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下肢静脈瘤の手術の後遺症や合併症とは?術後の生活についても解説!

下肢静脈瘤の手術の後遺症や合併症とは?術後の生活についても解説!

本記事では、下肢静脈瘤の手術の後遺症や合併症について解説します。下肢静脈瘤の治療には、 “保存的治療”、“硬化療法”、“手術”、“血管内焼灼術”、“血管内塞栓術”などがあります。それぞれの治療方法のメリットとデメリットについても解説します。また、手術後の生活や注意点、再発の可能性についても解説しているので、手術を検討している方はぜひご参考ください。

下肢静脈瘤の手術方法について

下肢静脈瘤の手術方法について 下肢静脈瘤の治療法はひとつだけでなく、大別すると“保存的治療”、“硬化療法”、“手術”、“血管内治療”、“塞栓術”などの治療法があります。それぞれの概要とメリットとデメリットを解説しているので、治療法で迷っている方やそれぞれの違いを知りたい方、自分に合った治療法を見つけるためにぜひ参考にしてください。ただし、治療法の選択は患者の症状や病歴によって異なります。具体的な治療計画は医師と相談して決めてください。

保存的治療

保存的治療は運動、圧迫療法、脚の持ち上げを中心に、手軽な方法で症状を軽減する治療法です。保存的治療には、圧迫療法、運動療法、薬物療法などがあります。 圧迫療法は圧迫ストッキングを使用することで静脈内の血流が改善され、症状の軽減が期待できる療法です。運動療法は定期的に運動することで、足の筋肉が収縮することで血液の循環を促し、静脈瘤の進行を抑制する効果が期待できます。また、薬物療法は炎症を軽減するために薬物が処方される療法です。

保存的治療のメリット

・患者の負担が少ない
保存的治療は手術を伴わないため、リスクや回復期間が短く、患者にとって負担が少ないことが大きなメリットとなります。

保存的治療のデメリット

・効果が限定的になる
保存的治療は下肢静脈瘤が進行した場合には有効でないことがあり、他の治療法が必要となることがあります。

・完治が難しいケースがある
保存的治療では根本的な原因を解決することは難しく、完治が難しいケースがあります。

ストリッピング手術

ストリッピング手術は進行した静脈瘤に対して、異常に拡張をした静脈を取り除き、正常な血流を回復させることを目的としている手術です。

ストリッピング手術のメリット

・合併症の軽減
下肢静脈瘤が進行すると、合併症が発生する危険性がありますが、手術によってこれらのリスクが軽減されることがあります。

・外見の改善
手術によって異常のみられた静脈が取り除かれ、外見的にも改善が見られます。

ストリッピング手術のデメリット

・手術リスク
ストリッピング手術に限らず、あらゆる手術にはリスクが伴います。感染症、出血、麻酔に対する副作用などが発生する可能性があります。

・回復期間
ストリッピング手術後は一定の回復期間が必要であり、その間は動きを制限されることがあります。

・再発の可能性
静脈瘤が再発する可能性があり、他の静脈が拡張することがあります。

・瘢痕
ストリッピング手術で切開した部位に瘢痕が残る可能性があります。

・神経損傷
手術する静脈の近くには多くの神経があり損傷するリスクを避けるため、ストリッピング手術には高い技量が求められます。そのため実績や信頼のできる病院選びが重要となります。

硬化療法

硬化療法は、下肢の静脈瘤に薬を注射して硬化させ、血流の逆流を防ぐ治療法です。硬くなった静脈瘤は、半年ぐらいで吸収されて消えてしまいます。外来で10分程度で行うことができます。

硬化療法のメリット

・患者の負担が少ない
硬化療法は外科手術を伴わないため、外来で治療ができます。もちろん入院の必要もありません。また、大抵の場合、硬化療法は局所麻酔で行われるため、患者にとっては比較的負担が少ない治療法といえます。

・即効性が高い
硬化療法は治療の即効性が高く、患者が症状の改善を早く感じることができます。

・外見の改善
硬化療法は、外見の改善に寄与することがあり、患者の美容的な要望にも応えることができます。

硬化療法のデメリット

・再発の可能性
硬化療法においても、静脈瘤は再発する可能性があるため、完全な治療には複数回の療法が必要な場合があります。

・一時的な腫れや痛み
硬化療法では、注射後に一時的な炎症や赤みが発生することがあります。ですが、通常は数日から数週間で改善するので大きな心配は必要ありません。

・硬化剤注入部への色素沈着
硬化療法で使用する薬剤によって、注入部の皮膚に色素沈着が起こることがありますが、これも通常は一時的です。

・硬化剤へのアレルギー
硬化剤に対するアレルギー反応がまれに発生する可能性があります。

・適用できないケースがある
硬化療法は、進行した下肢静脈瘤の場合においては効果が期待できない場合があります。そのため硬化療法が適用できるかどうかは、医師の判断が必要となります。

