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コンジローマは肛門でも発症する?症状や治療法・予防法を解説

コンジローマ 肛門

コンジローマはウイルス性の性感染症です。性交により発症する可能性が高い疾患で、近年10代後半から20代前半の男女で発症する割合が増えています。

また、初期症状がないため、感染していることに気付きにくいのが特徴です。発症すると陰茎などの生殖器の周辺にイボができるため、違和感を覚え感染したことに気付く場合があります。

外陰部に発症することが多いコンジローマですが、肛門に発症することもあります。

外陰部や肛門に違和感があり「コンジローマではないか」と不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。

コンジローマは治療で治すことが可能なため、正しい治療方法を知ることが大切です。また、感染しないための知識を持つことも大切です。

この記事では、肛門にコンジローマが発症した時にみられる症状や治療法、コンジローマに感染しないための予防法について解説します。

肛門尖圭コンジローマは、自然に治ることが少ないため、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

尖圭コンジローマとは?

案内する女医

尖圭コンジローマの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の6型と11型などのウイルスに感染すると発症する疾患です。

尖圭(せんけい)とは「とがっている」という意味で、先端がとがったイボが生殖器やその周辺の粘膜に発生します。

淡紅色~褐色の乳頭状・鶏冠状・カリフラワー状のイボができるのが特徴で、見た目での診断が可能です。

生殖器に発症することが多いですが、男女ともに肛門に発症する場合があります。

尖圭コンジローマの感染経路のほとんどが性交によるもので、ウイルスが潜んでいるイボと皮膚や粘膜が接触して感染するのです。

症状の出現の仕方やイボの大きさ・イボの増えるスピードなどには個人差があり、感染した初期の段階では自覚症状がほぼありません

潜伏期間は平均3週間~8ヵ月で、正確な感染時期や感染経路を特定するのが難しくなるという特徴があります。

そのため、自分が感染していることを知らずに、さらに感染を広めてしまう可能性があるのです。

尖圭コンジローマを肛門で発症した際の症状

お尻の悩みがある男性

尖圭コンジローマは、肛門に発症する場合があります。その際にみられる症状には、以下のものが挙げられます。

  • 肛門に大きなできものができる
  • 肛門部に灼熱感や不快感を覚える
  • 痛みや痒みを感じる
  • 自覚症状のない場合もある

各症状について詳しくみていきましょう。

肛門に大きなできものができる

肛門に大きなできものができている場合、尖圭コンジローマである可能性があります。

感染した初期には、イボができていても小さいため気付かないことがほとんどです。しかし、感染から時間が経過するとイボが自覚できる程の大きさに広がってしまうことがあります。

