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粉瘤

粉瘤はどこにできる?診察や治療は何科で受ければ良いの?

粉瘤 どこにできる

粉瘤という皮膚の疾患をご存じでしょうか。そのしこり、実は粉瘤かもしれません。 本記事では粉瘤はどこにできるのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 粉瘤とは
  • 粉瘤ができやすい部位について
  • 粉瘤の手術について

粉瘤はどこにできるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

そもそも粉瘤(アテローム)とは?

そもそも粉瘤(アテローム)とは?

粉瘤(アテローム)とは、皮膚の下に形成される袋状の良性腫瘍で、角質や皮脂が内部に蓄積して徐々に大きくなる特徴があります。しこりは皮膚の直下に形成され、中央に黒い点が見られることがありますが、これは皮膚と腫瘍の内部が繋がっていることを示しています。

通常、粉瘤は自然には消失せず、痛みなど症状を伴わないことが多いとされていますが、細菌感染が起こると患部が赤く腫れ、痛みを伴うことがあります。この状態を炎症性粉瘤と呼びます。感染が進行すると、膿を含んだ状態になり、場合によっては慢性化するリスクもあります。そのため、粉瘤が見つかった場合は、自己処理をせずに医療機関での適切な診断と治療を受けることが重要です。

粉瘤はどこにできる?

粉瘤はどこにできる?

それでは、粉瘤の原因と症状について詳しく解説していきます。

粉瘤の原因

粉瘤の発生原因は完全には解明されていませんが、角質や皮脂が皮膚の内部に蓄積することによって形成されると考えられています。不衛生な状態が原因と思われることがありますが、必ずしもそうではありません。実際には、外傷や特定のウイルス感染、遺伝的な要素などが関与している可能性があります。体質的に粉瘤ができやすい方もいます。

粉瘤の症状

粉瘤は通常、痛みを伴わない皮膚下のしこりとして現れますが、感染が起きた場合や圧迫された場合には痛みを感じることがあります。顔にできると半球形の隆起として目立つことがあり、背中やお尻にできた粉瘤は座るや寝る際に圧迫感を引き起こすことがあります。また、粉瘤が炎症を起こし腫れた場合、皮膚が赤くなり、大きさが10cmを超えることもあります。
粉瘤の中央部には時折、黒い点が見られることがあり、これは開口部に詰まった皮脂が酸化して黒くなっているためです。粉瘤の内容物が外部に漏れ出た場合、強い悪臭を放つことがあり、その臭いは腐敗した食物や汗ばんだ靴下に例えられることがあります。この臭いは、角質や皮脂などの老廃物が原因であることが多いですが、細菌の繁殖による炎症も臭いの原因となることがあります。ただし、すべての粉瘤が臭いを発するわけではありません。

粉瘤ができやすい場所

粉瘤は皮膚のどの部分にも形成される可能性がありますが、顔面、頸部、背中、耳の後ろなどが特に発生しやすい場所として知られています。また、脇の下やお尻、鼠径部などの皮膚が柔らかいエリアや摩擦が多い部位にも見られることがあります。

粉瘤とよく似た疾患

粉瘤とよく似た疾患

粉瘤には、よく似た疾患がいくつか存在します。以下に粉瘤に似ている疾患についていくつか述べていきます。

ニキビ

粉瘤とニキビは外見が似ていることがありますが、いくつかの点で明確に区別されます。
ニキビは主に皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖によって引き起こされる皮膚疾患で、顔だけでなく胸や背中にも発生することがあります。一方で粉瘤は、皮膚下に袋状の構造が形成され、その中に角質や皮脂が蓄積して大きくなる良性の腫瘍です。
ニキビは通常、粉瘤よりも小さく、薬による治療が可能とされています。粉瘤はサイズが10cm以上になることもあり、圧迫されると特有の悪臭を放つことがありますが、ニキビにはこのような特徴はありません。
また、ニキビは自然に治癒することもありますが、粉瘤は自然には消えず、医療的な処置が必要です。

おでき(せつ、よう)