レーザー・高周波による血管内焼灼術

血管内焼灼術とはレーザーやラジオ波を用いて、異常な静脈を焼灼(破壊)し、血管内部から治療する治療法です。局部麻酔のため、比較的患者の負担が少ない治療法となります。

血管内焼灼術のメリット

・患者の負担が少ない
血管内焼灼術は外科手術を伴わないため、傷口が小さく、回復が迅速です。また、局部麻酔のため、患者の負担が比較的少ない治療法です。治療後、その日の内に帰ることができます。

・即効性が高い
血管内焼灼術は、治療後に即座に症状の改善が見られることがあります。

・外見の改善
血管内焼灼術も同様に、外見の改善が期待でき、患者の美容的な要望にも応えることができます。

血管内焼灼術のデメリット

・再発の可能性
血管内焼灼術においても、静脈瘤は再発する可能性があり、完全な治療には複数回の療法が必要な場合があります。

・一時的な腫れや痛み
血管内焼灼術の治療後、一時的な炎症や軽度の痛みが発生することがあります。ですが、通常は数日から数週間で改善するので大きな心配は必要ありません。

血管内塞栓術(グルー治療)

血管内塞栓術は下肢静脈瘤の原因となっている異常な静脈を塞栓剤(医療用の瞬間接着剤)で閉塞する治療法です。病院によっては、グルー治療と呼ばれることもあります。

血管内塞栓術のメリット

・即効性が高い
血管内塞栓術は通常、即座に効果が現れ、患者が症状の改善を早く感じることができます。

・患者の負担が少ない
血管内塞栓術は外科手術を伴わず、局所麻酔で行われることが一般的です。手術中の痛みも少なく、患者の回復もはやいので入院も必要ありません。

・合併症の予防ができる
血管内塞栓術によって異常な静脈が塞栓されることで、合併症や症状の進行を防ぐことが期待されます。

血管内塞栓術のデメリット

・再発の可能性
血管内塞栓術においても、静脈瘤は再発する可能性があるため、完全な治療には複数回の療法が必要な場合があります。

・塞栓剤(医療用の瞬間接着剤)に対するアレルギー反応
使用される医療用接着剤に対するアレルギー反応がまれに発生する可能性があります。

・一時的な腫れや痛み
血管内塞栓術では、治療後に一時的な炎症や赤みが発生することがあります。ですが、通常は数日から数週間で改善するので大きな心配は必要ありません。

下肢静脈瘤の手術の後遺症について

下肢静脈瘤の手術の後遺症について 下肢静脈瘤の術後、患者さんによっては後遺症や合併症に悩まされる方もいらっしゃいます。通常は手術の前に医師より説明があるかと思いますが、手術前に後遺症等のリスクがあることをしっかりと理解することはとても大切です。ぜひ本記事も参考にしてください。

内出血・痛み

下肢静脈瘤の血管内治療後、一時的に内出血が発生することがあります。腫れや痛みを感じる場合もありますが、通常は数日から数週間で改善されるので大きな心配は必要ありません。

神経障害

下肢静脈瘤の治療では、異常のある静脈に対して治療が施されますが、静脈の近くには神経が多く張り巡らされているため神経を傷つけないように高い技量の施術が求められます。このため施術時に神経になんらかのダメージがあると痺れや無知覚のような神経障害の症状が見られます。

静脈血栓症

下肢静脈瘤の血管内焼却術では深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)を引き起こすことがあります。このとき、静脈血栓症による炎症が皮膚にも波及し、腫れや強い痛みを伴うことがあります。きわめて稀なケースとして、血栓が肺動脈につまり、肺塞栓症を起こすこともあります。

​​手術前後の生活と注意点について

手術前後の生活と注意点について解説します。病院によっては、細かなルールや指導が異なることもあるので、事前に医師と相談した上で手術へと臨みましょう。本記事では、あくまで一般的な注意点についてお伝えします。

食事・飲酒に関する注意点

手術前日までの食事制限はありませんが、手術当日は手術時間よりおよそ6時間は禁食となります。水分の摂取は手術直前まで可能です。脱水を防ぐために、積極的に摂取しましょう。手術前日の飲酒については、酔わない程度であれば問題ありません。もちろん当日の飲酒は控えましょう。手術後は、アルコールによって炎症や内出血が強く出ることを防ぐために手術当日と翌日の飲酒は控えてください。

