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切れ痔がずっと痛い時はどうすれば?症状の詳細と対策をご紹介!

切れ痔がずっと痛い時はどうすれば?症状の詳細と対策をご紹介!

「排便時に肛門に痛みが走る」「トイレットペーパーに血が付くことがある」といった症状は、切れ痔の可能性があります。切れ痔になってしまうと、排便を我慢してしまうことから便秘が悪化し、硬い便によってさらに切れ痔が悪化するといった悪循環に陥ることもあります。

この記事では、切れ痔によって痛みが生じている場合の対策や医療機関での治療方法を詳しく解説します。早期のケアが改善への近道ですので、切れ痔についてよく知り、適切なケアにつなげていただければと思います。

切れ痔とは

切れ痔とは 切れ痔は、裂肛とも呼ばれ、その名の通り肛門の皮膚が裂けている状態を指します。いぼ痔(痔核)、痔ろう(あな痔)と並ぶ、痔疾患の一つですが、おしりというデリケートな場所にできることもあり、医療機関の受診をためらってしまう方も少なくありません。

しかし、切れ痔は慢性化しやすいため、症状の原因や対処法をよく理解し、正しく改善につなげることが大切です。まずは、切れ痔の原因や症状について見ていきましょう。

切れ痔の原因

切れ痔の代表的な原因は便秘です。便秘により、便が硬くなったり太くなったりすると、肛門を通る際に皮膚に負担がかかり、切れてしまうのです。そのため、便秘がちな女性の方に多い症状といわれています。また、下痢による摩擦も原因となります。

そのほか、肛門括約筋という肛門まわりの筋肉の緊張や、肛門の狭窄、炎症性腸疾患による肛門の炎症も切れ痔につながるとされています。

切れ痔の主な症状

切れ痔になると、皮膚が裂けている状態のため痛みが生じます。軽度の場合には、排便をする際に痛む程度ですが、重症化すると排便時でなくても痛みが生じ、排便時の痛みはさらに強いものとなります。切れ痔の痛みは、いぼ痔の痛みよりも強いといわれており、これは知覚神経が刺激されやすいことが原因です。

痛み以外の症状としては、出血が挙げられます。排便時にトイレットペーパーに血液が付着する程度であることが多く、多量の出血があることはほとんどありません。また、切れ痔が慢性化すると、肛門にポリープや潰瘍ができたり、肛門が狭窄して便が細くなったりします。

切れ痔の種類

切れ痔の種類 切れ痔は、症状の度合いに応じて「急性裂肛」「慢性裂肛」「肛門狭窄」の大きく3つに分けられます。それぞれで異なる症状や治療方法について解説します。

急性裂肛

急性裂肛は、肛門の皮膚が裂けてからの日が浅く、傷も深くなっていない状態です。初期の切れ痔と言い表すこともでき、出血や痛みもそれほどひどいものではありません。

この場合は、皮膚のみに傷ができていることがほとんどなので、食事のバランスを見直したり、適度に運動したりと生活習慣を整えて便秘を解消すれば、症状の改善が見込めます。医療機関で治療を受ける場合は、保存的治療で症状の改善が可能であり、軟膏や座薬、整腸剤などが処方されます。また、再発を予防するためにも便秘の改善が大切です。

慢性裂肛

慢性裂肛は、裂肛が慢性化し、常に同じ場所に傷ができている状態を指します。症状を繰り返すことで傷が深く潰瘍となり、周辺には肛門ポリープや見張りいぼと呼ばれるできものができます。化膿し、痔ろうができてしまうこともあります。このように、傷が深くなったり痔ろうができてしまったりすると、セルフケアや薬では改善が見込めず、手術が必要になります。

肛門狭窄

肛門狭窄とは、肛門の皮膚にできた傷が慢性化して深くなり、肛門括約筋にまでおよんでしまった状態を指します。肛門括約筋は肛門のまわりにある筋肉のことであり、ここにまで傷ができてしまうと肛門が伸び縮みしにくい「肛門狭窄」と呼ばれる状態になります。

排便をしようとしても肛門が開かなくなるため、便が細くなったり、便秘が悪化したりし、それが切れ痔をさらに悪化させてしまうという悪循環につながります。肛門狭窄に関しても薬やセルフケアでは治療が困難なため、改善のためには手術が必要です。

