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下肢静脈瘤

下肢静脈瘤のレーザー手術とは?その他の治療法についてもまとめました

下肢静脈瘤のレーザー手術とは?その他の治療法についてもまとめました

下肢静脈瘤は、足の血流が不適切になることで静脈が拡張し、皮膚の下に太い青い線として見えるようになるものです。単に足の美観を損ねるだけでなく、足のだるさや痛みなどの不快な身体的症状を引き起こすこともあります。現代の医療では下肢静脈瘤の治療方法は多様化しており、中でも注目されているのがレーザー手術です。この記事では、レーザー手術の具体的な方法と効果、さらに他の治療法についても詳しく解説します。下肢静脈瘤に悩む方や、治療を検討している方にとって有益な情報をお届けします。

下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤とはどのような疾患ですか?
下肢静脈瘤とは、足の静脈が太くなり、皮膚表面に突出して見える状態を指します。静脈内の血液が心臓に戻る際に、ふくらはぎの筋肉によるポンプ作用や静脈弁の機能低下により、血液が下肢に停滞して静脈圧が高まることで発生します。静脈壁は比較的弱い構造をしているため、圧力の増加により伸びたり曲がったりして静脈瘤となるのです。特に、足の表面近くに位置する表在静脈は、周囲の組織の支持が比較的弱いため、下肢静脈瘤の形成が起こりやすいと言われています。立っている時に重力が血液の流れに影響を及ぼすため、下肢に症状が現れやすいのです。
下肢静脈瘤が発生する原因は何ですか?
下肢静脈瘤の発生は多岐にわたる原因が考えられますが、主に静脈内の血液循環が正常に行われないことが根本にあります。この状態は「静脈不全」と呼ばれ、血液が心臓に戻るのを助けるべき足の静脈の弁が適切に機能せず、重力の影響で血液が下肢に滞ることで起こります。特に、遺伝的要因や加齢により静脈の弁の機能が弱まるとリスクが高まります。 さらに、立ち仕事や座り仕事が多い生活習慣、運動不足、妊娠といった身体の変化も、下肢静脈瘤の発症に関連しています。これらの状態は静脈にかかる圧力を高め、血液の流れを妨げることになります。また、肥満も静脈に負担をかける要因となります。

女性ホルモンが関与することも指摘されており、男性と比較して女性に下肢静脈瘤が見られることが多いのもそのためです。服装が締め付けるものであったり、高温多湿の環境下で作業している場合も、静脈の健康を損ねることがあります。 これらの原因は相互に影響を及ぼし合い、個人差も大きいため、下肢静脈瘤が発生する具体的なメカニズムを一言で説明するのは難しいですが、これらの要素が組み合わさることで、下肢静脈瘤のリスクが高まると考えられています。

下肢静脈瘤によって身体にどのような影響がありますか?
下肢静脈瘤は単なる美容の問題に留まらず、日常生活における不便や不快感をもたらすことがあります。静脈内で血液がうまく循環せずに滞ることで、足の重さや疲れやすさ、腫れや痛みといった症状が現れることが一般的です。これらの症状は特に夜間や一日の終わりに強くなる傾向があります。加えて、皮膚に変色や硬化をもたらすこともあり、場合によっては炎症や皮膚潰瘍へと進行するリスクも考えられます。

さらに、血液の停滞は血栓を形成する原因にもなりえ、これが深部静脈血栓症などの重篤な疾患を引き起こす可能性も無視できません。 健康な生活を送る上で、これらの症状の影響は日々の活動に大きな障害となり得ます。足の見た目の変化は自信を損ねることもあり、心理的な負担となる場合も少なくありません。そのため、下肢静脈瘤は見た目の問題だけでなく全体的な生活の質(QOL)にも影響を及ぼす疾患なのです。

下肢静脈瘤のレーザー手術

下肢静脈瘤のレーザー手術とはどのようなものですか?
下肢静脈瘤のレーザー手術は、先進的な医療技術を用いた非侵襲的な治療法です。特定の波長を持つレーザー光を使用して、静脈内の異常な血管を閉塞させます。具体的には、超音波画像を参考にしながら、皮膚を切らずに細いレーザーファイバーを静脈内に挿入します。レーザーが静脈の内側を熱し、その熱が静脈壁に作用して血管を収縮させ、最終的には体内で自然に吸収されることで静脈瘤を治療します。 レーザー手術は局所麻酔のもとで行われることが多く、全身麻酔を必要とする開腹手術と比較して、患者さんの身体への負担が少ないことが特徴です。
下肢静脈瘤のレーザー手術のメリットとデメリットについて教えてください。
下肢静脈瘤のレーザー手術は、様々なメリットを有する治療法ですが、もちろんデメリットも存在します。 メリットとして大きいのは、レーザー手術は皮膚に切開を加えることなく行えるため、回復が迅速である点です。一般的な開腹手術と比較して傷口の痛みが少なく、感染リスクも低い治療法です。また、手術後はほとんどの患者さんがすぐに歩行でき、多くは翌日から日常生活に復帰可能です。

全身麻酔ではなく、局所麻酔のみで手術が可能である点もメリットと言えるでしょう。見た目にもすぐに改善が見られ、静脈瘤による皮膚の変色や膨らみが減少したことが目に見えて分かる点もレーザー手術を検討する大きな理由になります。 一方で、デメリットとしては一時的な副作用が挙げられます。手術後に軽度の痛みや腫れ、皮膚の変色が見られることがありますが、通常は短期間で改善します。また、治療の効果には個人差があり、すべての患者さんに同様の結果が得られるとは限りません。再発の可能性が残ることも見過ごせません。レーザー手術は静脈瘤を効果的に治療できますが、根本的な血液循環の問題を解決するわけではないため、ライフスタイルの変化や追加の治療なしでは再発する可能性があります。

