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粉瘤

粉瘤の治療にはどんな手術方法があるか知っていますか?粉瘤の手術後の注意点についても合わせて解説

粉瘤 手術

粉瘤ができたらどうすればいいのでしょうか?また手術は必要なのでしょうか?
本記事では、粉瘤の手術について以下の点を中心にご紹介します。

  • そもそも粉瘤とは
  • 粉瘤の治療
  • 粉瘤手術後の過ごし方

粉瘤手術について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

粉瘤とは?

粉瘤とは?

粉瘤は、皮膚に袋状の構造物ができ、その袋の中に角質や皮脂が溜まって徐々に大きくなっていく良性の皮下腫瘍です。背中や顔、首にできることが多いですが、全身のどこにでもできます。皮膚のすぐ下にころころとしたしこりができて、数ヶ月しても消えない場合は、粉瘤の疑いがあります。また、放置をしても自然に消えることはほとんどありません。粉瘤は、よく脂肪の塊と勘違いされることがありますが、実際には、皮膚から出る垢の塊です。

粉瘤の原因と症状

粉瘤の原因と症状

粉瘤の原因ははっきりとは分かっていません。粉瘤は半球状に隆起しており、中央に黒点状の開口部を持っているため、強く圧迫すると、この開口部から白色の角質物が出てくることがあります。症状については、多くの場合は無症状ですが、内部物質に細菌が侵入すると化膿することがあります。これを炎症(化膿)性粉瘤と呼び、膿みがたまった状態(膿瘍)になり患部は赤く腫れ上がり、痛みを伴います。また、おしりや背中に生じた場合は、座ったり寝たりするときに圧迫感を感じることがあります。

粉瘤の検査と診断

粉瘤の検査と診断

粉瘤の検査はどのように行うのでしょうか?
また、鑑別診断が必要な場合についても詳しく解説していきます。

粉瘤の検査

粉瘤は、皮膚の下にできる固い塊で、視診や触診だけで診断できることが多いです。そのため、特別な検査は通常必要ありません。しかし、ほかの腫瘍との鑑別が必要な場合や、粉瘤が特に大きい、または病変が深くまで及んでいる場合には、エコー検査、CT検査、MRI検査などの画像診断が施行されることがあります。これらの検査は、粉瘤の位置や大きさ、周囲の組織との関係を詳しく調べるために行われます。特に、粉瘤が深部に及んでいる場合や、周囲の組織に影響を及ぼしている可能性がある場合には、これらの画像診断が非常に有用です。しかし、これらの検査は全ての粉瘤に必要なわけではなく、医師の判断によります。患者さん自身が粉瘤の存在に気付かないこともありますので、皮膚に異常を感じた場合は、早めに皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることがおすすめです。以上が、粉瘤の検査についての基本的な情報です。ただし、症状や状況により、検査の内容や方法は異なる場合がありますので、医師の指示に従ってください。

粉瘤の診断と鑑別診断を要するもの

粉瘤は皮膚の脂肪腺や毛包が閉塞し、その中に皮脂や角質が溜まったもので、無害とされていますが、似たような皮膚腫瘍と間違えやすいため、鑑別診断が必要です。以下で間違えやすい皮膚腫瘍を紹介していきます。石灰化上皮腫はやや黒っぽく、粉瘤よりも固い特徴があります。脂肪腫は化膿することはなく、皮膚との癒着は少ないです。ガングリオンは関節や筋の上にでき、穿刺すればゼリー状の液が貯留します。脂腺嚢腫症は遺伝性で、少し黄色っぽく青年期以後の男性に多いとされています。類皮嚢腫(デルモイドシスト)は胎生期の遺残物で、目や鼻の周りなどの骨縫合部に出来やすく、中に黄色の液体と毛などが貯留します。耳前瘻孔は耳の周囲の炎症性粉瘤と間違えやすいです。また、皮様嚢腫、側頸嚢腫、正中頸嚢腫、耳前瘻孔、外歯瘻、毛巣洞、石灰化上皮腫(毛母腫)、癤・せつ(おでき)なども粉瘤と似た症状を示すことがあります。

粉瘤の治療

粉瘤の治療

粉瘤に炎症を伴うかどうかで治療方法は異なるのでしょうか?
以下で詳しく見ていきましょう。

炎症を伴わない場合

粉瘤は袋状構造物(被膜)で、その中には垢状物質が含まれています。この袋状構造物は薄い壁でできており、炎症を伴わない場合、細菌感染がなければ周囲の組織から簡単にはがれ、摘出が可能とされています。治療を希望される場合、手術を行う必要があります。被膜の一部は皮膚に癒着しているため、その部分の皮膚は一緒に切除し、再発を防ぐことが重要です。粉瘤は良性腫瘍であり、痛みなどの自覚症状がなければ、特に治療をせずとも問題ありません。しかし、放っておくと炎症を起こしたり、肥大化したりする可能性があります。そのため、見た目が気になる場合や、外的刺激を受けやすく、将来的に炎症や破裂を生じる可能性が高いと考えられる場合は、手術により切除することをおすすめします。