おでき、または「せつ」と呼ばれる症状は、毛穴が細菌に感染して膿を含む腫れ物ができる皮膚の感染症です。感染の初期段階では硬いしこりとして感じられ、数日経過すると赤みを帯びて膿が形成されます。主に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌が原因であり、軽度の場合は清潔に保つことで自然治癒することもありますが、症状が進行すると抗菌薬の使用が必要になることがあります。
特に肥満体質の方、高齢者、糖尿病の患者さん等に見られ、複数のせつが集まって形成されると「よう」とも呼ばれます。放置すると痛みや赤み、発熱などの症状を引き起こす可能性があり、膿が内部に溜まった場合には外科的な処置が必要となることがあります。
治療には抗菌薬の内服や塗り薬が使用されます。

外歯瘻

外歯瘻は、主にむし歯や歯周病が原因で発生します。これらの歯の病気によって蓄積された膿が、皮膚表面に向かって道を作り、最終的に皮膚から排出されることによって形成されます。外歯瘻は主に下顎に発生し、適切な歯科治療が重要です。歯科治療によって根本的な原因を取り除くことで、外歯瘻の治療につながります。

毛巣洞(毛巣瘻)

毛巣洞(毛巣瘻)は、肛門と尾骨の間に発生する膿瘍で、外見が炎症性粉瘤に類似しており、区別が困難な場合があります。この疾患は、皮下に袋状の構造が形成され、毛髪が内部に侵入することで発生します。
通常、毛巣洞は肛門付近の中央部に形成され、病巣は頭側に広がる傾向があります。粉瘤と同様に、肛門周囲の病気である痔瘻との鑑別が難しいため、正確な診断のためには総合病院での精密検査が推奨されます。
毛巣洞の原因は明確には特定されていませんが、体毛が皮膚内に成長することが関連していると考えられています。無症状の場合もありますが、感染が発生すると膿や痛み、腫れなどの症状が現れることがあります。特に毛深い男性や長時間座位を保つ職業の方々に見られる疾患であり、治療には膿を排出するための外科的処置や、場合によっては患部の切除が行われることがあります。

粉瘤の治療法

粉瘤の治療法

粉瘤の治療は何科へ行けば良いのか、自身で解決できないか悩む方もおられるかと思います。粉瘤を悪化させない為にも、ぜひ以下をご覧ください。

粉瘤は自然に治るのか

粉瘤は、自然に治癒することは期待できません。放置しておくと、角質や皮脂が内部に蓄積し、粉瘤は徐々にサイズを増していきます。粉瘤が大きくなると、炎症や膿を伴う症状の悪化につながることがあり、その結果、治療後にも痕が残るリスクが高まります。そのため、粉瘤が炎症を起こす前に病院で診察を受けましょう。

粉瘤の診察は何科に行けば良い

粉瘤は皮膚疾患であるため、粉瘤の治療に関しては、皮膚科が適切な診療科とされています。
女性の場合、デリケートゾーンに粉瘤ができた際には、婦人科の受診を考える方もおられるでしょうが、基本的には皮膚科での診察が推奨されます。
また、手術を伴う場合は、形成外科での治療も選択肢の一つです。
しかし、何よりも重要なのは、粉瘤を除去し、再発を防ぐことです。そのため、粉瘤の手術を診療科目に挙げている皮膚科・形成外科を選ぶことが重要です。

粉瘤はどのように治療するのか

粉瘤が大きくなったり、症状を引き起こしたりする場合は、手術による除去が一般的です。
手術には主に「切除法」と「へそ抜き法(くり抜き法)」の二つの方法があります。詳しくは以降の「粉瘤の手術」にて解説していますので、そちらをご参照ください。

炎症を伴う粉瘤の場合、炎症が治まるまで手術は行われません。炎症がある状態で手術を行うと、感染リスクが高まり、傷の治癒が遅れる可能性があります。そのため、まずは炎症を抑える処置が行われ、その後で粉瘤の除去が計画されます。

