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下肢静脈瘤

下肢静脈瘤と足の甲の関係は?下肢静脈瘤の原因や治療法とともに解説

下肢静脈瘤と足の甲の関係は?下肢静脈瘤の原因や治療法とともに解説

下肢静脈瘤はふくらはぎの血管が膨らんでしまう病気です。軽度であれば大きな心配はありませんが、症状が進めば皮膚炎や潰瘍を引き起こしてしまうこともあります。下肢静脈瘤への予防策として有効とされているもののひとつが、足の甲へのアプローチです。一見関係ないように見える下肢静脈瘤と足の甲にはどのような関係があるのでしょうか。下肢静脈瘤の原因や治療法とともに、下肢静脈瘤を防ぐ方法についてもご紹介します。

下肢静脈瘤について

下肢静脈瘤について 下肢静脈瘤とは、下肢つまり足にある血管が文字どおりこぶ(瘤)のように膨らんだ状態のことをいいます。良性の病気ではありますが、血管が目立つのが気になったり、足にだるさなどを感じたりすることがあります。

下肢静脈瘤とはどのような症状ですか?
下肢静脈瘤の症状はほとんどがふくらはぎに起こります。足に血液が溜まってしまうことによって起こるので、午後から夕方頃に症状が強くなるのが特徴です。 下肢静脈瘤の主な症状は、足の血管が浮き出て見える、ふくらはぎがだるい・重苦感、むくみ、こむら返り(つり)、ほてる・熱く感じる、むずむず感・不快感、かゆみ・湿疹、色素沈着、潰瘍などが挙げられます。なお、これらは1日中起こるのではなく、長時間立っていた後や、昼から夕方にかけて起こります。また、左右で症状に差が出ることもあります。 下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していく傾向にあります。日本人の約9%が発症し、患者数は1000万人以上、出産経験のある成人女性の2人に1人が発症するとも言われています。
下肢静脈瘤の原因はどのようなものがあるか教えてください
静脈は血液を心臓に返す役割をしています。足にある静脈は、重力に逆らって血液を上に流さなければなりません。そのため、静脈の中には逆流防止弁があり、血液が下に流れるのを防いでいます。この逆流防止弁に負担がかかって正常に働かなくなってしまうと、血液を上に流すことができずに足に溜まってしまい、下肢静脈瘤の原因となります。 なお、静脈弁が壊れてしまう原因は、主に運動不足、過度な運動、生活習慣、妊娠、遺伝などが挙げられます。また、肥満や便秘なども下肢静脈瘤を悪化させる要因になると考えられています。
下肢静脈瘤の症状が現れやすい人の特徴を教えてください
下肢静脈瘤の症状が現れやすいのは、元々静脈の弁が脆いなど遺伝によってなりやすい方、妊娠・出産経験のある女性、立ち仕事・座り仕事など長時間同じ姿勢を継続することが多い方、激しいスポーツをする方、肥満の方、高齢者などが挙げられます。

下肢静脈瘤の治療方法

下肢静脈瘤は患者の状態や症状の程度によって治療法が異なります。検査の流れと代表的な治療法についてご紹介します。

下肢静脈瘤の検査方法について教えてください
下肢静脈瘤の検査は、超音波検査(下肢静脈エコー検査)によって行われます。 超音波検査によって、どこの静脈にどの程度の逆流があるかを調べ、治療の必要性やその方法を判断することができます。
検査は通常立った状態で行い、下肢にゼリーを塗って超音波発信器(プローブ)を軽く当てるだけ。検査において痛みはありません。また、ふくらはぎを揉んで、逆流の有無を確認します。 検査時間は患者の状態などによって異なりますが、片足10分程度です。 なお、下肢静脈瘤の検査は超音波検査が主流ですが、レントゲン検査、CT検査などの検査方法もあります。
下肢静脈瘤の治療にはどのようなものがありますか
下肢静脈瘤にはその程度や状態によって様々な治療方法があります。患者の状態や症状の程度にもよりますが、主な治療法としては、圧迫療法、硬化療法、レーザー治療、グルー治療、ストリッピング手術などがあります。
下肢静脈瘤の治療の流れについて教えてください
下肢静脈瘤が疑われる場合は、まず検査を行います。下肢静脈瘤の検査は、超音波検査(下肢静脈エコー検査)によって行われます。 超音波検査によって、どこの静脈にどの程度の逆流があるかを調べ、治療の必要性やその方法を判断することができます。検査は通常立った状態で行い、下肢にゼリーを塗って超音波発信器(プローブ)を軽く当てるだけ。検査において痛みはありません。また、ふくらはぎを揉んで、逆流の有無を確認します。 検査時間は患者の状態などによって異なりますが、片足10分程度です。 検査によって状態が判明したら、患者に合った治療法を選択し、治療が行われます。各治療方法については以下の通りです。

・圧迫療法
手術や薬以外で、症状の進行を予防する保存的治療法のひとつであり、弾性ストッキングを履くことで、症状の改善を目指します。

・硬化療法
硬化療法とは、下肢の静脈瘤に薬を注射して固める治療です。主に網目状・クモの巣状静脈瘤のような、軽度な下肢静脈瘤の場合に用いられます。静脈瘤の症状がある部分に硬化剤を注射して静脈瘤そのものを壊します。