デリケートな場所であるため、恥ずかしいという思いから放置してしまった結果、イボが大きくなってしまうケースも考えられます。

イボに気付いた時点で、医療機関への受診をおすすめします。

肛門部に灼熱感や不快感を覚える

尖圭コンジローマのイボが大きくなってくると、灼熱感や不快感を覚えるようになります。

ウイルスに感染しているため、炎症を起こし始めることで熱いと感じるようになります。

また、イボが大きくなると肛門に不快感を覚えるようになるでしょう。

違和感がある場合は、尖圭コンジローマによる症状が出ている可能性があります。

痛みや痒みを感じる

お尻の悩みがある

感染初期には自覚症状はほぼありませんが、イボのできる場所や大きさにより痛みや痒みを感じる場合もあります。

痛みや痒みを感じた場合、イボができていないか確認してみましょう。イボがある場合、尖圭コンジローマの可能性が考えられます。

症状が進行している場合もあるため、悪化する前に医療機関を受診するようにしましょう。

自覚症状のない場合もある

尖圭コンジローマは、自覚症状がない場合もあります。

イボができる場所や大きさによっては、違和感・痛み・痒みなどを自覚しないこともあるのです。

イボが大きくなるスピードや増えるスピードには個人差があるため、自覚症状を認めないまま患部が広がっていくことも考えられます。

また、感染している自覚がないため、さらに感染を広めてしまう可能性があるので注意が必要です。

尖圭コンジローマを肛門で発症した際の治療法は

ポイントを示す男性医師

肛門に尖圭コンジローマが発症した場合、どのような治療法があるのでしょうか。

主な治療法は以下の5つです。

  • 患部の切除
  • 凍結療法
  • 電気焼灼
  • レーザー蒸散法
  • 軟膏を用いた薬物療法

ここでは上記の治療法について詳しく解説します。

患部の切除

肛門にできたイボが大きかったり数が多かったりする場合は、外科手術で切除する方法が選択されます。

イボの周囲に局所麻酔を行い、電気メスや専用の器具で切除する方法です。

凍結療法

イボが小さかったり数が少なかったりする場合は、凍結療法を行う場合があります。

液体窒素を使用しイボを凍結壊死させ、切除する治療方法です。

綿棒に液体窒素を含ませ、それをイボに数秒間当てるのを何回か繰り返し、イボを除去します。

麻酔をする程の痛みなく、日帰りで行える処置です。しかし、1~2週間おきに繰り返し処置を行う必要があります。

電気焼灼

電気焼灼とは、高周波電流が流れるメスでイボを焼く治療法です。痛みをともなうため、麻酔をして行います。

イボの表面のみの焼灼では再発してしまう可能性が高いため、広範囲で組織の深部まで焼き切ります。

そのため、病変が大きく広範囲にわたる場合には適切な治療法です。

痛みをともなうため、局所麻酔ではなく腰椎麻酔で行う場合があります。また、術後に疼痛が強くなる可能性があるのがデメリットです。

レーザー蒸散法

レーザー蒸散法とは、レーザー光線でイボを取り除く治療法です。CO2レーザーが主に用いられます。

治療時には疼痛をともなうため、局所麻酔をして行います。

患部の切除したい部分にピンポイントでレーザーを当てることができるため、イボの数が少ない場合や小さい場合には効果を発揮できるでしょう。

また、切除する周辺の組織の損傷が少なく、治療の成果がすぐに出るという特徴があります。

軟膏を用いた薬物療法

薬を塗る

尖圭コンジローマの治療には、軟膏を用いた薬物療法が行われます。

以前までは5-フルオロウラシリ軟膏やブレオマイシン軟膏などが利用されていました。

近年では、保険適用となったべセルナクリーム5%(イミキモドクリーム)が外用薬として用いられています。

尖圭コンジローマの原因となるHPVなどのウイルスの増殖を抑える働きがあり、免疫能を高めウイルスに感染した細胞を障害することでイボを治していくのです。

イミキモドクリームは皮膚刺激性があり副作用が多く報告されています。使用する際には、使用方法をよく確認し正しく利用することが大切です。

イミキモドクリームの使用方法は以下のとおりです。

  • 尖圭コンジローマができている患部に1日1回、1週間に3回就寝前に塗布
  • 塗布してから6~10時間後の起床時に塗布した薬剤を石鹸を使用し洗い流す

副作用は、塗布部位に紅斑・びらん・表皮剥離・浮腫・疼痛などがあります。

正しく使用することで効果を発揮できる薬物療法として、尖圭コンジローマの治療に用いられています。

肛門尖圭コンジローマの予防法

教える看護師

尖圭コンジローマは、視覚や触覚で見つけることができる性感染症です。

そのため、パートナーに知られてしまうという心理的不安や、再発を繰り返すことによりストレスを感じる病気でもあります。

尖圭コンジローマに感染しないためには、適切な予防法を知っておくことが大切です。

ここでは、肛門尖圭コンジローマの予防法について解説します。

どのような経路で感染する可能性があるのかを理解することで、感染リスクを回避できます。

HPVワクチンの接種

注射

尖圭コンジローマの予防には、HPVワクチンの接種が効果的です。HPVワクチンとは子宮頸がんワクチンのことです。

尖圭コンジローマや陰茎などのがんはHPVウイルスの感染により発症します。そのためHPVワクチンを接種することで尖圭コンジローマに感染するリスクを抑えられるのです。

