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大腸内視鏡検査の流れ | 大腸がんを発見する受け方のポイントを解説

大腸内視鏡検査の流れ | 大腸がんを発見する受け方のポイントを解説

大腸内視鏡検査に対してどのようなイメージをもっているでしょうか。

もしかすると「痛そう」「出血が心配」「できればしたくない」などと不安に感じる方もおられるかもしれません。

今回の記事では、大腸内視鏡検査を受けた方がよい理由・検査の流れ・検査の種類についてを解説します。

今後、大腸内視鏡検査を受けることになってもきっと安心できると思いますのでぜひ参考になさってください。

大腸内視鏡検査を受ける理由

大腸内視鏡検査を受ける理由

大腸内視鏡検査を受ける理由は大腸の中で起こっている病気を早期に見つけるためです。また、病気が軽いうちに治療を始めるためでもあります。

例えば大腸がんは死亡率の高いがんのひとつですが、発症初期は自覚症状がほとんどありません。異常に気付く頃にはがんが進行していることが多く、対処が遅れれば治療は長く苦しいものになります。

大腸内視鏡検査を受けることで初期の大腸がんを見つけることができれば病気の進行を防ぐことができるでしょう。

大腸内視鏡検査を受ける目安としては以下の3つがあります。

  • 定期検診
  • 何らかの症状がある
  • ポリープ・大腸の病気の経過観察

いずれも病気を早い段階で発見して、速やかに治療を始めるのに役立つでしょう。

定期健診

定期健診のときに、40歳以上の方は便潜血検査を行うことが勧められています。

便潜血検査とは、専用の容器に便を採取して便中に血液が混じっていないかどうかを調べる検査です。

大腸の中で炎症が起きていると炎症部分からの出血が便に含まれることがあります。便潜血検査で陽性になった場合は大腸内視鏡検査を受けて詳しい原因を調べることが必要です。

何らかの症状がある

何らかの症状がある

原因のわからない下痢・便秘・腹痛などの症状がある場合に、大腸内視鏡検査を受けることで病気を特定することができます。

下痢・便秘・腹痛をともなう症状にはさまざまな病気があり、問診だけで病気を特定するのは非常に難しいことです。その時に内視鏡で患部を直接観察することで、より正確に診断を行うことができます。

例えば大腸内に炎症をともなう病気には大腸憩室炎・クローン病・潰瘍性大腸炎があり、炎症をともなわない病気には過敏性腸症候群があります。

内視鏡で炎症を起こしているかどうかを調べることで、何の病気かを判別することができるのです。

ポリープ・大腸の病気の経過観察

以前に大腸内にポリープやほかの病気が見つかった方は、経過を見るために大腸内視鏡検査を受けることが大切です。

ポリープの中には放置していても問題のないものと、現在は問題なくても将来がんに変わる恐れのあるものがあります。ポリープががんになる前、あるいはがんに変わったとしてもできるだけ早期に発見することが治療を行ううえで重要です。

経過観察で大腸内視鏡検査を受ける間隔はポリープの個数や大きさ、大腸がんの有無で変わります。1年毎に検査を受けることを推奨されるのは以下に当てはまる方です。

  • ポリープを10個以上切除した方
  • 20mm以上の大きさのポリープの内視鏡的治療をした方
  • 早期大腸がんの内視鏡的治療や外科的治療をした方

上記以外の方の多くは初回検査の3年後に再検査、あるいは便潜血検査での経過観察となります。気になる方はかかりつけ医にご相談ください。

大腸内視鏡検査の流れ

大腸内視鏡検査の流れ

大腸内視鏡検査は通常1日で終わる検査です。当日は以下の流れで検査が行われます。

  • 腸管洗浄
  • 内視鏡の挿入・検査
  • 検査結果の説明

検査の流れを知っておくことで検査に対する不安が和らぐでしょう。

腸管洗浄

腸管洗浄とは内視鏡で観察しやすいように大腸内を何もない空っぽの状態にすることです。

大腸内には食べかすや便があるため、そのままでは内視鏡で観察することはできません。

腸管洗浄剤と呼ばれる専用の下剤を服用することで大腸内をきれいにして、内視鏡で大腸内を見やすい状態にする必要があります。

病院によって腸管洗浄を自宅で行うところと病院内で行うところがあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

内視鏡の挿入・検査

内視鏡の操作は専門の医師が行い、肛門から大腸内視鏡を挿入したのちに小腸の終わりから盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸・肛門までを順に観察します。

