治療を検討することが推奨されます。
しかし、治療をするかどうかは本人の希望によるため、気になる症状がある場合には医師に相談することが重要です。

炎症を起こす

粉瘤は皮膚の下に袋状の嚢腫が生じ、その中に皮膚の垢や脂が溜まることによってできます。
粉瘤を放置すると、腫瘍が徐々に大きくなり、細菌感染によって炎症を起こすことがあります。

炎症を起こすと、腫瘤は赤くなり、大きく腫れ上がることがあります。
また、これに伴い痛みを感じることもあります。
これを炎症性粉瘤といいます。
炎症性粉瘤になると、嚢腫の壁が破裂し、脂肪組織内に膿が散らばることがあります。
粉瘤は、一般的には治療が必要ない病気とされていますが、炎症を起こしている粉瘤については、治療が必要とされています。

また、炎症が生じた場合、治療に時間がかかるほか、手術後の傷あとも残りやすいといわれています。
したがって、粉瘤が炎症を起こすと、それはさらなる問題を引き起こす可能性があります。そのため、早期の治療が推奨されます。

まれに悪性化する場合もある

粉瘤は基本的に良性の皮膚疾患であり、粉瘤自体は健康に対する直接的な脅威ではありません。
しかし、ごくまれに、粉瘤が悪性化する可能性があります。
これは、粉瘤が長期間放置され、繰り返し炎症を起こしたり、特に大きくなったりした場合に起こり得る現象です。

悪性化した粉瘤は、一般的には高齢者、特に男性に多く見られ、頭部や首部に発生することが多いです。

粉瘤が悪性化する原因はまだ完全には解明されていませんが、一部の研究では、慢性的な炎症と感染が関与している可能性が示唆されています。
したがって、粉瘤がある場合は、早期に皮膚科で診察を受け、適切な治療を受けることが推奨されます。

粉瘤の治療法

粉瘤の治療法

粉瘤は、一般的には無害であるとされていますが、放置すると感染のリスクがあり、さらには皮膚の問題を引き起こす可能性があります。
以下では、粉瘤を放置しないための治療法について詳しく解説します。

くりぬき法

「くりぬき法」は、粉瘤(アテローム)の治療法の一つです。
粉瘤は皮膚の下に形成された袋状の組織に皮脂や角質などの老廃物が溜まった良性の腫瘍で、放置すると粉瘤が大きくなります。
また、粉瘤は特有の臭いを発することがあります。
これは、粉瘤の中に溜まった皮脂や角質などの老廃物が分解されることによるものです。
さらに、粉瘤が炎症を起こすこともあります。

「くりぬき法」は、粉瘤の治療において非常に効率的な手術法で、手術時間も短く、患者さんの負担も少ないとされています。
くりぬき法では、まず局所麻酔を行い、その後トレパンなどの特殊な器具を用いて皮膚に素早く小さな穴を開けます。
次に、粉瘤の内容物を絞り出し、その後しぼんだ袋状の組織を引き抜くことで粉瘤を除去します。

くりぬき法の利点は、粉瘤の袋状の組織を完全に除去できるため、再発の可能性を減らせる点です。
また、手術時間が短いため、患者さんの負担も少なく、日帰りで手術を受けることが可能です。

しかし、手術後のケアも重要で、手術後は患部にガーゼを貼り、1〜3日はガーゼが血で滲むため毎日ガーゼを交換します。
ガーゼが血や体液で汚れなくなったらテープを貼って過ごします。

「くりぬき法」は、粉瘤の治療において適切な手術後のケアとともに、粉瘤の再発を防ぎ、患者さんの生活の質を改善することが期待できます。

切開法

粉瘤(アテローム)は皮膚の下に袋状の組織が形成され、その中に皮脂や角質などの老廃物が溜まることで発生する良性の腫瘍です。
この袋状の組織が皮膚の下に残っている限り、粉瘤は再発します。
そのため、粉瘤の治療には袋状の組織を完全に取り除くことが必要となります。

その一つの治療法が「切開法」です。
切開法は、粉瘤が形成している皮膚を直接切開し、粉瘤をまるごと摘出する手術法です。
切開法は、再発する可能性が低いとされています。
手術は局所麻酔下で行われ、患者さんの負担を抑えるよう配慮されます。

切開法の手術の流れは以下の通りです。

  • 粉瘤の周囲に局所麻酔を行います。
  • メスで慎重に切開します。
  • 老廃物などの内容物を取り除きます。
  • 粉瘤をまるごと摘出します。
  • 縫合の際には、皮膚にシワができないように、切開ラインをデザインします。
  • しっかりと止血し、切開部分を縫合します。

切開法は、粉瘤の大きさや位置、患者さんの体質などにより、適応が決定されます。 また、手術後のケアも重要で、適切なケアにより傷あとを抑えることが可能とされています。
粉瘤の治療は専門的な知識と技術を要するため、専門の医療機関での診察と治療を受けることを強く推奨します。
早期発見・早期治療が再発予防にも繋がります。 粉瘤に悩んでいる方は、早めに医療機関を受診してください。

まとめ

まとめ

ここまで粉瘤は放置しないほうがいいのかについてお伝えしてきました。 粉瘤は放置しないほうがいいのかの要点をまとめると以下の通りです。

  • 粉瘤の原因は完全には解明されていないが、粉瘤が発生する可能性のある原因として、細菌感染や異物反応などが挙げられる
  • 粉瘤を放置すると、大きくなる、炎症を起こす、まれに悪性化するなどの影響が考えられる
  • 粉瘤の治療方法として、くりぬき法と切開法が挙げられる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

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平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

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