新着記事

注目のトピック

粉瘤

粉瘤は脇にもできる?脇のできものの種類や治療方法についてもまとめました

粉瘤は脇にもできる?脇のできものの種類や治療方法についてもまとめました

粉瘤とは身体のどこでも発生する可能性がある皮膚の病気で、特に脇などの隠れた部分にできやすいとされています。アテローマと呼ばれることもあります。しかし、脇の下のできものは粉瘤だけではありません。

この記事では、粉瘤の基本情報や、その他の脇にできる皮膚の病気やその治療方法についてわかりやすく解説していきます。また、日常生活でできる予防方法も合わせてご紹介します。脇の下の小さな異変に気づいたら、ぜひこの記事を参考にしてください。

粉瘤とは

粉瘤とは 粉瘤は皮膚の下にできる良性の腫瘍で、皮脂腺の詰まりが原因で発生します。見た目には小さなしこりとして現れ、肌の色と変わらないか、わずかに赤みを帯びていることが多いです。ここでは症状や原因、できやすい部位について解説します。

症状

粉瘤の最も一般的な症状は、皮膚の下に硬いしこりが形成されることです。このしこりは通常、数ミリメートルから数センチメートルの範囲で成長し、大きくなるにつれて圧迫感や痛みを伴うことがあります。特に衣服との摩擦がある部分に発生した場合、不快感がさらに増す可能性があります。また、しこりが成長すると、その部分の皮膚が赤くなったり、茶色っぽく変色することがあります。これは周囲の皮膚への圧迫や炎症が原因です。 さらに、粉瘤が破裂すると中から白っぽい物質が外に出て、感染のリスクが高まります。感染した粉瘤は痛みを伴い、腫れや赤みが強くなることがあります。また、破裂した粉瘤からは特有の不快な臭いが発生することがあります。これは粉瘤内の脂質が酸化するためです。 粉瘤自体は良性の腫瘍で、通常は大きな健康リスクをもたらすことは少ないです。ただし、症状や見た目による心理的な影響は無視できませんし、程度によっては日常生活に支障をきたすこともあります。

原因

粉瘤が発生する主な原因は皮脂腺の詰まりです。皮膚には数多くの皮脂腺が存在し、通常これらは皮膚の保湿に役立つ皮脂を分泌しています。しかし、皮脂腺の出口が何らかの理由で塞がれると、皮脂が外部に排出されずに腺内に蓄積し、腫瘤を形成することになります。 皮脂腺が詰まる原因としては、思春期やストレスによる皮脂の過剰分泌、化粧品使用や不適切なスキンケアによる毛穴の閉塞、遺伝的な要素、肌のダメージによる皮脂腺の構造変化などが挙げられます。

できやすい部位

粉瘤ができやすい部位としては、皮脂分泌が活発な頭皮や顔、特に額や鼻周辺、背中の上部などが知られています。これらの部位は皮脂腺が密集しており、皮脂の蓄積が起こりやすい環境を持っています。また、肌の摩擦や圧迫が頻繁に起こる場所、例えば衣服によって覆われる部位も、皮脂腺の詰まりによる粉瘤の発生が見られやすいとされています。粉瘤は身体のどこにでも発生する可能性がありますが、これらの部位における発生率は特に高いと言えます。

粉瘤の治療方法

粉瘤の治療方法 粉瘤は自然治癒することはほとんどなく、放置するとサイズが大きくなり感染や炎症のリスクも高まります。治療方法には主に切開法とくり抜き法の二種類があり、患者の状態や粉瘤の大きさ、位置に応じて適切な方法が選択されます。

切開法

切開法は、比較的小さな粉瘤に適した治療法です。この方法では、まず局所麻酔を行い、粉瘤の上から皮膚を切開します。次に、粉瘤の内容物を慎重に取り除き、可能な限り粉瘤の袋も完全に除去します。粉瘤の袋を残してしまうと再発のリスクが高まるため、できるだけ丁寧に取り扱う必要があります。切開後は、傷口を縫合し、適切な傷の管理を行います。

くり抜き法

くり抜き法は、より大きな粉瘤や再発した粉瘤に適している治療法です。この方法では、切開法と同様に局所麻酔を施した後、粉瘤の上に小さな穴を開けます。その穴から特殊な器具を用いて粉瘤の内容物と袋をくり抜くようにして取り除きます。くり抜き法の大きな利点は、傷が小さく済むことです。傷の治癒が早く、美容的な効果も優れています。ただし、粉瘤の袋を完全に取り除くことが難しい場合があり、その場合は再発の可能性があります。そのため、くり抜き法を行った後は定期的なフォローが必要となることがあります。

粉瘤以外の脇のできもの

粉瘤以外の脇のできもの 脇の下にできるものは、粉瘤だけではありません。ここでは、脇にできる代表的な皮膚の状態や病気について詳しく見ていきましょう。

ニキビ

脇の下にできるニキビには、主に2つのタイプがあります。これらのニキビはそれぞれ異なる特徴を持ち、その原因や治療方法も異なります。

一つ目のタイプは、一般的に「黒ニキビ」と呼ばれるものです。これはもともと白ニキビとして形成されたものが、空気に触れることで酸化し、黒く変色してしまった状態を指します。通常、開いた毛穴に皮脂や古い角質が詰まり、その表面が黒くなることで目立つようになります。また、毛抜きの使用など物理的な刺激が黒ニキビを引き起こす場合もあります。