ずっと痛い切れ痔を放置するリスク

ずっと痛い切れ痔を放置するリスク 切れ痔は、放置すると慢性化し、さまざまな合併症を引き起こすリスクがあります。症状が長引いている場合、単なる切れ痔ではなく別の病気である可能性も考慮する必要があります。切れ痔が長期間続いたり、症状が悪化したりすると、手術が必要になることもあります。 ここでは、切れ痔を放置することによって生じうる肛門ポリープ、肛門皮垂、潰瘍などのリスクについて詳しく見ていきます。切れ痔の症状に気づいた場合は、適切な治療とケアが重要です。

肛門ポリープ

切れ痔を放置するリスクの一つに、肛門ポリープができてしまうことが挙げられます。肛門ポリープは、肛門の皮膚と粘膜の境目あたりにできるポリープのことです。切れ痔を繰り返し、皮膚が頻繁に刺激を受けている状態だと、ポリープができやすくなると考えられています。また、肛門の中にできたポリープは、排便のたびに外に脱出するようになります。これを繰り返すと、ポリープが裂けて痛みや出血を伴う恐れがあるため、早めに治療をすることが大切です。

肛門皮垂

肛門周辺の皮膚がたるみ、肛門皮垂と呼ばれる状態になるリスクもあります。「皮膚がたるむだけならそんなに問題なさそう」と考える方もいるかもしれません。確かに、肛門の皮膚のたるみは出産時にできることもあり、直接大きな病気などにつながるわけではないため、放置しても大きな問題はありません。

しかし、長期的に見ると肛門の変形や便失禁のリスクにつながることがあります。また、皮膚がたるむことにより肛門を清潔に保つことが難しくなる場合もあり、そうなると皮膚のただれや炎症、かゆみ、肛門周囲膿瘍を起こすこともあります。肛門皮垂になってしまった場合は、それまで以上に肛門を清潔に保つ必要があると考えておきましょう。

潰瘍

慢性裂肛の項目でも解説したように、切れ痔を繰り返し傷が深くなると「潰瘍」と呼ばれる状態になります。潰瘍とは、上皮が損傷し、その下の組織にまで損傷がおよんでしまった状態を指します。これが、肛門にできたものが「肛門潰瘍」です。前述したように、肛門潰瘍は手術が必要になることがあるため、一度切れ痔になってしまった場合は繰り返し症状を再発させないよう、適切なケアに取り組む必要があります。

切れ痔がずっと痛い時の緩和方法

切れ痔がずっと痛い時の緩和方法 ここからは、切れ痔ができてしまったあとの対処法や治療法について解説します。まずは、痛みを緩和するための方法です。薬による鎮痛とセルフケアの二つが、主な緩和方法となっています。

薬による鎮痛

切れ痔になると、皮膚が裂けている状態のため痛みが生じます。軽度の場合には、排便をする際に痛む程度ですが、重症化すると排便時でなくても痛みが生じ、排便時の痛みはさらに強いものとなります。切れ痔の痛みは、いぼ痔の痛みよりも強いといわれており、これは知覚神経が刺激されやすいことが原因です。

痛み以外の症状としては、出血が挙げられます。排便時にトイレットペーパーに血液が付着する程度であることが多く、多量の出血があることはほとんどありません。また、切れ痔が慢性化すると、肛門にポリープや潰瘍ができたり、肛門が狭窄して便が細くなったりします。

セルフケアでの緩和

また、切れ痔や切れ痔による痛みを悪化させてしまう便秘や下痢を避けるためには、薬だけでなくセルフケアも大切です。例えば、水分は1日に1リットルから1.5リットルを目安に摂取しましょう。利尿作用のあるカフェインを含むお茶やコーヒーではなく、水をとることがポイントです。

また、整腸作用を持つ食物繊維もバランスよくとるようにしましょう。食物繊維は、玄米や豆類、サツマイモなどのイモ類、きのこや海藻などに多く含まれています。特に、ゴボウや大豆には不水溶性食物繊維が含まれているためおすすめです。

切れ痔の外科手術による治療

切れ痔の外科手術による治療 次に、切れ痔を外科手術によって治療する場合の方法についてお伝えします。切れ痔の外科手術は、主に肛門外科が専門分野としている治療であり、日本大腸肛門病学会認定の大腸肛門病専門医や日本外科学会認定の外科専門医などが在籍している医療機関を選ぶと、手術における不安の軽減につながるかと思います。