粉瘤は自己処理できない

粉瘤を自身で潰したり、切開して中身を取り出そうとしたりする試みは、一時的な症状の緩和に過ぎず、袋が残る限り再発の可能性があります。さらに、このような行為は炎症や感染を引き起こすリスクを増加させ、状況を悪化させる可能性があります。
インターネット上には様々な自己治療法が紹介されていることがありますが、これらの情報は必ずしも信頼できるものではありません。粉瘤の治療は、医師による診断と手術によって袋を根本から取り除くことが重要です。また、粉瘤が悪性化している場合や、粉瘤とよく似た別の疾患の場合もあります。
粉瘤が見つかった場合は、自己判断で処理を試みるのではなく、皮膚科を受診しましょう。

粉瘤の手術

粉瘤の手術

それでは、粉瘤の手術について解説します。

切開法

粉瘤の除去には切開法という手術手法が用いられることがあります。
手術の内容は以下のとおりです。

粉瘤の上部を含む皮膚を楕円形にマーキングします
局所麻酔を施した後、マーキングに沿って皮膚を切開し、粉瘤を周囲の組織から丁寧に剥がして取り除きます。手術中に粉瘤の壁が破れないように注意が必要です
手術後は、創部を清潔に保ち、必要に応じてドレーンを用いて余分な液体を排出します
手術翌日からは定期的に創部を洗浄し、適切なケアを行います
抜糸は約1~2週間後に行われ、その後はテーピングなどで傷跡の治癒を促進します

切開法による手術は、粉瘤の完全に除去を目的としているため、再発のリスクを抑えます。手術は通常、局所麻酔下で行われ、大きさにもよりますが日帰り手術が可能な場合もあります。

へそ抜き法(くり抜き法)

粉瘤の除去には、へそ抜き法(またはくり抜き法)と呼ばれる手術手法があります。 へそ抜き法では、まず患部に局所麻酔を施し、その後、小さな円筒形の刃を用いて粉瘤の上部をわずかに切開します。この切開を通じて、粉瘤の内容物を押し出しつつ、袋状の構造も可能な限り取り除きます。手術は通常、縫合をせずに開放創として残し、自然治癒を促します。

へそ抜き法は、比較的短時間で行える手術であり、切開法に比べて手術跡が目立ちにくいという利点があります。しかし、完全な治癒には時間がかかることがあり、また、粉瘤の壁が完全に除去されない場合、再発のリスクが高まる可能性があります。特に、手のひらや足の裏などの特定の部位や、炎症を繰り返す粉瘤には適していない場合があります。粉瘤の状態や位置に応じて、手術方法は変わります。

粉瘤の治療費

粉瘤の治療費

粉瘤の治療にかかる費用は、手術の規模や部位によって異なります。露出部分(顔や手足など露出しやすい部位)と非露出部分(通常衣服で覆われる部位)で費用が異なり、粉瘤の大きさによっても変動します。保険適用による3割負担の場合、自己負担額の目安は以下の通りです。

  • 露出部の2cm未満の粉瘤:約6,000円
  • 露出部の2cm以上4cm未満の粉瘤:約12,000円
  • 露出部の4cm以上の粉瘤:約14,000円
  • 非露出部の3cm未満の粉瘤:約5,000円
  • 非露出部の3cm以上6cm未満の粉瘤:約10,000円
  • 非露出部の6cm以上の粉瘤:約13,000円

なお、追加検査によって最終的な費用が変動することがあります。また、個人が加入している生命保険や共済組合によっては、手術に関する給付金や交付金が支給される場合があります。給付金を受け取るためには、保険会社や共済組合への申請が必要です。

まとめ

まとめ

ここまで粉瘤はどこにできるのかについてお伝えしてきました。粉瘤はどこにできるのかの要点をまとめると以下の通りです。

  • 粉瘤(アテローム)とは、皮膚の下に形成される袋状の良性腫瘍で、角質や皮脂が内部に蓄積して徐々に大きくなるしこりのこと
  • 粉瘤は皮膚のどの部分にも形成される可能性があるが、顔面、頸部、背中、耳の後ろなどが特に発生しやすい
  • 手術には主に「切除法」と「へそ抜き法(くり抜き法)」の二つの方法があり、粉瘤の状態や位置に応じて手術の方法は変わる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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