二つ目は、「赤ニキビ」として知られるものです。このニキビは赤く腫れ上がった状態で、炎症が進行していることを示しています。毛穴の中で皮脂が漏れ出し、その周囲に炎症が発生しています。赤ニキビは、中心部に白い膿を持つことがあり、痛みを伴うこともあります。

脂腺嚢腫

発脂腺嚢腫は、コリコリとした触感のしこりが腋窩や腕、胸部、頚部、腹部などに複数形成される状態です。これらのしこりは左右対称に多発することが特徴的で、粉瘤とは異なり、中心にお臍(凹み)が存在しません。多発脂腺嚢腫は、しこりが複数箇所に見られることから、しばしば粉瘤と誤認されることがありますが、その成因や治療法は異なります。

リンパ節炎

リンパ節炎は、リンパ節に感染が起きて生じる病態で、リンパ節の腫れや圧痛が伴います。リンパ液は体内の様々な物質を運搬し、リンパ節ではこれらの物質が濾過され、特殊な白血球によって破壊されます。リンパ節炎は、細菌、ウイルス、原虫、真菌など多様な病原体によって引き起こされ、その影響は脇だけでなく、耳、鼻、眼などの部位からリンパ節に及ぶことが多いです。感染したリンパ節は腫れるだけでなく、痛みや圧痛、時に皮膚の赤みや熱感を伴います。また、重症化すると膿瘍の形成や蜂窩織炎が生じることもあります。

毛巣洞

毛巣洞は皮膚に生じる小さな穴で、内部に毛が含まれることが特徴です。主に仙尾骨部の正中線上、すなわち肛門の少し上の位置に発生することが多いですが、腋の下など他の部位にも生じることがあります。この症状は、長時間座り続ける生活習慣を持つ人、特に多毛の男性によく見られますが、女性にも発症することがあります。通常、毛巣洞は無症状ですが、感染が起こると症状が顕著になります。具体的には、患部に痛みや腫れが生じるほか、膿が排出されることもあります。 毛巣洞に感染が生じた場合、その症状は痔瘻(じろう)や化膿した皮膚腫瘍と間違えられることがあります。これは、感染によって引き起こされる炎症や膿の排出がこれらの疾患の症状と似ているためです。

膿皮症

膿皮症はアポクリン汗腺や毛包の機能障害に起因する皮膚疾患です。この病状は、脇、鼠径部、臀部などアポクリン汗腺が豊富な部位において、炎症性の結節や膿瘍が繰り返し現れる特徴を持っています。 膿皮症による皮膚の変化は、急激なものではなく、ゆっくりと慢性的に細菌感染を繰り返すことで進行します。これは一般的な「おでき」とは異なり、皮膚内での炎症反応が長期間続くため、皮膚が赤くブツブツと変化し、最終的には瘢痕化して硬くなることがあります。また、皮膚内部には蜘蛛の巣状の膿の溜まりが形成され、これが皮膚表面に穴(瘻孔)を作ることもあります。 稀なケースではあるものの、膿皮症は長期間放置すると皮膚がんのリスクが高まることが知られています。特に有棘細胞癌が発生しやすい環境になる可能性があると言われています。そのため、この症状が見られた場合は迅速な医療介入が必要です。

副乳

副乳は多くの人にはあまり知られていませんが、実はそれほど珍しい状態ではありません。文字通り「余分な乳腺組織」が体の他の部位、特に脇の下に存在することを指します。副乳は通常の乳腺と同じように機能し、時には妊娠や授乳期に腫れたり、痛みを伴うこともあります。 人によっては副乳の存在に全く気づかないこともありますが、脇のしたに小さなしこりや腫れとして感じられることで気づく場合があります。時には、小さなふくらみや皮膚の下の固い部分として確認できることもあります。この状態は生まれつきのもので、遺伝的要因が関係していると考えられています。 副乳自体は通常、健康上の大きな問題を引き起こすものではありませんが、腫れや痛みなどの不快な症状を引き起こすことがあります。また、稀にですが通常の乳腺と同様に病的変化を起こすリスクもあります。

粉瘤以外の脇のできものの治療方法

粉瘤以外の脇のできものの治療方法 ここまで脇のできものの種類について解説してきました。ここからは、それらの治療法を紹介していきます。

ニキビの治療

脇の下にできるニキビは、皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まりが主な原因です。ニキビの治療は肌を清潔に保つことや、バランスの良い食生活を摂ることが基本となります。病院では、炎症を抑える抗生物質や外用薬が処方されることがあります。また、肌を優しく洗うことで、刺激を避けつつ皮脂や汚れを取り除くことが重要です。ストレスの管理や十分な睡眠もニキビの予防に役立ちます。