入浴(お風呂)に関する注意点

手術前に体を清潔にするために、必ず入浴をしましょう。手術後のシャワー浴は可能ですが、湯船に体が浸かる入浴は翌日以降からにしてください。

運転・仕事・運動に関する注意点

手術当日までの制限は特にありません。万全の体調で手術ができるように自己管理をしてください。手術後は、静脈麻酔の影響で1日中ぼーっとした感じが残りますので、運転はできません。自宅には家族や身内の方に寄り添ってもらいながら、公共交通機関等で帰宅しましょう。翌日からの運転は問題ありません。 仕事についても手術当日はお休みをとった方が良いでしょう。手術翌日からは、ぼーっとした感じもなくなると思いますので、通常通りの生活に戻っていただいて問題ありません。 運動に関しては、激しいスポーツは術後1週間は控えてください。医師の判断のもと、問題がなければ1週間~2週間で激しい運動もできるようになります。ウォーキングなどの軽めの運動は積極的に行ってください。

旅行に関する注意点

手術後の合併症として、稀に深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)になることがあります。旅先でのトラブル対応は難しいこともあるので、術後1ヶ月は長時間のフライトを伴う旅行がないようにスケジュールの調整をしましょう。

手術痕について

下肢静脈瘤の手術痕はほとんど残りません。治療で使うレーザーやカテーテルはペン先よりも細い太さのものなので縫うほどの傷はありません。 瘤切除の場合は、こぶの大きさにもよりますが、縫わなくて良いことがほとんどです。縫ったとしても1針程度で済む場合が多いです。

下肢静脈瘤の再発について

下肢静脈瘤の再発について 残念ながら、下肢静脈瘤の治療をしても、改善が見られなかったり、数年後に再び下肢静脈瘤が再発してしまうことがあります。再発の原因や再発の治療法と予防方法について解説します。

下肢静脈瘤の再発の原因

下肢静脈瘤の再発には、様々な原因が考えられます。まず第一に、治療時には正常だった静脈が術後に静脈瘤になってしまうケースが考えられます。つまり、手術箇所は改善したが、新たに静脈瘤が発生したケースです。新しい静脈瘤の予測は非常に困難なため防ぐことは難しいといわざるをえません。 続いてのケースとして、手術が適切ではなく、治療したい静脈瘤が完治しなかったケースです。進行した静脈瘤に硬化療法を行ったり、切除すべき静脈瘤を切除していないなど、様々な理由が考えられます。

下肢静脈瘤の再発の治療

下肢静脈瘤が再発した場合でも、基本的な治療方法は再発前の治療と同じです。しかし、何度も再発するようでは、処置が不十分である可能性があるため、病院を変えることを検討しても良いかもしれません。その際に、超音波検査のある病院を選ぶことをおすすめします。超音波検査では、従来の方法よりも静脈の状態を正確に診断することが可能で、より適切な治療法を選ぶことができます。

下肢静脈瘤の再発の予防方法

最後に、下肢静脈瘤の予防方法をいくつか紹介します。

・適度に運動をする
最近ではリモートで行う仕事も増え、一日中家から出ないことも当たり前となりました。ですが、健康的な側面から考えるとあまり望ましい状態とはいえません。適度に体を動かすことで、血流が促進され、下肢静脈瘤を予防します。反対に下肢静脈瘤になったことがある場合、激しい運動や長距離走は避けるようにしましょう。

・食生活にも気を配る
塩分や油分の多い食事は肥満へと繋がります。肥満は下肢静脈瘤の原因でもあるので、バランスの取れた食事をして血流改善と静脈への負担を軽くするように心がけましょう。

・長時間同じ体勢でいることを避ける
特にデスクワークや長時間じっと立っているような仕事では、足に負担がかかります。血流が悪くならないように適度に動いたり、足をあげて休ませるなどして、こまめに足を労りましょう。

・締め付けが強い格好を避ける
特に女性に多く見られる格好として、スキニーをはじめとした締め付け感のあるボトムスは、下半身の血流を悪くするので下肢静脈瘤にとって良くありません。また、ハイヒールは歩く際に足のふくらはぎの筋肉がしっかりと使えないために、血液の循環が悪くなるので好ましくありません。時には、ヒールの低い靴やランニングシューズなどを履いて適度に足をリフレッシュさせましょう。

まとめ

まとめ いかがでしたでしょうか。下肢静脈瘤は手術方法によってデメリットやメリットが異なるため、患者さんにとって適切な治療法を専門の医師としっかりと話し合って決める必要があります。しかし残念ながら、適切な治療を行なっても内出血や神経障害といった後遺症のリスクは存在します。そうしたリスクを理解した上で、手術へと臨み、術後の備えや生活での注意点を活かしていただけたら嬉しく思います。ぜひ参考にしていただければ幸いです。最後まで読んで頂きありがとうございました。

参考文献

この記事の監修歯科医師
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

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平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

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