もしポリープや大腸がんが見つかったときにはそのまま病変部を切除したり、組織を採取して詳しい検査をしたりすることも可能です。

検査をするときに腸の動きを抑えるための薬(鎮痙剤)を注射したり、検査に対する不安や緊張を和らげるための鎮静剤を使用したりすることがあります。

ただし、過去に薬で副作用やアレルギーがある方は注意が必要です。もし心配なことがあれば事前に医師に伝えておくとよいでしょう。

大腸のしわを伸ばして検査をしやすくするために空気や炭酸ガスを注入することもあります。このため検査後にお腹が張って苦しく感じるかもしれません。その際はおならをすることで楽になります。

検査にかかる時間は10〜30分程度です。

検査結果の説明

検査が終わったらしばらく安静にしたのちに検査結果の説明が行われます。組織を採取した場合は詳しい検査結果が出るのに時間がかかるため、後日改めて結果を聞きに行くこともあるでしょう。

当日中にわかることはポリープの有無・大腸がんの有無・クローン病や潰瘍性大腸炎のような炎症性疾患の有無の検査結果です。

検査から1週間ほど経つと採取した組織の検査結果がわかります。内容はポリープや病変部から採取した検体が悪性であるか良性であるか、また病気がどの程度進行しているかなどです。

検査結果によって今後の治療方針が明確になりますので、しっかり説明を聞いて疑問や不安を解消しましょう。

内視鏡検査で大腸がんを発見する受け方のポイント【事前準備】

内視鏡検査で大腸がんを発見する受け方のポイント【事前準備】

大腸内視鏡検査をスムーズに行うためには事前の準備が大切です。

事前準備を正しく行わないと大腸内を正確に観察することができなくなり、再検査をすることになります。

準備の内容は病院で説明されますので十分に確認しておきましょう。中には前日から必要なこともあるのでしっかり把握しておいてください。

検査前日の食事

検査前日の食事

検査前日の食事は消化・吸収のしやすいものにしてください。

検査当日は大腸内に何もない状態にしなくてはなりませんが、前日に消化の悪いものを食べていると翌日も大腸内に残ってしまい腸内をきれいにするのに時間がかかってしまうためです。

避けた方がよい食事は、ごぼうやいも類など食物繊維が多い野菜・キウイフルーツのような種が多い果実・わかめやひじきなどの海藻類・きのこ類全般が挙げられます。

前日に摂るのに望ましい食事は、おかゆ・食パン・素うどんなどの炭水化物類・脂肪分の少ない鶏肉や白身魚・豆腐・バナナなどです。

前日の食事は遅くても夜21時までに済ませてください。また飲酒も控えましょう。

検査当日に下剤を服用

検査当日に下剤を服用

大腸内視鏡検査では細い管の先端につけたカメラで大腸内を直接観察します。そのため大腸内を何もないきれいな状態にしておくことが不可欠です。

大腸内をきれいにするために検査当日の朝から専用の腸管洗浄剤を飲むことになります。腸管洗浄剤とはいわゆる下剤のことです。腸管洗浄剤を服用することで体内の水分が大腸内に移行して排便が促されます。

腸管洗浄剤は2〜3時間ほどかけて服用することが多いです。

悪心・嘔吐・腹痛といった副作用が起こることもありますので心配な方は医師にご相談ください。腸管洗浄剤の種類をその人に合ったものに変えることで負担を軽くすることができます。

透明感のある液体になるまで排便

腸管洗浄剤を飲み始めて1時間ほどすると便意を催し始めます。その後も飲み進めていくと約2〜3時間後、排便を繰り返したのちに便が透明感のある黄色の液体状になってくるでしょう。その状態になると検査が可能です。

便意は次第に落ち着いてきます。落ち着くのを待って検査に向かいましょう。

内視鏡検査で大腸がんを発見する受け方のポイント【検査中】

内視鏡検査で大腸がんを発見する受け方のポイント【検査中】

検査中は医師からさまざまな指示を受けることになるでしょう。

これらの指示は検査を安全に行うため、また大腸がんなどの病気を見落とさないために必要なことです。

具体的な指示やその目的を解説しますので、参考にしてください。

リラックスして受ける

まず前提として、大腸視鏡検査を受けるときはリラックスすることが大切です。

特に肛門内に内視鏡を挿入するときは力が入りがちになってしまいますが、力が入ると抵抗が強くなってしまうためかえって内視鏡が入りにくくなります。

ゆっくりと深呼吸をして余計な力を抜くことを意識しましょう。リラックスするのが難しい場合は鎮静剤を使用して緊張や苦痛を取り除いてくれる病院もありますので、事前に医師に相談しておくのもよいでしょう。

