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粉瘤(アテローム)が炎症を起こすまで放置していませんか?炎症の原因や治療についても徹底解説!

粉瘤 炎症

粉瘤を治療せずに放置していると、炎症を起こしさまざまな皮膚トラブルに繋がってしまうかもしれません。本記事では粉瘤の炎症について以下の点を中心にご紹介します。

  • 粉瘤が炎症を起こす原因
  • 粉瘤に炎症が起きている時の症状や注意点
  • 炎症性粉瘤の治療法とは

粉瘤の炎症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

粉瘤(アテローム)について

粉瘤(アテローム)について

粉瘤とはどのような疾患ですか?
粉瘤は、皮膚の下に形成される袋状の良性腫瘍で、通常は角質や皮脂が内部に蓄積してできます。これらの物質は外部に排出されず、時間が経つにつれて徐々に腫瘍が大きくなることがあります。粉瘤は全身どこにでも発生する可能性がありますが、顔や首筋、背中、耳の後ろなどによく見られます。触診すると、数ミリメートルから数センチメートルの半球形のしこりとして感じられ、中央には時折黒い点のような開口部が存在し、強く押すと不快な臭いを伴う粘り気のある内容物が排出されることがあります。粉瘤は一般的には無害ですが、見た目や感染のリスクにより治療が必要となる場合があります。
粉瘤ができる原因は何でしょうか?
粉瘤の形成については、その具体的な原因はまだ完全には解明されていません。物理的な刺激や外傷が粉瘤の発生に関連していることがありますが、これらはすべての粉瘤に当てはまるわけではなく、多くの場合、なぜ粉瘤が形成されるのかは不明です。
粉瘤ができやすい人はどんな人でしょうか?
粉瘤が発生しやすい人の特徴については、完全には明らかになっていませんが、一般的に男性に多いとされています。また、特定の体質を持つ人々が粉瘤を発生しやすいと考えられています。粉瘤は皮膚のターンオーバー過程で通常は排出されるべき角質や皮脂が皮膚の下に溜まることで形成されるため、ホルモンバランスの乱れや多汗傾向がある人にも見られやすいとされています。ただし、これらはあくまで傾向であり、粉瘤の発生には個人差があることを理解することが重要です。

粉瘤(アテローム)の炎症について

粉瘤(アテローム)の炎症について

粉瘤が炎症を起こす原因は何ですか?
粉瘤が炎症を起こす原因は複数考えられますが、完全には解明されていません。粉瘤内の角質や皮脂が外部に漏れ出し、皮膚と接触することで異物反応が引き起こされ、炎症が生じることがあります。また、粉瘤の開口部から細菌が侵入し、感染を引き起こすことも炎症の一因です。これらの炎症は、粉瘤が感染や膨張を伴う段階で特に見られます。外部からの摩擦や圧力などの物理的刺激によっても、粉瘤の袋が破れ、炎症が引き起こされることがあります。これらの反応は、体の防衛機構が働くことによるもので、炎症性粉瘤の形成につながります。
粉瘤が炎症を起こすとどのような症状が出ますか?
粉瘤が炎症を起こすと、以下のような症状が現れることがあります。

  • 赤み:粉瘤の表面が赤く変色し、周囲の皮膚にも赤みが広がることがあります。
  • 痛み:粉瘤の周辺が敏感になり、触れると痛みを感じるようになります。
  • 腫れ:粉瘤が膨張し、皮膚が突出してきます。これは、内部に膿が溜まっている兆候です。
  • 熱感:粉瘤のある部分が熱を持ち、触ると温かく感じられます。
  • 膿の排出:炎症が進行すると、粉瘤が柔らかくなり、最終的には皮膚が破れて膿が外に出ることがあります。この膿は特有の強い臭いを伴うことが多いです。

これらの症状は、粉瘤が炎症を起こしている証拠であり、適切な治療を受けるためには医療機関を受診することが重要です。特に膿が溜まっている場合は、感染の拡大を防ぐためにも、迅速な医療処置が必要となります。粉瘤は自己治療をせず、専門家の診断と治療を受けることをおすすめめします。