炎症を伴っている場合

炎症を伴っている場合、治療は通常よりも複雑になります。感染が軽度であれば、抗生物質や抗炎症薬を投与して症状を鎮静化させ、その後で摘出手術を行います。しかし、感染が重度である場合は、局所麻酔を施した後、腫れている部分をメスで切開し、内部の膿や角質を取り出します。その後、傷を開いたままにして自然に閉じるまで軟膏処置を続けます。傷が一旦閉じたら、後日残った腫瘍を摘出します。このような場合、治療期間が長くなり、傷跡も目立つ可能性があります。

粉瘤手術の種類

粉瘤手術の種類

ここでは、主な粉瘤手術の種類として切開法とくりぬき法を詳しく解説していきます。

切開法

切開法は、局所麻酔を使用し、粉瘤の大きさによりますが、大半は日帰り手術が可能で、手術時間は約30分から1時間です。切開法の特徴は、粉瘤の直径と同じくらいの切開を行い、粉瘤を袋ごと取り出すことです。これにより、皮脂や角質が溜まることがなくなり、再発の可能性が低くなります。また、粉瘤の大きさや皮膚との癒着状況に関わらず、あらゆる粉瘤に対応できるというメリットがあります。一方で、切開法のデメリットとしては、傷跡が大きくなることが挙げられます。しかし、傷跡が大きくなるといっても、粉瘤の大きさに比例しますので、粉瘤が小さいほどそれに伴い、傷跡も小さくなります。 粉瘤の治療法を選択する際は、これらのメリットとデメリットを考慮し、医師と十分に話し合うことが重要です。

くりぬき法

くり抜き法は、局所麻酔を施した後、直径4mmほどのトレパンという円筒状のメスで皮膚を刺し、袋状構造物の一部をくり抜く手術法です。この方法では、傷口は開放創として自然に治癒させます。手術時間は短いですが、粉瘤が消えるまでの日数は長くなります。くり抜き法のメリットは、傷が小さくて済むことです。粉瘤の中心部をわずか4〜5mmほど切開し、そこから内容物と袋を取り出すため、傷跡が目立ちにくいのです。しかしデメリットもあり、再発の確率が高いことが挙げられます。これは、小さな穴から内容物のみを取り出すため、袋が残ってしまうためです。また、粉瘤が大きい場合や皮膚との癒着が強い場合は、くり抜き法では対応が難しい場合もあります。 以上のように、くり抜き法は手術時間が短く、傷跡が目立ちにくいというメリットがありますが、再発の可能性があるというデメリットも理解しておくことが重要です。手術法の選択は、粉瘤の大きさや位置、皮膚との癒着の有無など、患者さんの状況によります。

粉瘤の手術後

粉瘤の手術後

ここでは、粉瘤手術後に注意すべきことや考えられる合併症について解説していきます。

手術後に注意すること

手術後のケアは、手術の成功を左右する重要な要素です。その中でも、入浴、運動、飲酒、そして定期的な通院が特に重要です。まず、入浴は、傷口からの感染を防ぐために、抜糸まで湯船に浸かることは避けるべきです。湯船に浸かると傷口が濡れ、感染のリスクが高まるからです。しかし、シャワーは手術翌日から可能です。次に、運動については、特に背中は皮膚の伸び縮みが起こりやすいため、出血のリスクがあります。そのため、運動の内容や傷の場所によっては、手術当日と翌日、場合によっては抜糸まで制限されることがあります。 また、お酒については、血行が良くなり血腫のリスクが高まるため、手術当日と翌日は控えるべきです。最後に、手術翌日には必ず来院し、傷のチェックを行うことが重要です。そして、1週間後に再度来院し、抜糸を行います。これらの通院は、手術後の経過を確認し、問題がないかをチェックするために必要です。これらを守ることで、手術後の回復をスムーズに進められるでしょう。

手術後に多い合併症

まず、血腫は手術後によく見られる合併症で、縫合した部位に血液が溜まる状態のことです。これはドレーンという細いストロー状のチューブを使用することで予防可能です。次に、化膿は特に炎症性粉瘤を摘出する際に起こりやすいです。化膿した場合でも、適切な投薬治療や再手術により、傷は治癒できます。また、肥厚性瘢痕やケロイドは、傷を修復しようとする反応により、肉芽組織が増殖して起こります。これは通常3ヶ月を過ぎると落ち着き、半年〜1年経つと平坦で柔らかい傷に変化します。しかし、この反応が長引くと肥厚性瘢痕やケロイドが形成される可能性があります。特にケロイド体質の方や手術直後にその兆候が見られる場合は、医師にすぐに相談することが推奨されます。

まとめ

まとめ

ここまで粉瘤手術についてお伝えしてきました。 粉瘤手術の要点をまとめると以下の通りです。

  • 粉瘤は、皮膚に袋状の構造物ができ、その袋の中に角質や皮脂が溜まって徐々に大きくなっていく良性の皮下腫瘍
  • 粉瘤の主な手術方法として切開法とくりぬき法が挙げられる
  • 手術当日と翌日は飲酒は避ける

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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