用手肛門拡張術

肛門括約筋が緊張して痛みを起こしている場合に行われるのが、用手肛門拡張術です。用手とは「手を用いて」という意味であり、その名が示す通り、用手肛門拡張術では医師が医療用ゼリーを手に付け、肛門を広げることで肛門の緊張を緩和します。局所麻酔下で行われるため痛みを感じることはなく、基本的に日帰りでの処置が可能です。

肛門狭窄形成手術

肛門狭窄形成手術は、肛門狭窄に対する手術の一つです。指を入れることができないほど狭くなっている症例に対して行うことが多く、ひきつれがある裂肛部分を切除し肛門を広げたうえで、傷の部分に上皮を移動させる方法です。

側方内括約筋切開術(LSIS)

側方内括約筋切開術は、肛門括約筋の一部を切開することで、筋肉の緊張を和らげる方法です。いぼやポリープ、潰瘍などがない場合に適応となり、いぼやポリープを切除する、裂肛切除術や肛門ポリープ切除と同時に行われることもあります。即効性のある治療法として知られていますが、再発リスクが高いというデメリットがあります。

裂肛切除術と肛門ポリープ切除

裂肛切除術は、同じ箇所を繰り返し裂肛している場合に行う治療法です。基本的には日帰り手術が可能ですが、状況によっては入院をして行う場合もあります。また、切れ痔による刺激などで肛門にポリープができている場合には、肛門ポリープ切除を同時に行うのが一般的です。

皮膚弁移動術

皮膚弁移動術は入院が必要な手術であり、肛門狭窄が重症化している場合に行われます。周辺にできたポリープや潰瘍を切除するとともに、裂肛箇所を切開して拡張します。その後、外側の皮膚と縫合し、新たに切開をして弁を作ることで肛門を形成する方法です。

切れ痔が完治するまでの期間

切れ痔が完治するまでの期間 切れ痔になり「すぐ治るだろう」と考えていたにもかかわらず、症状を繰り返してしまったり慢性化してしまったりすることは、そうめずらしいことではありません。ここでは、どのような症状の場合に、どれくらいの治療期間を要するのかを解説していきます。当然ではありますが、症状が軽いほど治療期間も短くなるため、早期発見・早期治療が治療期間を短くすることにつながります。

軽度の場合

傷が浅く、できて間もない場合、適切なケアや治療をしていれば、1〜2週間ほどで改善が見込めます。しかし、これはあくまでも適切なケアや治療をしていた場合です。便秘が改善されず、切れ痔になっている状態で何度も硬い便で患部を傷つけてしまったり、強くいきんで治りかけの傷が再度裂けてしまったりすれば、慢性化する恐れがあります。

切れ痔を改善するためには、便秘を改善することが何よりも大切になりますので、排便状態が良くない場合には早めに医療機関を受診し、整腸剤や下剤を処方してもらいましょう。

慢性化している場合

慢性化している場合の治療期間は、一般的に2週間から1カ月ほどです。しかし、傷の深さや大きさなどによって一概にはいえませんので、自身の症状はどの程度で治療にはどのくらいの期間がかかりそうかをしっかりと医師に確認することが大切です。

慢性化している場合には、自力で改善に導くことは難しく、潰瘍やポリープができるなどさらに重症化する恐れもあるため、医療機関を受診しましょう。

潰瘍やポリープが生じている場合

潰瘍やポリープが生じている場合は、慢性化している場合以上に治療期間が長くなります。また、症状によっては手術が必要になることもあり、入院して手術を行う場合は1週間程度の入院期間が目安となります。その後は経過を観察していく必要があるため、数カ月間は治療にかかると考えておきましょう。

まとめ

まとめ この記事では、切れ痔により痛みが生じている場合の原因や症状の種類、セルフケア方法や外科手術などについて解説しました。ご覧になっていただくとわかる通り、切れ痔は初期の段階で症状を改善し再発防止に取り組めば、大掛かりな治療の必要もなく、身体に負担をかけることもほとんどありません。

しかし、慢性化したり肛門狭窄や潰瘍が発生したりしてしまうと、入院して手術を行う必要が出てくることもあり、金銭面やスケジュール面、身体面での負担が伴います。そういったことを避けられるよう、気づいた段階でセルフケアと治療に取り組むことが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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