粉瘤が炎症を起こすと治療が長引いたり傷跡が残りやすくなったりしますか?
粉瘤が炎症を起こした場合、治療の過程が複雑になりますので、改善するまでの時間が長引く傾向があります。また、傷跡が目立つ可能性が高くなります。
そのため、粉瘤が小さく炎症を起こさないうちに、早期に発見し治療を受けることが推奨されます。これにより、治療期間の短縮と傷跡の最小化が期待できます。
粉瘤の治療をせずに炎症を繰り返していると、がん化することがありますか?
粉瘤は通常、良性の腫瘍であり、がんへと変化することは非常に稀です。しかし、長期にわたって治療を受けずに放置されたり、繰り返し炎症を起こしたりすることで、まれにがん化するリスクが高まると考えられています。粉瘤ががん化する場合、多くは有棘細胞がんとなり、このタイプのがんは腫瘍が赤みを帯び、出血しやすい特徴があります。また、非常に稀ではありますが、基底細胞がんに変化することも報告されています。これらのがんは進行すると潰瘍化するリスクがあり、早期発見と治療が重要です。

粉瘤(アテローム)の治し方について

粉瘤(アテローム)の治し方について

粉瘤の切開法について教えてください。
粉瘤の切開法では、粉瘤を含む皮膚を紡錘形に切開し、粉瘤の内容物を袋状の嚢腫壁ごと取り除きます。切開は粉瘤の大きさに応じて適切な長さで行われ、可能な限り傷跡が目立たないように工夫されます。例えば、顔面などの目立つ部位では、より小さな切開で粉瘤を取り除く技術が用いられることがあります。
手術は局所麻酔が使用され、粉瘤の周囲の組織から慎重に剥がし取り、嚢腫壁が破れないように注意深く摘出されます。手術後は創部を清潔に保ち、必要に応じてドレーンを使用して腫れを抑えます。手術後のケアとして、創部を定期的に洗浄し、抜糸は1〜2週間後に行われます。粉瘤を切開法で取り除くことで、再発のリスクを大幅に減らせます。
粉瘤のへそ抜き法(くり抜き法)について教えてください。
粉瘤のへそ抜き法(くり抜き法)は、局所麻酔後に小さな円筒形の器具を用いて皮膚の一部を取り除き、粉瘤の袋状構造の一部を除去します。その後、粉瘤の内容物を圧迫して外に出し、可能な限り袋を取り除きます。この手法の利点は、手術時間が短いことですが、完全に治癒するまでには時間がかかります。また、傷口を縫合せずに自然治癒を促すため、開放創として残します。ただし、へそ抜き法はすべての粉瘤に適しているわけではありません。
特に、手のひらや足の裏などの表皮嚢腫や、炎症を繰り返す粉瘤、周囲の組織との癒着が強い場合には適用できないことがあります。また、炎症がある場合や再発している粉瘤では、袋が破れていることが多く、くり抜き法で完全に取り除くことが難しく、再発のリスクがあるため、慎重な判断が必要です。大きく成長した粉瘤の場合は、周囲の解剖学的構造を考慮して手術を行う必要があり、神経損傷などのリスクを避けるために、より確実に袋を摘出する方法が選ばれます。粉瘤のへそ抜き法は、傷跡を最小限に抑えつつ、粉瘤を効率的に取り除く手法ですが、粉瘤の状態や特性に応じて、適切な治療法が選択されます。
炎症性粉瘤の治療法を教えてください。
炎症性粉瘤は、膿を包む袋が周囲の組織と強く癒着しているため、袋ごとの切除が困難です。そのため、袋内の菌を除去することが最初の治療目標となります。以下にその概要を感染の程度に応じて説明します。軽度の感染の場合:軽度の感染がある場合、まずは抗生物質や抗炎症薬を用いて炎症を落ち着かせることから始めます。これにより、粉瘤の状態が安定した後に、手術による摘出を行えます。v 重度の感染の場合:感染が深刻な場合、粉瘤の中の膿を排出するために切開を行います。この処置は局所麻酔の下で実施され、膿を外に出すことで症状の緩和を図ります。その後、開放治療(軟膏治療)を施し、傷が落ち着いたら、適切な時期に粉瘤を摘出します。

炎症性粉瘤の治療は、医療機関での適切な治療を受けることが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで粉瘤の炎症についてお伝えしてきました。 粉瘤の炎症の要点をまとめると以下の通りです。

  • 粉瘤が炎症を起こす原因は解明されていないが、外部からの摩擦や圧力などの物理的刺激によっても、粉瘤の袋が破れ、炎症が引き起こされることがある
  • 粉瘤が炎症を起こすと、赤み、痛み、腫れ、熱感、膿の排出などの症状が現れることがあり、また、治療が長引いたり傷跡が目立ったりする可能性が高くなる
  • 炎症性粉瘤は、膿を包む袋が周囲の組織と強く癒着しているため、袋ごとの切除が困難で、感染の程度に応じた手術が実施される

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

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平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

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