・レーザー治療
レーザー治療は血管内レーザー焼灼術とも呼ばれ、下肢静脈瘤の手術として多く用いられている主流の治療方法です。細いレーザーファイバーを静脈の中に入れて、レーザーで静脈を閉塞させてアプローチします。

・グルー治療
グルー治療は血管内塞栓術ともいい、逆流を起こしている静脈内に医療用の瞬間接着剤を注入して固め、血液の逆流を止める治療法です。

・ストリッピング手術
ストリッピング手術とは伏在静脈抜去切除術とも呼ばれ、弁が働かなくなった静脈を抜いてしまう方法です。血管が蛇行している場合や、血管が太過ぎてレーザー治療では治療が困難な場合などに用いられる手法です。

下肢静脈瘤と足の甲の関係

下肢静脈瘤はふくらはぎに起きる症状なので、足の甲とは関係ないように思えます。しかし足の甲にはアーチ状血管があり、足の血液の流れを左右する重要なポイントになっています。下肢静脈瘤と足の甲の関係とはどのようなものなのでしょうか。

下肢静脈瘤の足の甲にテーピングを巻くことで予防できますか
足の甲に伸縮力の強い弾性包帯でテーピングをすれば、アーチ状血管を圧迫して、抜け道血管を流れる血液を減らすことができます。足の甲にテーピングをすると、足のむくみ、だるさ、冷え、こむら返りのほか、下肢静脈瘤の軽度の症状である細い血管が透けて見えたり、血管がボコボコしていたりといった症状の予防・改善が期待できます。 ただし、すでに足にかゆみ、湿疹、色素沈着、潰瘍ができている場合や、痛みや変形にまで症状が進行している場合には、テーピングではなく医療機関を受診しましょう。
足の甲のテーピングはどのような要因で効果がありますか
足の静脈には大伏在静脈と小伏在静脈という2本の静脈があり、これらは足の甲でアーチ状に繋がっています。足の甲のアーチ状静脈には、動脈と静脈をつなぐバイパスのようなものがあり、これを抜け道血管(動静脈瘻)といいます。抜け道血管は普段は閉じていますが、気圧や静脈の流れが悪くなったときなどに、静脈の中に動脈の血液が大量に流れ込むことがあります。こうした抜け道血管の暴走は、冷えやむくみの原因になるばかりでなく、下肢静脈瘤の原因にもなってしまいます。足の甲にテーピングを行うと、この抜け道血管の暴走を防ぐことが期待できます。

下肢静脈瘤の注意点

下肢静脈瘤の注意点

下肢静脈瘤を治療しない場合どのようなことが起こりますか
下肢静脈瘤は命にかかわる病気ではありません。しかし放置しておいて自然に改善することはなく、時間の経過とともに徐々に悪化していきます。60歳前後をピークにその後はあまり悪化しなくなると言われていますので、特に気になる症状がない限り高齢の方はあまり心配ありませんが、若い年齢の方は早めに医療機関を受診することをおすすめします。放置して重症化してしまうと、湿疹や脂肪皮膚硬化症などのうっ滞性皮膚炎を合併し、さらに悪化すると潰瘍になってしまいます。重症となると歩行困難になる場合もありますので、できるだけ早めに対処することが大切です。
下肢静脈瘤にならないための予防法を教えてください
血液の逆流を防ぐためには、適度な運動が有効です。できるだけ足を動かすことを意識しましょう。足を動かすことでふくらはぎの筋肉がポンプの役目となり、足の先から心臓へ血液を押し上げ、血液が足に滞留することを防ぎ、結果的に下肢静脈瘤を防止することにも繋がります。毎日軽い運動や散歩を30分程度するのがおすすめです。時間が取れない場合は、普段の日常生活の中で足を積極的に動かすように心がけましょう。また、長時間立ったままの姿勢でいることは下肢静脈瘤のリスクを上げてしまいます。長時間の連続した立ち仕事は避けた方が無難ですが、職業柄立ち仕事となる方も多いでしょう。立ち仕事中をする場合は、足の静脈の流れを良くするために立ちっぱなしではなく、足踏みをしたり、歩き回ったりして筋肉を動かすようにしましょう。休息の際には、できれば足を心臓より高くして5~10分程度休息すると効果的です。

足をマッサージすることでも症状の悪化を防ぐことが期待できます。寝る前や入浴時・入浴後はマッサージのベストタイミング。座った状態でふくらはぎを手のひらで下から上にさするように、足の血液を心臓へ送るようにして手のひらで押し上げてください。2~3分のマッサージを1日に数回行うことで、下肢静脈瘤の予防・改善に繋がります。

また、肥満は下肢静脈瘤を引き起こす要因のひとつです。適度な運動や規則正しい生活、バランスのとれた食生活など、生活習慣を整えることで下肢静脈瘤の防止に繋がります。

また、寝るときにはクッションなどを使用して足を高くするのもポイントです。枕や座布団を膝の下に入れるようにして、足が少し曲がる状態で眠ります。 足の位置を心臓より高くして寝ることで、足から心臓へと血液が流れやすくなります。

編集部まとめ

下肢静脈瘤は良性の病気ではありますが、放置して悪化すると、皮膚炎や潰瘍ができてしまうこともあります。症状が出る前や軽度の段階でしっかりと予防することが大切です。予防法としては、適度な運動や生活習慣の改善が効果的。そのほかにも、足の甲にテーピングをすることも予防法として有効だと考えられています。日頃から血流を良くすることを心がけ、下肢静脈瘤を未然に防ぎましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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