脂腺嚢腫の治療

脂腺嚢腫は、しこりが大きくなると外科的な手術で取り除くことが一般的です。この手術は局所麻酔のもとで行われ、嚢腫とその周辺の組織を丁寧に除去します。嚢腫が感染して膿を持っている場合は、切開して膿を出すドレナージ処置が必要になることがあります。しかし、ドレナージ処置は一時的な解決策であり根本的な治療にはならないため、症状が改善しない場合は医師の指示に従ってください。

リンパ節炎の治療

リンパ節炎の治療は感染を引き起こしている微生物の種類によって異なります。細菌による感染症の場合、抗菌薬の使用が一般的です。これらの薬は、通常、静脈内注射または経口で投与されます。一方、真菌や寄生虫による感染症の場合は、異なる種類の薬が使用されます。リンパ節炎が膿瘍を形成している場合は、外科的な処置で膿を排出する必要があります。この場合も、感染を抑えるために抗菌薬の静脈内投与が行われることが一般的です。特に小児の場合、抗菌薬の静脈内投与が必要となるケースが多く見られます。

毛巣洞の治療

毛巣洞は、特に感染を起こした場合に適切な治療が必要となります。基本的には局所麻酔を施した後に皮膚を切開し、膿を洗い流す切開排膿が行われます。切開排膿により感染部位を清潔にし、膿を取り除きます。感染が軽度の場合は抗生物質などの内服薬で治療を行い、症状の進行を見守ることもあります。 根本的な治療としては、毛巣洞を外科的に切除する手術があります。外科手術では、毛巣洞とその周囲の組織を取り除きます。手術後の傷口の治療法には、薬を塗って時間をかけて自然に治す方法や、周囲の皮膚や皮下組織を移動させて皮膚弁で傷口を閉じる方法があります。

膿皮症の治療

膿皮症の治療方法としては、まず細菌感染に対処するために抗生物質を内服することが多いです。重症の場合には、より強力な抗生物質を静脈内で投与する必要があることもあります。また、軽度の場合には塗り薬やクリームを用いた局所治療で症状を和らげることもできます。抗炎症作用がある薬剤を用いたり、感染部位を清潔に保つためのスキンケアを行ったりします。膿皮症が膿瘍を形成している場合は、外科的な方法で膿を排出する処置が必要になることもあります。患部を切開して膿を除去し、感染の拡大を防ぐことが目的です。

副乳の治療

副乳は健康上の大きな問題を引き起こさないため、特に治療を必要としないことが多いです。しかし、副乳が腫れたり痛みを伴う場合、または美容的な観点で取り除きたいと考える場合は治療が必要になります。 副乳の治療では、一般的に外科的な方法で副乳を取り除く手術が行われます。手術は局所麻酔を使用して行われ、副乳組織を丁寧に切除します。手術は比較的簡単なため通常は日帰り手術として行われますが、場合によっては短期の入院が必要になることもあります。

脇のできものの予防方法

脇のできものの予防方法 脇の下は特に皮脂や汗の分泌が多いため、ニキビや膿皮症、リンパ節炎などの皮膚トラブルが発生しやすい部位です。これらの皮膚トラブルを予防するためには、日常生活でいくつかの注意点を守ることが重要です。

肌を清潔に保つ

特にニキビや膿皮症を予防するためには、肌を清潔に保つことが非常に重要です。脇の下を優しく洗い、皮脂や汗、汚れをしっかりと落とします。しかし、洗浄が強すぎると皮膚を刺激してしまうので、肌に優しい石鹸やボディウォッシュを使うことがおすすめです。洗浄後は、肌が乾燥しないように保湿剤を適量塗ることが大切です。肌が乾燥すると、皮脂の過剰分泌を促してしまうことがあるためです。また、蒸れを防ぐために、通気性の良い素材の衣服を選ぶことも予防に役立ちます。

手洗いやうがい

リンパ節炎の予防には、手洗いやうがいが効果的です。これはリンパ節炎の多くが感染症に起因しているためです。外出から戻った後、食事前、トイレ後などには手をしっかりと洗うことで、細菌やウイルスの付着を防ぐことにつながります。そして、帰宅時や、人ごみの中にいた後などには、うがいをして口腔内の細菌やウイルスを洗い流すことが効果的です。

まとめ

まとめ この記事では、脇の下にできる様々な皮膚の問題とその治療方法について詳しく解説しました。重要なのは、これらの皮膚のトラブルが発生した際には早めに医師の診察を受けることです。また、日々の生活習慣に気を配ることで脇の下の皮膚トラブルを防ぎ、健康的な肌状態を維持することが可能です。肌の健康は日常のケアによって大きく左右されるため、適切なケアを心がけましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

記事をもっと見る
  • この記事の監修医師
  • 他の監修記事
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

  1. 腹腔鏡下手術(内視鏡手術)とは?デメリットについても徹底解説!

  2. 胃カメラ検査は麻酔を使う方が良い?メリット・デメリットから注意点、麻酔以外の選択肢まで解説

  3. 粉瘤の手術費用相場は?手術の方法や保険適用について

RELATED

PAGE TOP