挿入時は必要なタイミングで息を止める

内視鏡を挿入しているときに、大きく息を吸った状態で呼吸を止めるように医師から指示されることがあります。
その理由は内視鏡を大腸の先に進みやすくするためです。

大腸は上行結腸と横行結腸の間、また横行結腸と下行結腸の間でそれぞれ大きく折れ曲がった形をしています。

大きく息を吸って呼吸を止めることで、押し下げられた横隔膜が大腸を圧迫して内視鏡が通りやすい形に固定されるので大腸の先へ進みやすくなるのです。

これは内視鏡で大腸を傷つけないため、また内視鏡検査にかかる時間を短縮するために役立ちます。

観察中は必要なタイミングで体勢を変える

内視鏡の先端が大腸内を通過するタイミングによって体勢を変えることが必要です。

大腸は成人では約150〜200cmあり、曲がりくねった形をしています。また伸びたり縮んだりたわんだりと形が変わりやすいです。そのため内視鏡が大腸内に引っかかってしまう可能性があります。

もし、内視鏡が大腸にぶつかれば傷つけることになりかねません。それを避けるために内視鏡が通りやすいように体位転換することが必要なのです。

最初に肛門から内視鏡を挿入するときは左側を下にしたまま横になって膝を抱えた姿勢をとります。

次に内視鏡の先端がS状結腸から下行結腸へ移行するあたりで膝を立てて仰向けになった姿勢に転換することが一般的です。

さらに進んで横行結腸に進むくらいのタイミングで今度は右側を下にして横になる姿勢に転換します。

大腸の形には個人差があるのでこれら以外にも体位転換の指示をされるかもしれません。医師の指示に従って行ってください。

大腸内視鏡検査後の注意点

大腸内視鏡検査後の注意点

大腸内視鏡検査が終わった後にも注意することがあります。

検査の時に使用した薬の影響で眠気・体のだるさ・下痢・腹痛などの症状が出ることがありますので、車の運転や危険をともなう作業は控えてください。公共交通機関を利用するようにして、当日は安静に過ごすのがよいでしょう。

検査後は普段通りの食事でも差し支えありませんが、もしポリープを切除したり組織を採取したりした場合は処置を行った部分から出血しやすくなるおそれがあります。

そのため、お酒刺激の強い食べ物は控えてください。

同様に激しい運動熱いお風呂も避けた方がよいでしょう。

検査で大腸内を傷つけることは大変まれですが、もし出血や腹痛が続くようなら検査を受けた医療機関に相談してください。

大腸内視鏡検査の種類と違い

大腸内視鏡検査の種類と違い

大腸内視鏡検査は検査をする範囲によって以下の2つに分けられます。

  • 全大腸内視鏡検査
  • S状結腸内視鏡検査

それぞれのメリット・デメリットについて説明します。

実際にはどちらの検査方法が選ばれるかは診察した医師の判断によって決まりますので、医師と十分に話し合うことがおすすめです。

全大腸内視鏡検査

全大腸内視鏡検査は大腸全体を対象に行う検査です。

メリットとしては大腸全体を検査することができるので、病気を見落とす可能性が少なくなることがあります。

デメリットは検査前の準備が必要になることです。検査前日は食事制限が必要になり、当日は腸管洗浄剤や鎮静剤を使用するので薬に対する副作用を起こす可能性があります。

S状結腸内視鏡検査

S状結腸内視鏡検査は大腸全体ではなく直腸とS状結腸のみを内視鏡で観察する検査です。

直腸やS状結腸には大腸がんやポリープが発生しやすいので、がんを重点的に調べるのに効果的な検査といえるでしょう。

メリットとしては事前準備の負担が少ないことがあります。S状結腸内視鏡検査では前日からの食事制限も当日の腸管洗浄も不要です。グリセリンという下剤を浣腸して排便した後に検査を行うことができます。

デメリットは検査の範囲に上行結腸・横行結腸・下行結腸が含まれないため、大腸上部で起こっている炎症や大腸がんの検査や処置ができないことです。

まとめ

まとめ

大腸内視鏡検査は大腸内を内視鏡で直接観察して病気を早期に発見し、同時に病変部の組織を採取したり、治療を行ったりすることができる検査方法です。

検査をするためには前日の食事に気をつけることと、当日に専用の下剤を飲んで大腸内をきれいにすることが必要になります。しかし検査後はすぐに普段通りの生活を送ることができるので体への負担が少ない検査方法です。

大腸内で起きる病気は自覚症状が少なく気づきにくいので、腹部に異常を感じて心配な方は専門の病院に相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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