すでに尖圭コンジローマを発症してしまった場合には、このワクチンは効果がないので注意が必要です。

女性が接種するものと認識している方も多いHPVワクチンですが、男性でも接種可能となっています。

ただし、現在は男性に対するHPVワクチンの公費助成がないため、全額自己負担となっているのが現状です。

しかし、大切なパートナーや自分自身の体を性感染症から守るためには、ワクチン接種の検討をおすすめします。

肛門などの清潔を保つ

感染を防ぐためには、肛門や陰部の清潔を保つことが大切です。不潔な状態はウイルスの侵入を容易にするため、発症する可能性を高めることにつながります。

また、肛門や陰部に慢性的な刺激を受けていたり、糖尿病や免疫機能が低下する疾患にかかっていたりすると尖圭コンジローマのウイルスに感染しやすくなります。

そのため、肛門や陰部の粘膜を清潔に保ち、ウイルス感染に対する免疫を持つことで感染リスクを抑えることができるのです。

再感染を予防するために

尖圭コンジローマは、再発する可能性が高い感染症です。視診で治癒していると診断されてから、3ヵ月以内に約25%の方が再発するといわれています。

再発を避けるためには、症状別に行われる外科的治療や薬物療法をしっかり受けましょう。

治癒が終了してからも、3ヵ月おきに定期的に診察や検査を受け、早期発見・早期治療につなげることが大切です。

また、再感染を予防するためには感染経路を避けるよう意識しましょう。

例えば、感染しやすい場所として大衆浴場やサウナがあげられます。不特定多数の人が利用するため、感染源が存在していると考えられます。

ウイルスが風呂いすや浴槽の縁・床などに付着していた場合、そこに性器が接触すると感染する可能性が高くなります。

それから、尖圭コンジローマに感染している方が使ったタオルや寝具などには、ウイルスが付着している可能性があります。

他人が使用したタオルの使用は避け、寝具の汚れがないことを確認してから使用するようにしましょう。

大切な感染予防は、感染している方との性行為を避けることです。

しかし、相手が尖圭コンジローマに感染しているかどうかの判断は困難です。また、自覚症状がないことから、感染している本人も気付いていないことがあります。

そのため、尖圭コンジローマの感染リスクを回避するためには不特定多数の方との性交渉をしないことが大切です。

肛門尖圭コンジローマは感染する?

はてなを持つ医師

肛門尖圭コンジローマは、ウイルスが存在している皮膚に接触したり、患部が接触した場所に接触したりすることで感染する疾患です。

まれに、乳児や性交経験のない成人や高齢者が感染するケースもみられます。その場合は、親や介護者の手指・衣服などを介して感染した可能性が考えられます。

そのため、感染を防ぐためには手指衛生を保つことや衣服を清潔に保つことなどが大切です。

尖圭コンジローマは、感染初期の段階では自覚症状がないため、知らないうちに他者に感染させてしまっている可能性があります。

陰部や肛門の痒み・腫れ・痛み・できものなどを自覚した際には、尖圭コンジローマによる症状かもしれません。

自己判断で放置するのではなく、早めに医療機関を受診し検査を受けるようにしましょう。

そして、適切な治療を受け感染を広げないように行動することが大切です。

肛門尖圭コンジローマは母子感染のリスクもある?

妊婦

肛門尖圭コンジローマは、母子感染する可能性があります。

尖圭コンジローマを発症している母親が妊娠し出産した赤ちゃんは、HPV6型もしくは11型の母子感染症である若年性再発性呼吸器乳頭腫症を発症するという報告があります。

良性の乳頭腫が気道粘膜にびまん性に発症するものです。気道粘膜にできるため、嗄声が初期症状として認められることがあります。

また、乳頭腫の大きさやできる場所によっては、気道狭窄を引き起こすケースもあるため注意が必要です。

何度切除しても再発し、完治が難しい疾患とされています。

尖圭コンジローマの母子感染を防ぐためには、妊娠前もしくは妊娠中の早い段階で治療を行うことが大切です。

まとめ

説明する医師

尖圭コンジローマは、HPV(ヒトパピローマウイルス)6型と11型に感染することで発症するウイルス性の性感染症です。

陰部だけではなくその周辺の組織や肛門にも発症します。感染初期には自覚症状がない場合が多く、感染していることに気付きにくい疾患です。

そのため、自分が感染していることを知らずに感染を広げてしまう可能性があります。

自然に治ることはほとんどなく、医療機関での治療が必要です。

治療方法には、切除する外科的治療と軟膏による治療があります。イボの大きさやできている場所・範囲などの症状により、適切な治療方法が選択されます。

自己判断では尖圭コンジローマなのか、ほかの疾患なのかを見極めるのは難しい場合が多いでしょう。

デリケートな部分に発症するため恥ずかしいと感じ、医療機関を受診するのをためらうかもしれません。

しかし、放置しておくと症状が悪化したり、悪性化したりする可能性が高まります。

違和感や痒み・痛みなどの症状を自覚した場合は、早めに医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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