下肢静脈瘤のレーザー手術の流れについて教えてください。
下肢静脈瘤のレーザー治療は以下のような手順に沿って進められます。 初めに、患者さんの脚の状態をエコー検査で確認し、静脈瘤の位置に印をつけて局所麻酔を施します。麻酔は主に局所的に行われますが、患者さんの状況や希望に応じて全身麻酔なども選べる場合があります。 次に、大腿部の治療する静脈に細い針を挿入し、その針をガイドにして柔軟なワイヤーを静脈内に進めます。その後、レーザーを導入するための小さな管を設置し、周囲の血管にも再度麻酔を行います。この段階で用いる麻酔は出血を最小限に抑え、長時間の鎮痛効果が持続するものです。

レーザー装置を血管内にセットし、レーザー光を照射して静脈瘤を焼灼し、塞ぐことで治療を行います。続いて、下腿部の静脈瘤を取り除くため、小さな切開を入れて特殊なフックを使用し、静脈瘤を引き抜いて除去します。 最後に、小さな切開部分は医療用テープやホッチキスで固定します。これにより、縫合や抜糸の必要がなく、治療後の管理が容易になります。手術終了後は、圧迫包帯やサポーターでしっかりと圧迫し、治療した脚を保護します。

下肢静脈瘤のレーザー手術は自費治療と保険適用のどちらで受けるべきですか?
下肢静脈瘤のレーザー治療を保険適用と自費治療のどちらで受けるかは、患者さんの状態やご希望により異なります。治療内容の差は、大まかに言うと使用可能なレーザーの種類の違いです。2011年からは980nm波長のレーザーが保険適用になり、その後も治療器具の進化に伴い、保険適用でも良い治療法が選択可能になってきています。たとえば、1470nm波長のレーザーや高周波治療器(ラジオ波)も保険適用され、治療の質と選択肢が広がりました。

保険適用のレーザー治療では、術後の痛みや皮下出血を軽減する工夫がなされていますが、治療に必要な時間や治療できる血管の太さには一定の制約があります。一方で、自費治療では2000nm波長のレーザーを使用することも可能で、これは水分に対する吸収率が高いため、より効果的な治療が期待できます。さらに、手術時間が短く術後の痛みも少ないというメリットがありますが、治療費は自己負担となります。 最終的には、初診の際の診察や血管エコー検査の結果を踏まえ、医師と患者さんが十分に話し合い、具体的な状況やニーズ、治療への期待に最も適した方法を選択することが重要です。

レーザー手術以外の治療法

レーザー手術以外の治療法

下肢静脈瘤のレーザー手術以外の治療法にはどのようなものがありますか?
レーザー手術以外にも、下肢静脈瘤を治療する方法はいくつか存在します。
・圧迫療法
特別に設計されたサポーターやストッキングを使用して静脈に圧力をかける方法です。血液の流れを改善し、症状の緩和を図ります。日常生活において継続的に使用することで、静脈瘤の進行を遅らせる効果が期待できます。

・硬化療法
硬化剤を静脈瘤に直接注入し、静脈の内壁を炎症させて血管を閉塞させる治療法です。小さな静脈瘤に適しており、手術の必要がないというメリットがあります。

・ストリッピング手術
静脈瘤を物理的に除去するために、長い静脈を摘出する手術です。全身麻酔が必要となることが多く、回復期間も長くなる傾向がありますが、広範囲にわたる静脈瘤に対して効果的です。

・CAC治療
細い針と特殊な器具を用いて、皮膚の表面から静脈瘤を取り除く方法です。局所麻酔下で行われ、比較的小さな静脈瘤に適しています。 それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるため、医師との相談を通じて、個々の状況に合った方法にすることをお勧めします。

下肢静脈瘤の治療方法はどのように選べば良いですか?
治療法を選ぶ際は、自身の健康状態、送りたいライフスタイル、望ましい回復スピードなどを比較するとよいでしょう。 例えば、日常生活への影響が最も少ない治療法をお探しの方には圧迫療法が適しています。手軽に始められ、比較的低コストで、特に軽度の静脈瘤に有効です。ただし、圧迫療法は静脈瘤の進行を抑制し症状の緩和に役立ちますが、静脈瘤を根本から除去するわけではない点には注意が必要です。

一方で、静脈瘤を根本から取り除きたい、または広範囲にわたる静脈瘤に悩む方にはストリッピング手術が適しています。より長期的な解決を望む方や、一度の治療で確実な効果を求める方にとって、この手術は効果的ですが、回復には相応の時間がかかります。 迅速な治療結果を求める方や、手術を避けたい方には硬化療法がおすすめです。局所的に注射を用いるため、全身麻酔のリスクがなく、回復も速いですが、複数回の治療が必要になる場合があります。

編集部まとめ

下肢静脈瘤は見た目の問題だけでなく、放置すると健康にも影響を及ぼす可能性があるため、早期の治療がおすすめです。治療法にはレーザー手術、圧迫療法、硬化療法、ストリッピング手術、CAC治療などがあり、静脈瘤の状態や、送りたい生活スタイル、費用によって適した方法を選ぶと良いでしょう。この記事が下肢静脈瘤の治療を検討する際の一助になっていれば幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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